日本マクドナルドの人材戦略を手がかりに、物流DXと人の役割を考えます
物流DXは、人を減らすためではない――マクドナルドの人材戦略から考える、トラック手配と配車の未来
冒頭要約
モバイルオーダーやセルフレジなど、デジタル化を積極的に進めている日本マクドナルドは、同時に人材への投資を成長の柱に据えています。
テクノロジーに任せられる仕事は任せ、人は接客、対話、判断、育成など、人にしかできない仕事に力を注ぐ。この考え方は、人手不足と業務の複雑化が進む物流業界にも重要な示唆を与えます。
物流DXの目的は、単に人を減らすことではありません。トラック手配や配車、運送会社との情報共有を効率化し、人が信頼関係の構築や例外対応に向き合える環境をつくることです。
本稿では、日本マクドナルドの人材戦略を手がかりに、丸共協同株式会社が考える「人を活かす物流DX」について整理します。
この記事で分かること
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デジタル化が進んでも、人への投資が必要な理由
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トラック手配や配車業務で起きている「見えない複雑化」
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システム導入と、本来の物流DXの違い
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デジタルに任せる仕事と、人が担うべき仕事
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丸共協同株式会社が大切にする「不易流行」と物流の未来
目次
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デジタル化が進むほど、業務が複雑になることもある
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商品を販売する前に、人を育てる仕組みをつくった
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物流にも増えている「見えない依頼」
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システムを導入するだけでは、物流DXにならない
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デジタルに任せる仕事、人が担う仕事
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友人紹介の数字から考える、人が人を呼ぶ職場
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丸共協同株式会社が考える「不易流行」
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荷主企業と運送会社の双方に必要な仕組み
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よくある質問
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まとめ
1.デジタル化が進むほど、業務が複雑になることもある
食品産業新聞社が2026年9月6日に掲載した記事では、日本マクドナルドの人材戦略と企業内教育機関「ハンバーガー大学」の取り組みが紹介されています。
同社では、モバイルオーダーやデリバリーなど注文方法のデジタル化が進みました。一方、店舗にお客様が並んでいなくても注文が一度に入る「見えない注文」が増え、店舗運営は以前より複雑になっているといいます。
デジタル化は、画面上の操作を便利にします。しかし、利用する経路が増えれば、受け取る側の業務がかえって複雑になる場合もあります。
そこで日本マクドナルドは、新しい設備や店舗レイアウトへの投資だけでなく、人材教育も同時に強化しています。掲げている考え方は「People × Technology」。テクノロジーと人の両方を強くすることで、顧客体験を高めようとしています。
2.商品を販売する前に、人を育てる仕組みをつくった
日本マクドナルドの公式情報によると、ハンバーガー大学が日本に設立されたのは1971年6月です。日本第1号店が銀座に開店した同年7月よりも1か月早く、人材教育の仕組みが先につくられていました。
同大学で中心的に教えているのは、ハンバーガーの作り方ではありません。年齢、性別、経験、価値観の異なる人たちを一つのチームにまとめるためのリーダーシップ、対話、チームづくり、マネジメントです。
記事によると、年間約1万4,500人が学び、500を超えるクラスが開かれています。現在の店長の半数以上も、アルバイトのクルーを経験しているとされています。
仕事の手順はデジタルマニュアルで共有できます。しかし、相手の状況を理解すること、目標を共有すること、失敗から学ぶこと、チームを育てることは、マニュアルだけでは完成しません。
3.物流にも増えている「見えない依頼」
この状況は、物流業界にも重なります。
荷主企業がトラックを手配するときには、発地、着地、積込日時、納品日時、荷物の種類、重量、容積、必要な車種、荷役条件など、多くの情報を正確に伝えなければなりません。
電話、FAX、メール、チャットなど連絡手段が増えても、情報がそれぞれの場所に分かれたままでは、確認作業や転記が増えます。スポット便や緊急配送では時間が限られるため、同じ条件を複数の運送会社へ繰り返し説明しなければならないこともあります。
運送会社を探す手段が増えたことと、適切な車両を確保しやすくなったことは、必ずしも同じではありません。情報が増えても、条件が整理されていなければ、配車担当者の負担は大きくなります。
物流DXで最初に考えるべきなのは、連絡手段を増やすことではなく、情報をどのように整理し、誰が何を判断し、どこまでを仕組みに任せるかという運用設計です。
4.システムを導入するだけでは、物流DXにならない
