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HUMAN MADEはなぜ値引きせずに成長できるのか 運送業の適正原価

2026.10.22 コラム
HUMAN MADEの高付加価値経営と運送業の適正原価を比較したイメージ画像

HUMAN MADEはなぜ値引きせずに成長できるのか

ユニクロUTを育てた経営者、BTSとの協業、高い利益率から考える運送業の適正原価

 

日本のアパレル業界で、値引き販売に頼らず、高い利益率を確保しながら世界市場で成長を続けている企業があります。

HUMAN MADE(ヒューマンメイド)です。

世界的ファッションデザイナーのNIGO氏が2010年に立ち上げたブランドで、現在の企業経営を率いるのは、かつてユニクロでTシャツ事業「UT」などを手掛けた松沼礼氏です。

松沼氏は、ファーストリテイリングの柳井正氏のもとで商品企画やマーケティングを経験し、ユニクロの成長に関わってきた人物です。

また、韓国の人気グループBTSのメンバー、j-hope氏との協業や、東京・原宿の旗艦店への訪問が話題となり、世界中のファッション愛好家から注目されています。

しかし、HUMAN MADEの本当の注目点は、有名アーティストとの関係やブランドの知名度だけではありません。

同社は、商品にかかったコストと必要な利益を考慮して販売価格を決め、セールや値引きを行わない経営方針を採っています。

2026年1月期には、売上高約143億円、営業利益約45億円、営業利益率約31.7%を達成しました。

この経営の考え方は、現在の運送業界で制度化に向けた議論が進む「適正原価」とも、重要な共通点があるのではないでしょうか。

安く販売することだけが競争力なのか。

企業が継続的に利益を確保するには、何が必要なのか。

今回は、HUMAN MADEの企業情報、経営者の経歴、BTSとの協業、販売戦略、決算、海外展開を詳しく紹介しながら、アパレル業界の経営から運送業界が学べることを考えます。


