ガソリン車シェア49% 洞爺湖サミットから18年、EVと日本の物流の未来
世界のガソリン車シェア49%、自動車産業は歴史的転換点へ
2008年の洞爺湖サミットから18年。なぜEVへの移行は進み、エンジン車も再評価されるのか
EV・ハイブリッド車の世界戦略から読み解く、日本の自動車産業と物流の未来
はじめに 世界の自動車市場で何が起きているのか
世界の自動車産業が、大きな転換点を迎えています。
2026年10月、日本経済新聞が自動車データ会社Mobility Globalの集計を分析した報道によると、2026年1~6月の世界新車販売で、ガソリンエンジンだけで走る車両のシェアが49%となり、初めて半数を下回ったとされています。
販売台数は前年同期比10%減の2,025万台。市場シェアは前年同期の52%から3ポイント低下し、2021年の73%と比べると24ポイント低下した計算になります。
ただし、ここで重要なのは「ガソリン単独車」と「エンジンを搭載した自動車全体」は異なるという点です。
一般的なハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)にもエンジンが搭載されています。今回の49%という数字は、エンジンそのものが自動車市場から半減したことを意味していません。
なお、この49%と2,025万台は報道に基づく数値であり、Mobility Globalの元集計データとの直接照合はできていません。また、一部大型車を除く集計であることにも注意が必要です。
今回の変化を理解するうえで、もう一つ注目したい出来事があります。
それは、今から18年前の2008年7月に日本で開催された北海道洞爺湖サミットです。
当時、世界は原油価格の高騰と地球温暖化対策に直面し、低炭素社会への移行が国際的な重要課題となっていました。
ところが、その後のEV普及は必ずしも一直線には進みませんでした。
欧州ではEVへの移行を促す規制が強化される一方、その実現方法をめぐって規制の見直しも議論されています。
なぜ2008年から続く電動化の取り組みは、何度も調整されてきたのでしょうか。
そして2026年、なぜ再びガソリン単独車の販売比率が大きく低下しているのでしょうか。
この歴史を振り返るとともに、自動車産業の変化が日本の部品輸送、トラック手配、物流マッチング、2030年代の輸送需要に与える影響を考えます。
1.2008年の北海道洞爺湖サミットで何が決まったのか
2008年7月7~9日、北海道洞爺湖で主要8か国首脳会議(G8サミット)が開催されました。
当時の日本の首相は福田康夫氏です。
会議の主要議題には、世界経済、原油価格、エネルギー安全保障、地球温暖化対策などがありました。
当時は原油価格が急上昇しており、エネルギーを輸入に依存する国々にとって、石油消費の抑制とエネルギー源の多様化が重要な課題でした。
7月8日の首脳宣言では、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を少なくとも50%削減する長期目標について、国際社会全体で共有し、国連の枠組みで検討・採択を目指す方針が示されました。
また、省エネルギー技術の普及や革新的な低炭素技術の研究開発を進める必要性も確認されました。
ただし、ここで歴史的な事実を整理しておく必要があります。
洞爺湖サミットで「ガソリン車を禁止する」「欧州を中心にEVへ全面移行する」という決定が行われたわけではありません。
合意の中心は、温室効果ガス削減と低炭素社会への移行でした。
実際、サミットでは環境への配慮として、ハイブリッド車や電気自動車が関係者の移動に使用され、燃料電池バスもシャトルバスとして導入されました。
当時はEVが一般家庭に広く普及していた時代ではありません。
しかし、日本で開催された国際会議で次世代自動車が実際に活用されたことは、低炭素技術の可能性を示す取り組みでした。
現在の電動化政策を振り返る際、洞爺湖サミットはEV全面移行を決めた会議ではなく、世界が低炭素化を長期課題として共有した時期の重要な出来事として位置づけるのが適切です。