紙をPDFに変更する、電話をチャットに変更する、表計算ソフトの情報を別の画面へ移す。これらは業務のデジタル化にはなりますが、それだけで物流全体が変わるとは限りません。
本来の物流DXには、次の視点が必要です。
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同じ情報を繰り返し入力・説明せずに済むか
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荷主企業と運送会社が必要な情報を正確に共有できるか
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配車の進捗や変更履歴を関係者が確認できるか
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急な変更や条件の食い違いに対応できるか
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現場が無理なく継続して利用できるか
物流は、画面上で車両と荷物の条件が一致すれば完了する仕事ではありません。積込現場の状況、荷物の特性、納品先の条件、ドライバーの運行、安全、事故時の責任まで考える必要があります。
物流システムには、技術だけでなく、実際の輸送を理解した運用設計が欠かせません。
5.デジタルに任せる仕事、人が担う仕事
物流DXを進める際には、すべてを自動化しようとするのではなく、それぞれの得意分野を分けることが重要です。
| 領域 | デジタルが得意なこと | 人が担うべきこと |
|---|---|---|
| トラック手配 | 条件の整理、情報共有、検索、記録 | 荷物や現場に合う輸送方法の判断 |
| 運送会社の見積もり | 依頼内容の共通化、比較しやすい表示 | 金額以外の条件や対応力の確認 |
| 配車後の連絡 | 必要事項の共有、履歴管理、進捗確認 | 変更、遅延、事故など例外への対応 |
| 取引関係 | 過去情報の蓄積、連絡の効率化 | 信頼関係の構築、責任ある説明 |
| 業務改善 | データの集計、傾向の可視化 | 原因の分析、改善方法の決定 |
デジタル化によって定型作業を減らすことができれば、人は判断、調整、提案、対話に、より多くの時間を使えます。
人をシステムに置き換えるのではなく、システムによって人の力を活かす。ここに、物流DXの大切な目的があります。
6.友人紹介の数字から考える、人が人を呼ぶ職場
記事によると、日本マクドナルドでは、ここ2年間に新しく入社したクルーの約4割が友人紹介だったといいます。
これは全従業員の4割という意味ではなく、対象期間中の新規入社者に占める割合です。また、この数字だけで職場への満足度を断定することはできません。
もちろん、外食産業と物流業界では、雇用形態、必要な資格、勤務環境、安全に対する責任などが異なります。そのため、友人紹介の割合を物流業界へそのまま当てはめたり、両業界を単純に比較したりすることはできません。
ここで参考にすべきなのは、「約4割」という数字そのものではなく、働く人の経験が次の採用や育成につながる仕組みです。自分が働く場所を友人や家族に紹介する行動は、その職場に対する一定の信頼がなければ広がりにくいものです。人を育てる仕組みが次の人材を呼び込み、その人材がさらに次の人を育てる。この循環は、採用広告だけではつくれません。
物流業界でも、ドライバーや配車担当者を採用するだけでなく、「この会社で働き続けたい」「この会社を人に紹介したい」と思える環境をつくることが、長期的な人手不足対策になります。
業務を分かりやすくし、情報の行き違いや無駄な作業を減らすことも、人への投資の一部です。
7.丸共協同株式会社が考える「不易流行」
丸共協同株式会社は、1982年の創立以来、荷主企業と運送会社の間に立ち、全国の配車やトラック手配に取り組んできました。
物流の現場では、時代とともに車両、道路、通信手段、書類、法制度が変わってきました。しかし、変わらないものもあります。
荷物を安全に届けること。約束を守ること。困っている相手に向き合うこと。条件を正確に伝え、責任の所在を明確にすること。そして、荷主企業と運送会社の双方から信頼されることです。
これが「不易」です。
一方で、FAX、メール、クラウド、AIなど、その時代に適した手段を取り入れ、仕事の進め方を変えることは「流行」です。
長く続いてきた方法をすべて否定するのでも、新しいシステムを導入しただけで改革が終わったと考えるのでもありません。守るべき価値を明確にしたうえで、その価値を未来へ残すために方法を変える。この姿勢が、丸共協同株式会社の考える物流DXです。
8.荷主企業と運送会社の双方に必要な仕組み
荷主企業にとって、急なトラック手配、チャーター便、貸切便、スポット便で車両を探すことは、時間と労力のかかる仕事です。特に、新しい納品先や繁忙期には、条件に合う運送会社が見つからないことがあります。
一方、運送会社にとっては、行きの荷物を届けた後に帰り荷を確保できなければ、空車で走行する時間が生まれます。
荷主企業の「帰り便を活用したい」という需要と、運送会社の「帰り荷を確保したい」という需要を、正確な情報と信頼でつなぐことができれば、双方の効率改善につながります。
そのために必要なのは、単なる価格比較ではありません。
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輸送条件が正確に伝わること
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運送会社の得意分野や対応可能地域が分かること
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取引条件と責任の所在が明確であること
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成約後も必要な情報が途切れないこと
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問題が起きたときに人が対応できること
デジタルの便利さと、人による安心を両立させることが、これからの物流ネットワークには求められます。
9.よくある質問
Q1.物流DXとは、人員を削減することですか?
