ガソリンスタンドの倒産と廃業が増加 地域物流への影響
ガソリンスタンドの倒産と廃業が増加 給油所減少が地域物流とトラック輸送に及ぼす影響
2026年1月から8月に144事業者が退出 全国の給油所は26412カ所へ減少
冒頭要約
帝国データバンクが2026年9月12日に公表した調査によると、2026年1月から8月に倒産したガソリンスタンド運営事業者は19件、休廃業・解散は125件でした。合計144件となり、前年同期の127件を17件上回りました。増加率は約13.4%で、1月から8月として過去10年で最も多い水準です。
ここでいう144件は、閉鎖された給油所の店舗数ではありません。ガソリンスタンドを経営していた事業者の倒産、休廃業、解散を集計した数字です。1社が複数の給油所を運営している場合があるため、店舗数と事業者数は分けて読む必要があります。
一方、資源エネルギー庁の登録ベースの集計では、2025年度末の全国の給油所数は26,412カ所でした。前年度末の27,009カ所から597カ所、約2.2%減少しています。事業者の退出と給油所数の減少は別の統計ですが、燃料供給網が縮小している方向は共通しています。
結論として、給油所の減少はエネルギー小売だけの問題ではありません。トラック輸送、地域配送、建設、農業、除雪、災害対応を動かす燃料供給の問題です。荷主企業と運送会社は、運賃や燃料価格に加え、給油拠点までの距離、営業時間、大型車の利用可否、代替拠点を輸送計画に組み込む必要があります。
目次
1 帝国データバンク調査が示す倒産と廃業
2 全国の給油所は26412カ所まで減少
3 数字を読む際の注意点
4 ガソリンスタンドの経営を圧迫する要因
5 給油所減少が物流現場に及ぼす影響
6 国が進めるSS過疎地対策
7 荷主企業が確認したいこと
8 運送会社が確認したいこと
9 丸共協同株式会社の考察
10 よくある質問
11 まとめ
1 帝国データバンク調査が示す倒産と廃業
帝国データバンクの調査対象は、事業内容にガソリンスタンド経営を含む企業です。倒産は負債1,000万円以上の法的整理、休廃業は特段の法的手続きを取らずに企業活動が停止した状態、解散は商業登記などで確認された企業を指します。みなし解散は含まれません。集計基準日は2026年8月31日です。
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区分 |
2026年1月から8月 |
比較対象 |
変化 |
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倒産 |
19件 |
2025年年間17件 |
年間件数を2件上回る |
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休廃業・解散 |
125件 |
前年同期115件 |
10件増 約8.7%増 |
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合計 |
144件 |
前年同期127件 |
17件増 約13.4%増 |
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年間見通し |
5年連続増加の可能性 |
2018年以来 |
200件超の可能性 |
倒産19件と2025年の17件は同じ期間の比較ではありません。2026年は8カ月間の数字、2025年は年間合計です。記事にする際は、この違いを残すことが重要です。年間200件を超えるという記述も確定値ではなく、帝国データバンクの見通しです。
2 全国の給油所は26412カ所まで減少
資源エネルギー庁は2026年8月24日、2025年度末の揮発油販売業者数と給油所数を公表しました。2026年3月31日時点の給油所数は26,412カ所で、前年度末の27,009カ所から597カ所減少しました。
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指標 |
基準時点 |
最新時点 |
変化 |
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全国の給油所数 |
2024年度末 27,009カ所 |
2025年度末 26,412カ所 |
597カ所減 約2.2%減 |
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1994年度末との比較 |
60,421カ所 |
26,412カ所 |
34,009カ所減 約56.3%減 |
1994年度末の60,421カ所と比べると、2025年度末の給油所数は約43.7%の水準です。この長期減少は全国一律に同じ影響を与えるものではありません。給油所が近接する都市部と、最寄りの給油所まで長い距離を移動する地域では、1カ所減少したときの影響が異なります。
3 数字を読む際の注意点
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用語 |
この資料での意味 |
誤解を避ける表現 |
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144件 |
倒産または休廃業・解散した事業者数 |
144店舗が閉鎖したとは断定しない |