2.なぜ2008年当時、EVの普及はすぐに進まなかったのか
2008年の段階でも、EVは環境負荷を抑える技術として期待されていました。
それにもかかわらず、ガソリン車からEVへの全面的な転換がすぐに実現しなかった背景には、技術面と経済面の課題がありました。
第一の理由は、バッテリー価格です。
EVの製造コストには大容量バッテリーが大きく影響します。
当時のリチウムイオン電池は、現在ほど量産が進んでおらず、大容量の電池を搭載した車両を手頃な価格で提供することは容易ではありませんでした。
第二の理由は、航続距離と充電時間です。
初期のEVは、一度の充電で走行できる距離や充電時間に制約がありました。
長距離移動を頻繁に行う利用者や、業務用車両として使用する企業にとって、使い勝手は重要な課題でした。
第三の理由は、充電インフラです。
ガソリン車には長年かけて整備された給油所がありましたが、EVを広く普及させるには、自宅、職場、商業施設、高速道路などへの充電設備の整備が必要でした。
第四の理由は、既存の自動車産業の構造です。
自動車メーカーは、エンジン、変速機、排気系、燃料系など、多数の部品と設備を中心に巨大な産業を形成してきました。
EVへの移行は車両の動力源を変更するだけではありません。
部品メーカー、生産設備、技術者、整備事業者、物流企業など、関連する産業全体に影響します。
そして第五の理由が、2008年の世界金融危機です。
同年9月のリーマン・ブラザーズ破綻を契機に、世界経済は深刻な金融危機に直面しました。
自動車メーカーも販売減少や資金繰りの悪化などに対応する必要があり、長期的な技術投資を進めるうえで厳しい環境となりました。
ただし、金融危機によって世界のEV政策が一律に先送りされたわけではありません。
日本では2009年に三菱自動車のi-MiEV、2010年に日産自動車のリーフが登場し、量産EVの市場が形成されていきました。
つまり、2008年以降にEV開発が中止されたのではなく、技術、価格、インフラ、経済環境の制約を受けながら普及が進められてきたのです。
3.欧州はなぜEVへの移行を強く推進したのか
欧州では、洞爺湖サミット以降も地球温暖化対策と自動車の環境規制が段階的に強化されました。
その背景には、温室効果ガス削減、石油依存の低減、大気環境の改善、そして新しい自動車産業の競争力を確保する目的がありました。
大きな転換点となったのが、2023年に成立したEUの新車CO2排出基準です。
EUは2035年以降の新車乗用車と小型商用車について、メーカー全体の平均CO2排出量を2021年基準から100%削減する目標を定めました。
走行時にCO2を排出する従来型ガソリン車やディーゼル車にとって、極めて厳しい基準です。
そのため、この制度は事実上のエンジン車新車販売規制として説明されてきました。
ただし、2035年以降に既存のガソリン車を所有したり、走行したりすることまで一律に禁止するものではありません。
欧州が厳しい排出基準を導入した理由には、自動車メーカーにEV開発やバッテリー生産への投資を促す狙いもありました。
メーカーにとって将来の規制が明確になれば、新工場や次世代技術へ資金を投じる判断材料になります。
一方、消費者にとってEVが購入しやすく、使いやすい商品にならなければ、市場の拡大は進みません。
ここに政策目標と実際の市場環境の難しさがありました。
4.なぜ欧州は2035年のエンジン車規制を見直そうとしているのか
2025年12月16日、欧州委員会は自動車産業を支援する新たな政策パッケージを発表しました。
この中には、2035年以降の新車CO2排出基準を柔軟化する提案が含まれています。
従来は2035年に100%削減する目標でしたが、見直し案では走行時排出量の削減目標を90%とし、残る排出量についてはEU域内で生産された低炭素鋼材や、一定の代替燃料などを活用して補う仕組みが提案されました。
これにより、条件を満たす一部のエンジン搭載車やプラグインハイブリッド車などにも、2035年以降の市場で役割を残す余地が生まれます。