物流DXの目的は、人員削減だけではありません。情報の転記、重複連絡、進捗確認などの定型作業を減らし、人が輸送判断、例外対応、提案、信頼関係の構築に集中できる環境をつくることが重要です。
Q2.配車システムを導入すれば、トラック手配は自動化できますか?
条件整理や候補検索は効率化できますが、すべての輸送を自動的に決定できるとは限りません。荷物の性質、車両条件、積込・荷卸し方法、時間指定、安全面などを踏まえた実務判断が必要です。
Q3.荷主企業が運送会社を探すとき、料金以外に何を確認すべきですか?
対応可能な車種・地域、貨物保険、得意とする荷物、連絡体制、事故や遅延時の対応、契約相手と輸送責任の所在などを確認することが大切です。
Q4.帰り便と帰り荷はどう違いますか?
荷主企業から見た場合は、荷物を届けた後に戻るトラックを活用するため「帰り便」と表現します。運送会社から見た場合は、帰路で運ぶ荷物を確保するため「帰り荷」と表現します。
10.まとめ
日本マクドナルドの取り組みが示しているのは、デジタル化が進む時代だからこそ、人の役割を改めて設計する必要があるということです。
テクノロジーだけでは、働きやすさも顧客体験も自動的には向上しません。仕組みを現場で使える形に整え、人を育て、改善を続けることで、初めて企業の力になります。
物流業界も同じです。
トラック手配や配車、運送会社の見積もり、書類や進捗の共有を効率化しながら、輸送の判断、責任ある対応、相手との信頼は人が担う。デジタルと人のどちらかを選ぶのではなく、両方を活かすことが、持続可能な物流への道ではないでしょうか。
丸共協同株式会社は、物流を通じて社会に貢献し、荷主企業と運送会社の双方に役立つことを大切にしてきました。これからも、長年の物流現場で培ってきた経験を守りながら、時代に合った方法を取り入れ、必要とされる物流の形を考え続けます。
トラック手配、チャーター便、混載便、帰り便の活用については、以下のページもご覧ください。
参考資料
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食品産業新聞社「マクドナルド、デジタル時代こそ『人』に投資 クルー採用の約4割が友人紹介、人材力を成長の強みに」(2026年9月6日)
https://www.ssnp.co.jp/foodservice/700862/ -
日本マクドナルドホールディングス「沿革・歴史」
https://www.mcd-holdings.co.jp/company/history/ -
日本マクドナルド「ハンバーガー大学」
https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/people/hamburger_university/ -
グルメWatch「“ハンバーガーの作り方は教えない”マクドナルドの『ハンバーガー大学』とは?」(2026年9月3日)
https://gourmet.watch.impress.co.jp/docs/news/2138082.html -
丸共協同株式会社「会社情報」
https://www.marukyo-group.co.jp/company/
※本稿は公開情報をもとにした丸共協同株式会社独自の考察であり、日本マクドナルド株式会社および関係会社との提携、協力、監修関係を示すものではありません。記事中の数値は、同社が2026年9月2日のメディア向け体験会で説明した内容を報道した記事に基づきます。