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倒産 |
負債1,000万円以上の法的整理 |
自主的な廃業とは区別する |
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休廃業・解散 |
企業活動の停止または登記上の解散 |
経営破綻だけを意味しない |
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給油所26,412カ所 |
2025年度末の登録ベースの給油所数 |
事業者数と混同しない |
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年間200件超 |
現時点の推計または可能性 |
確定した年間件数と書かない |
帝国データバンクの調査は、倒産や休廃業の動向と経営環境を分析したものです。人口減少、車両の電動化、価格競争などは重要な背景ですが、個々の事業者が退出した原因を一つに確定する資料ではありません。複数の要因が重なった結果として読むのが適切です。
4 ガソリンスタンドの経営を圧迫する要因
帝国データバンクは、ガソリンスタンドの経営環境を厳しくする要因として、人口減少と高齢化、ハイブリッド車や電気自動車の普及、セルフ式や大手チェーンとの価格競争、人件費や設備維持費の負担を挙げています。
燃料価格が上昇すると売上高は増える場合があります。しかし、売上高の増加がそのまま利益の増加を意味するわけではありません。同調査は、ガソリン1リットル当たりの利益が数円程度と低いことを指摘しています。車検、洗車、板金整備、レンタカーなどの油外収益を確保できるかどうかが、経営の持続性を左右します。
地方では商圏人口が縮小し、地域唯一の給油所として営業を続けても固定費を賄えない場合があります。2025年度の損益動向では、地方に本社を置く事業者の約4社に1社が赤字でした。首都圏でも赤字割合は2割を超えており、地価、人件費、競争の激しさが利益を圧迫しています。給油所の経営問題は地方に限りません。
5 給油所減少が物流現場に及ぼす影響
ここからは、公表資料を踏まえた丸共協同株式会社の物流実務上の考察です。帝国データバンクの調査は、給油所の減少による輸送時間や運賃への影響を直接測定していません。実際の影響は地域、輸送区間、車種、給油所の営業時間などによって変わります。
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現場項目 |
起こり得る変化 |
確認事項 |
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トラック手配 |
給油可能な経路や時間を含めた車両選定が必要になる |
積地と卸地に加えて経由地と給油条件を共有する |
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配車計画 |
給油のための迂回や待機が運行時間に影響する可能性がある |
営業時間と大型車の進入可否を事前確認する |
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運賃と見積もり |
燃料価格だけでなく給油に伴う距離と時間が原価になる |
燃料サーチャージと追加経路の条件を分けて確認する |
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緊急配送 |
夜間や休日に利用できる給油拠点が限られる場合がある |
代替拠点と対応可能時間を確認する |
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災害対応 |
停電や道路寸断で通常の給油計画が使えない可能性がある |
非常用電源を備えた拠点と代替ルートを把握する |
特に地方や中長距離のトラック輸送では、給油所が1カ所なくなるだけで別の拠点まで迂回する必要が生じる場合があります。迂回距離が増えれば、燃料消費だけでなくドライバーの拘束時間にも影響します。必要な日に車両を確保するには、貨物情報と同時に運行経路の条件を早く共有することが大切です。
6 国が進めるSS過疎地対策
経済産業省は2026年8月24日、新たな地域燃料流通に関する研究会の中間とりまとめを公表しました。資料では、SSが3カ所以下の市町村、または居住地から15キロメートル以内にSSが存在しない地域を含む市町村をSS過疎地としています。
中間とりまとめは、最寄りのSSまでの距離がおおむね15キロメートル以上にある全国50カ所程度のSSを地域インフラSSの候補として選び、自治体、SS事業者、元売事業者などによる地域の燃料供給計画づくりを支援する方向を示しました。災害対応能力を備えたSSの追加や、防災能力を高める支援も検討されています。
これは2026年8月時点の政策方針です。候補に選ばれたすべての給油所の営業継続が保証されたわけではありません。地域ごとに必要な燃料需要、運営主体、設備、費用負担を具体化できるかが今後の焦点になります。
7 荷主企業が確認したいこと
給油所の減少が懸念される地域や長距離区間へ輸送を依頼するときは、運送会社が安全な運行計画を組めるよう、次の情報を早めに共有することが有効です。
積込地、納品先、荷物の種類、荷姿、重量、寸法を正確に伝える。