ただし、90%削減という数値は、エンジン車を新車販売全体の10%まで無条件で認めるという意味ではありません。
また、2026年10月13日時点で、この見直し案が最終的な法改正として成立したわけではありません。
なぜ欧州は規制の柔軟化を検討しているのでしょうか。
主な背景として、次の四つが挙げられます。
第一に、EVの購入価格です。
EVは維持費の面で利点を持つ場合がありますが、購入時の価格が高ければ、消費者にとって選びにくい商品になります。
第二に、充電環境です。
国や地域によって充電設備の整備状況が異なり、すべての消費者が同じ条件でEVを利用できるわけではありません。
第三に、中国メーカーとの競争です。
中国ではEVの生産規模が拡大し、価格競争力のある車種が増えています。
欧州メーカーはEVへの投資を続けながら、既存事業の収益力と競争力も維持する必要があります。
第四に、雇用と産業基盤です。
エンジン車の生産が縮小すれば、エンジンや排気系などの部品メーカーにも影響します。
自動車産業の構造転換には、製造設備や雇用への対応が不可欠です。
一方、規制緩和を進めすぎれば、EVへの投資判断が難しくなり、脱炭素化が遅れるという懸念もあります。
したがって、今回の見直しは欧州がEVを放棄してエンジン車へ全面的に戻るという意味ではありません。
低炭素化を進めながら、産業競争力や消費者の負担との両立を図ろうとする政策調整と考えられます。
5.2026年、なぜガソリン単独車の販売比率が49%まで低下したのか
今回のニュースを理解するには、EVの普及だけでなく、HVの拡大も確認する必要があります。
2026年上半期のガソリン単独車のシェア低下には、複数の要因が関係しています。
一つ目は、燃料価格です。
原油価格が上昇すると、ガソリン車やディーゼル車の燃料費に影響します。
特に走行距離が長い利用者にとっては、車両購入価格だけでなく、日常の燃料費も重要です。
2026年の中東情勢の緊迫化は、エネルギー価格と供給への懸念を高め、燃費性能の高い車両やEVに対する関心を後押しする要因となりました。
二つ目は、バッテリー技術と生産規模の変化です。
IEAによると、2025年の中国では、販売されたバッテリー電気自動車の約70%が、一般的な従来型車の平均価格より低い価格帯にありました。
これは中国市場における比較であり、世界中でEVの方が安くなったという意味ではありません。
しかし、中国では価格面でもEVを選択しやすい市場環境が形成されていることを示しています。
三つ目は、各国の政策です。
欧州ではCO2排出基準がEV販売を後押ししています。
一方、米国ではEV購入支援や燃費規制が見直されており、メーカーと消費者の判断に変化が生じています。
四つ目は、中国メーカーの競争力です。
中国ではEVと電池の供給網が発展し、国内外で多くの車種が販売されています。
2025年の中国におけるEV販売は1,300万台を超え、新車販売の約55%を占めました。
そして五つ目が、HVの拡大です。
一般的なHVは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせることで燃料消費を抑える仕組みです。
外部充電を必要としないため、既存の給油インフラを利用できます。
この利便性が、多くの利用者にとって重要な選択理由となっています。
つまり、ガソリン単独車の販売比率が低下しても、そのすべてがEVに置き換わっているわけではありません。
HVやPHEVへの移行も進んでいるのです。
ここが、今回の50%割れを読み解く重要なポイントです。
6.欧州ではEVよりHVの方が多く売れている
欧州自動車工業会(ACEA)が2026年9月24日に発表した統計では、2026年1~8月のEU27か国における新車登録は次のようになっています。
HV(ハイブリッド車):275万9,718台、シェア36.6%
BEV(バッテリー電気自動車):164万1,333台、シェア21.7%
PHEV(プラグインハイブリッド車):75万8,082台、シェア10.0%
ガソリン車・ディーゼル車合計:シェア29.0%
この統計では、HVが最も大きな新車登録区分となっています。
一方、ガソリン車とディーゼル車の合計シェアは、前年同期の37.5%から29.0%へ低下しました。
BEVのシェアも前年同期の15.8%から21.7%へ上昇しています。
したがって、EUでは従来型ガソリン車やディーゼル車の比率が低下する一方、HVとBEVの販売が拡大しています。
ただし、これはEU27か国の統計であり、英国などを含む欧州全域の統計とは対象が異なります。
また、ACEAのHVには外部充電を必要としないハイブリッド車などが含まれ、PHEVとは区別されています。
世界市場においても、EVだけが従来型エンジン車に代わっていると考えるのは適切ではありません。
7.米国と日本はどのような戦略を取っているのか
米国でも、自動車の電動化をめぐる環境が変化しています。
2026年9月、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、企業平均燃費基準を緩和する最終規則を公表しました。
2031年モデルの乗用車と小型トラックについて、メーカー全体の平均燃費要求水準は約34.9mpgになると推計されています。
ただし、これはメーカーの車種構成を前提とした推計値であり、すべての車両に同じ燃費を義務づけるものではありません。
この規制変更は、メーカーの車両開発や設備投資の判断にも影響します。
米国では、EVだけでなく、燃費性能の高いHVやエンジン車にも需要が存在しています。
日本メーカーにとっては、HVが競争力の一つとなっています。
トヨタやホンダなどは、エンジンとモーターを組み合わせた技術を長年にわたり発展させてきました。
ただし、現在のHV販売が好調だからといって、将来のEV開発が不要になるわけではありません。
世界市場では、地域ごとに消費者の所得、充電設備、燃料価格、環境規制などが異なります。
そのため、日本メーカーには、現在のHV需要に対応しながら、次世代バッテリー、EV専用車両、ソフトウエアなどの技術開発も進める戦略が求められています。
一つの技術に経営資源を集中するよりも、地域と用途に合わせて複数の動力方式を使い分けることが重要になっています。
8.2035年、EVは世界の主役になるのか
国際エネルギー機関(IEA)の「Global EV Outlook 2026」によると、2025年の世界EV販売は2,000万台を超え、新車販売のおよそ4台に1台を占めました。
IEAは、2026年の世界EV販売を約2,300万台、新車販売比率を約28%と予測しています。
また、2035年には世界新車販売のEV比率が約50%に達する可能性を示しています。
中国では90%超、欧州でも90%超の水準がシナリオ上では想定されています。
ただし、これらは今後の政策、経済状況、技術開発などを前提とした将来見通しです。
2035年の販売比率が確定したわけではありません。
なお、IEAが使用するEVという分類には、バッテリー電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)が含まれ、一般的なHVは含まれません。
そのため、今回報道されたガソリン単独車49%という数値と、IEAのEV販売比率を単純に比較することはできません。
世界の自動車産業は、EVが拡大する方向に進んでいます。
しかし、エンジンを搭載したHVやPHEVも市場で重要な役割を果たしています。
少なくとも現時点では、世界中の自動車が一斉にEVへ切り替わるとは言えません。
9.自動車産業の変化で日本の部品物流はどう変わるのか
ここからは、丸共協同株式会社として物流業界への影響を考えます。
自動車産業の変化は、完成車メーカーだけの問題ではありません。
エンジン関連部品、電動部品、バッテリー、電子制御部品などを製造する企業にも影響します。
そして、これらの部品を輸送する物流企業にとっても重要な変化となる可能性があります。