必要な車種、積込可能時間、納品希望時間を明確にする。
山間部、過疎地域、夜間、休日を含む運行では、給油条件も確認する。
運賃、燃料サーチャージ、高速道路料金、待機や荷役の料金区分を確認する。
災害時や急な出荷に備え、代替の運送会社と輸送経路を用意する。
納品時間に余裕を持たせ、給油や法定休憩に必要な時間を運行計画へ反映する。
8 運送会社が確認したいこと
運送会社にとっては、燃料単価の管理と同時に、給油に必要な距離と時間を原価として把握することが重要です。
主要な運行区間ごとに利用可能な給油所と営業時間を整理する。
大型トラックが進入できるか、決済手段や給油油種に制約がないかを確認する。
通常利用する給油所が使えない場合の代替拠点を設定する。
給油の迂回距離、所要時間、待機時間を便別原価へ反映する。
燃料サーチャージの条件と計算方法を荷主企業へ説明できるようにする。
災害時の連絡方法、優先給油、代替ルートを事業継続計画に含める。
帰り荷を探す際も、積地と卸地だけでなく給油可能な運行経路を確認する。
9 丸共協同株式会社の考察
物流効率化は、輸送価格を下げることだけを指しません。一台のトラックが安全に動き、必要な時間に荷物を届け、次の運行へつながる条件を整えることが基本です。給油所は、その条件を支える地域インフラです。
帰り便と帰り荷の活用は、荷物を降ろした後の空車回送を減らし、車両の稼働率を高める方法です。ただし、適切な運行経路、休憩場所、給油拠点が確保されなければ効率的な配車は成立しません。燃料供給網の変化を配車情報の一部として扱う視点が必要です。
丸共協同株式会社が大切にする不易流行(ふえきりゅうこう)は、守るべき基本を守りながら、環境の変化に合わせて方法を改める考え方です。安全、法令順守、正確な情報共有という基本を維持し、給油所減少や地域差を運行計画へ反映することが、持続可能なトラック輸送につながります。
荷主企業、運送会社、給油所のいずれか一者に負担を集中させる方法は長続きしません。輸送条件と原価を共有し、無理な時間指定や不要な空車回送を減らし、地域の燃料インフラを含めて物流を設計することが三方よしと未来よしにつながると考えます。
10 よくある質問
Q1 2026年にガソリンスタンドの倒産と廃業は何件発生しましたか
帝国データバンクによると、2026年1月から8月の倒産は19件、休廃業・解散は125件で、合計144件です。前年同期の127件から約13.4%増え、同期間として過去10年で最も多い水準になりました。
Q2 144件は閉鎖されたガソリンスタンドの店舗数ですか
いいえ。144件は、倒産または休廃業・解散したガソリンスタンド運営事業者の数です。1社が複数店舗を運営する場合があるため、店舗数とは一致しません。
Q3 全国の給油所は何カ所ありますか
資源エネルギー庁の登録ベースでは、2026年3月31日時点で26,412カ所です。前年度末の27,009カ所から597カ所、約2.2%減少しました。
Q4 ガソリンスタンドが減少する主な理由は何ですか
人口減少、燃費改善、ハイブリッド車や電気自動車の普及、価格競争、設備維持費、人件費、スタッフ不足などが重なっています。燃料販売だけでは利益を確保しにくく、油外収益を確保できるかも経営を左右します。
Q5 給油所の減少はトラック手配にどのような影響がありますか
給油のための迂回、営業時間による制約、大型車が利用できる給油所の不足が、配車や運行時間に影響する可能性があります。影響は地域と輸送区間によって異なるため、積地、卸地、車種、運行時間と一緒に給油条件を確認します。
Q6 トラック手配や見積もりで荷主企業が伝える情報は何ですか
積込地、納品先、荷物の種類、荷姿、重量、寸法、必要な車種、積込可能時間、納品希望時間、荷役条件を伝えます。地方や長距離の輸送では、給油や休憩を含む現実的な運行時間も確認すると、条件に合う車両を探しやすくなります。
11 まとめ
2026年1月から8月に市場から退出したガソリンスタンド運営事業者は144件で、前年同期より約13.4%増えました。全国の給油所数も2025年度末に26,412カ所まで減少しています。
給油所が減少したときの影響は、店舗数だけでは判断できません。地域の交通、産業、災害対応、最寄りの給油所までの距離を合わせて考える必要があります。トラック輸送では、給油拠点の距離と営業時間が、配車、運行時間、燃料原価、緊急配送の実行可能性に関係します。
荷主企業は輸送条件を早めに共有し、運送会社は便別の燃料原価と代替給油拠点を把握することが大切です。丸共協同株式会社は、チャーター便、スポット便、帰り便を含むトラック手配において、荷物と日時だけでなく、経路と安全な運行条件を確認することが持続可能な物流につながると考えています。
丸共協同株式会社のトラック手配
丸共協同株式会社では、全国の協力運送会社とのネットワークを活用し、輸送条件に合う車両を確認してトラック手配を行っています。見積もりをご希望の場合は、積込地、納品先、荷物、重量、寸法、希望日時、必要な車種をお知らせください。条件を確認したうえで、チャーター便、スポット便、帰り便などの方法を検討します。
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参考資料
株式会社帝国データバンク ガソリンスタンド事業者の倒産と休廃業解散動向 2026年1月から8月 2026年9月12日