従来型のエンジン車では、エンジン本体、変速機、燃料系、排気系など、多くの部品が使用されています。
一方、BEVでは駆動モーター、インバーター、バッテリー、電力制御部品などが重要になります。
そのため、BEVの生産比率が高まれば、輸送する部品の種類や調達先が変化する可能性があります。
ただし、HVはエンジンと電動駆動の両方の部品を使用するため、エンジン関連部品の輸送需要が一斉に減少するわけではありません。
また、物流に与える影響は単純な輸送量だけでは判断できません。
輸送重量、輸送件数、輸送距離、貨物の容積、取扱条件などを確認する必要があります。
特にリチウムイオン電池については、貨物の仕様や輸送状態に応じて、安全対策や危険物輸送に関する規制への対応が必要になる場合があります。
EVが増えることで、物流全体の輸送量が必ず増えると断定することはできません。
一方で、輸送する貨物の種類、輸送ルート、使用する車両、取扱条件などが変化する可能性があります。
物流企業にとって重要なのは、この変化を早い段階で把握することです。
10.工場の新設・再編は新たな物流需要につながるのか
自動車メーカーがEVやHVの生産設備を新設したり、既存工場の役割を変更したりすると、部品の調達先や納入先が変わる可能性があります。
例えば、従来は同じ地域内で製造していた部品を別の工場から調達するようになれば、新たな工場間輸送が発生する場合があります。
逆に、部品メーカーが完成車メーカーの近くに生産拠点を移転すれば、従来の長距離輸送が縮小する可能性もあります。
また、海外生産の拡大は、港湾から工場への輸送、輸出入貨物、国内の部品配送などにも影響します。
こうした変化を考えるうえで、重要となるのが輸送需要の地域差です。
関東、中部、関西、九州など、地域ごとに自動車産業の集積状況や輸送条件は異なります。
自動車産業の構造変化が進むなかでは、特定の輸送ルートだけに依存するのではなく、変化する物流需要に対応できる運送会社とのネットワークが重要になると考えられます。
11.物流トラックの電動化は乗用車と同じ速度で進むのか
自動車の電動化を考える際、乗用車と貨物トラックは分けて考える必要があります。
IEAによると、2025年の世界の電動トラック販売は40万台を超え、中型・大型トラックの新車販売に占める比率は約9%となりました。
中国では新車トラックのおよそ4台に1台が電動車となる一方、欧州では約3%にとどまっています。
ただし、国によって車両区分や統計対象が異なるため、比較する際には注意が必要です。
トラックの電動化には、乗用車とは異なる課題があります。
特に長距離輸送では、一度の充電で走行できる距離、積載量、充電時間、運行時間、充電設備、車両価格などを総合的に判断する必要があります。
都市部の配送や、一定のルートを繰り返す輸送と、高速道路を利用する長距離幹線輸送では、必要な車両性能も異なります。
また、電動トラックはバッテリーの重量が積載可能重量に影響する場合があります。
車両の導入費用だけでなく、長期間の運行費用や充電設備の整備費用も確認する必要があります。
そのため、日本の貨物輸送では、輸送距離や貨物の条件に応じて、電動トラック、ディーゼルトラック、その他の低炭素技術をどのように使い分けるかが重要な課題となります。
EVの普及が進むからといって、長距離貨物輸送に使用するトラックが直ちにすべて電動化されるわけではありません。
12.2030年代に向けて物流マッチングが重要になる理由
自動車産業の変化によって、今後は部品の種類、生産拠点、輸送先などが変化する可能性があります。
こうした変化に対応するためには、必要なときに適切な運送会社や車両を確保できることが重要です。
そこで注目したいのが、物流マッチングです。
物流マッチングとは、貨物を輸送したい荷主企業や発注側の事業者と、輸送に対応できる運送会社を、輸送条件に基づいて結びつける仕組みです。
物流マッチングシステムを活用することで、発地、着地、積込日時、荷卸し日時、車両条件などを整理し、輸送に対応できる運送会社を探す作業の効率化が期待できます。
特に自動車部品輸送では、納入日時、貨物の取扱条件、輸送品質などの正確な情報共有が重要です。
また、帰り便・帰り荷の有効活用も大切です。
例えば、大阪から関東方面へ自動車関連部品を輸送したトラックが、帰路で別の貨物を輸送できれば、空車回送の削減につながる可能性があります。
荷主企業にとっては、帰り便を活用した輸送手配の選択肢が広がります。
運送会社にとっては、帰り荷を確保することで車両の稼働効率を高める機会になります。
ただし、実際に輸送を組み合わせられるかどうかは、運行時間、車種、貨物の性質、積込・荷卸し条件などによって異なります。
物流DXによって、荷主企業と運送会社が必要な情報を正確に共有できれば、見積もり依頼や輸送手配に要する時間の削減も期待できます。
今後、自動車産業の構造変化が進むなかで、物流企業には新しい輸送需要に対応する柔軟性が求められます。
丸共協同株式会社では、大阪を拠点に全国の運送会社とのネットワークを活用し、チャーター便、帰り便、混載便など、貨物の条件に応じた物流プランニングを行っています。
変化する産業と物流需要に対応するためには、限られた輸送力を効果的に活用する仕組みが重要になると考えています。
13.まとめ エンジン車の終焉ではなく、産業全体の転換期
2008年の北海道洞爺湖サミットから18年。
世界は温室効果ガス削減とエネルギー問題への対応を進めながら、自動車産業の電動化に取り組んできました。
しかし、EVへの移行は一直線に進んできたわけではありません。
バッテリー価格、充電インフラ、経済環境、政府の政策、産業競争力などによって、その速度は変化してきました。
2026年、世界のガソリン単独車の新車販売シェアが49%となったとの報道は、自動車産業の構造変化を示す重要な動きです。
一方、HVの需要も拡大しており、エンジンを搭載した自動車が直ちに姿を消すわけではありません。
欧州ではEVへの移行と規制見直しが同時に議論され、米国ではHVやエンジン車を含む複数の技術が市場で競争しています。
中国ではEVの大量生産と価格競争が進み、日本メーカーは地域ごとに異なる動力方式を組み合わせた戦略を展開しています。
重要なのは、EVかエンジン車かという単純な二者択一ではありません。
環境性能、購入価格、利便性、エネルギー供給、産業競争力をどのように両立させるかという問題です。
そして、自動車産業の変化は、部品の製造、調達、倉庫、国内輸送、国際物流にも影響する可能性があります。
2030年代に向けて物流業界に求められるのは、貨物と輸送需要の変化を把握し、適切な車両、運送会社、輸送ルートを組み合わせることです。
丸共協同株式会社では、こうした産業構造の変化を物流の視点から捉え、荷主企業と運送会社の双方に役立つ情報を発信していきます。
物流DX、物流マッチング、帰り便・帰り荷の有効活用などを通じて、限られた輸送力を効果的に活用する取り組みが、これからますます重要になると考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1.2035年に欧州でガソリン車はすべて禁止されるのですか?
EUで定められているのは、2035年以降の新車に対するCO2排出基準です。
既存のガソリン車を所有したり、走行したりすることを一律に禁止するものではありません。
また、欧州委員会は2025年12月に2035年目標の柔軟化を提案しています。ただし、2026年10月13日時点で最終的な法改正として成立したものではありません。
Q2.2008年の洞爺湖サミットでEVへの全面移行が決まったのですか?
いいえ。
主要な合意は、温室効果ガス削減と低炭素技術の研究開発・普及に関するものでした。
EVへの全面移行やエンジン車の禁止を決定したものではありません。
ただし、次世代自動車を含む低炭素技術の重要性が国際的に認識された時期の一つでした。
Q3.ガソリン単独車の販売比率が50%を割ったら、HVも減少しているのですか?
必ずしもそうではありません。
一般的なHVは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた自動車です。
一方、PHEVは外部から充電でき、レンジエクステンダー型電気自動車(EREV)は主に電気モーターで走行し、エンジンを発電用に利用する方式です。
これらは技術や統計上の分類が異なるため、ガソリン単独車の販売比率が低下しても、HVの販売まで減少しているとは限りません。
ACEAによると、2026年1~8月のEU27か国におけるHVの新車登録は275万9,718台、新車登録全体の36.6%を占めています。
一方、ガソリン車とディーゼル車の合計シェアは前年同期の37.5%から29.0%へ低下しました。
つまり、EUでは従来型ガソリン車・ディーゼル車の比率低下とHVの販売拡大が同時に進んでいます。
Q4.EVが増えると自動車部品の輸送量も増えるのですか?
一概には言えません。
EVの普及によって従来型エンジン関連部品の輸送が減少する可能性がある一方、バッテリー、駆動モーター、電子制御部品などの輸送が増える可能性があります。
ただし、物流への影響は輸送重量、輸送件数、輸送距離、車両条件などによって異なります。
特にリチウムイオン電池は、仕様や輸送状態によって安全管理や危険物輸送に関する規制への対応が必要になる場合があります。
そのため、輸送量の単純な増減だけでなく、輸送する貨物の種類、輸送ルート、取扱条件が変化する可能性に注目することが重要です。
Q5.物流マッチングは自動車部品輸送にも活用できますか?
活用できる可能性があります。
自動車部品の輸送では、納入日時、車種、積載条件、貨物の取扱方法など、さまざまな条件を確認する必要があります。
物流マッチングシステムを活用して、発地、着地、積込日時、荷卸し日時、車両条件などを整理することで、輸送条件に対応できる運送会社を探す作業の効率化が期待できます。
ただし、実際の輸送では貨物の性質や輸送品質を確認し、適切な運送会社と輸送方法を選定することが重要です。
全国のトラック手配・物流のご相談
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自動車関連部品、工業製品、一般貨物など、貨物の種類や輸送条件に応じて適切な輸送方法を検討いたします。
貨物保険の補償限度額は3,000万円です。補償内容や適用条件は個別にご確認ください。
トラックの見積もり依頼はこちら
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https://www.marukyo-group.co.jp/contact/
丸共協同株式会社
https://www.marukyo-group.co.jp/
参考資料
1.外務省「G8 Hokkaido Toyako Summit Leaders Declaration」2008年7月8日
https://www.mofa.go.jp/policy/economy/summit/2008/doc/doc080714__en.html
2.外務省「Hokkaido Toyako Summit - Environmental Consideration for the Summit」2008年
https://www.mofa.go.jp/policy/economy/summit/2008/info/consider.html
3.欧州委員会「Cars and vans」新車CO2排出基準
https://climate.ec.europa.eu/areas-action/transport-decarbonisation/road-transport/cars-and-vans_en
4.欧州委員会「Automotive package」2025年12月16日発表
https://transport.ec.europa.eu/transport-themes/action-plan-future-automotive-sector/automotive-package_en
5.欧州自動車工業会(ACEA)「New car registrations: +5.3% in August 2026 year-to-date; battery-electric 21.7% market share」2026年9月24日
https://www.acea.auto/pc-registrations/new-car-registrations-5-3-in-august-2026-year-to-date-battery-electric-21-7-market-share/
6.国際エネルギー機関(IEA)「Global EV Outlook 2026」2026年5月20日
https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026
7.国際エネルギー機関(IEA)「Global EV Outlook 2026 - Executive summary」
https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/executive-summary
8.国際エネルギー機関(IEA)「Global EV Outlook 2026 - Trends in other EV modes」
https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/trends-in-other-ev-modes
9.米国政府「Federal Register - The Safer Affordable Fuel-Efficient Vehicles Rule III」2026年9月30日
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2026-09-30/html/2026-19964.htm
10.Merkmal「エンジン車の終焉は近い? 新車市場シェアがついに50%割れ」2026年10月9日
https://merkmal-biz.jp/post/124108