1.HUMAN MADEとはどのような企業なのか

HUMAN MADEは、2010年にNIGO氏が創業した日本発のファッションブランドです。

ブランドコンセプトは「THE FUTURE IS IN THE PAST(未来は過去にある)」。

ヴィンテージ文化と現代的なデザインを融合し、Tシャツ、スウェット、デニム、ジャケット、帽子、生活雑貨などを展開しています。

ハートや動物を取り入れたデザイン、素材や縫製へのこだわり、独自の世界観が特徴です。

ブランドを運営する会社は2016年2月5日にオツモ株式会社として設立され、2024年5月にHUMAN MADE株式会社へ商号を変更しました。

本社は東京都品川区上大崎にあります。

2025年11月27日には東京証券取引所グロース市場へ上場しました。

証券コードは456Aです。

創業者のNIGO氏は、現在もクリエイティブ・ディレクターとして商品の企画やブランドの世界観を担っています。

一方、代表取締役CEOの松沼礼氏が企業経営を率いています。

さらに経営陣には、財務や企業買収などの専門知識を持つ人材も加わっています。

同社の特徴は、ファッションデザイナーの感性に依存するだけではなく、商品開発、販売、財務、海外展開を組織的に管理する経営体制を整えていることです。

創造力を生み出す人材と、事業として利益を生み出す経営人材が、それぞれの専門性を発揮する仕組みになっています。

2.ユニクロの柳井正氏のもとで経験を積んだ松沼礼氏

HUMAN MADEの成長を語るうえで欠かせない人物が、代表取締役CEOの松沼礼氏です。

松沼氏は、以前ユニクロで商品企画やマーケティングに携わっていました。

特に、Tシャツブランド「UT」の立ち上げと成長に深く関わったことで知られています。

ファッションメディアFASHIONSNAPのインタビューでは、松沼氏が柳井正氏からTシャツのブランドを作るよう求められた経緯を語っています。

2006年のユニクロ・ニューヨーク旗艦店におけるTシャツ企画の成功を経て、UTが立ち上がりました。

その後、松沼氏はUT・コラボレーション事業、グローバルPR、日本国内のマーケティングなどの責任ある立場を経験しました。

2013年にはNIGO氏をUTのクリエイティブ・ディレクターに迎え、両氏が仕事を共にするようになります。

そして2021年、松沼氏はHUMAN MADEの経営に参画しました。

2024年には代表取締役CEO兼COOに就任し、2026年からは代表取締役CEOを務めています。

ここで興味深いのは、ユニクロとHUMAN MADEの販売方法が大きく異なることです。

ユニクロは、多くの消費者が日常生活で必要とする衣料品を、幅広い価格帯と供給網によって販売しています。

一方、HUMAN MADEは独自性や希少性、品質、デザインなどの付加価値を重視しています。

大量に供給するユニクロと、供給量を慎重に管理するHUMAN MADE。

その販売戦略は異なりますが、顧客が求める価値を理解し、商品企画から販売までを管理する重要性は共通しています。

松沼氏が柳井氏のもとで学び、実践してきた商品企画や事業運営の経験は、現在のHUMAN MADEの成長を考えるうえでも注目すべき要素です。

ただし、HUMAN MADEの値引きをしない販売方針そのものが、柳井氏から直接受け継がれた経営哲学であると確認されたわけではありません。

異なる販売戦略であっても、商品と顧客に向き合い、事業として利益を生み出す仕組みを考えることが重要なのです。

3.BTSのj-hope氏も訪れた原宿の旗艦店

HUMAN MADEが世界で注目される理由の一つに、音楽やアートとファッションを結びつける戦略があります。

その代表例が、韓国の人気グループBTSのメンバー、j-hope氏との協業です。

2025年11月22日、HUMAN MADEはj-hope氏とのコラボレーションコレクション「HUMAN HOPE」を発売しました。

公式発表では、j-hope氏が以前からHUMAN MADEの商品を愛用していたことが協業につながったと説明しています。

このコレクションでは、リスのグラフィックや特別なロゴを使ったジャケット、Tシャツ、生活雑貨などが展開されました。

さらに2026年9月26日には、第2弾となる「HUMAN HOPE SEASON 2」を発売しています。

同日、東京・原宿には「HUMAN MADE TOKYO」がオープンしました。

この店舗は3フロア、595平方メートルというブランド最大規模の旗艦店です。

店舗では、アパレルや生活雑貨に加えて、スニーカーなどの幅広い商品を展開しています。

倉庫をイメージした店内には、商品ストック用のコンテナも設置されています。

2026年9月には、NIGO氏とj-hope氏が、この原宿旗艦店に二人そろって訪れた様子が海外メディアで報じられました。

なお、訪問したのはBTSのグループ全員ではなく、メンバーのj-hope氏です。

さらに2026年10月13日、ナイキはNIGO氏とj-hope氏が共同でデザインに携わった新たな「Air Force 1」を発表しました。

この商品は10月17日にHUMAN MADE公式オンラインストアで先行発売し、10月22日にSNKRSなどで発売する予定です。

ここで注目したいのは、HUMAN MADEの宣伝方法です。

一般的な広告に多額の費用をかけて商品を売るだけではなく、世界的なアーティストやクリエイターとの協業によって、異なる文化やファン層との接点を生み出しています。

もちろん、著名人との協業そのものにも企画や制作の費用は必要です。

それでも、ブランドに共感する人々が自発的に商品や情報を発信する仕組みは、知名度とブランド価値の向上につながります。

HUMAN MADEは、商品だけではなく、文化や体験を通じて価値を提供している企業といえるでしょう。


4.なぜHUMAN MADEは値引きしないのか

HUMAN MADEの経営で、最も注目したいのが販売価格の決め方です。

同社の2026年1月期有価証券報告書には、価格決定に関する基本方針が明記されています。

商品にかかったコストと必要な利益を考慮して販売価格を決定するという考え方です。

さらに、他社の同じ商品カテゴリーと価格差が生じた場合でも、その差を上回る価値を顧客に提供する方針を示しています。

また、ブランド価値を維持するため、セールや値引き販売を行わないとしています。

一般的なアパレル企業では、販売する季節や流行が変わることで売れ残りが発生し、値引きや在庫処分が必要になる場合があります。

しかし、販売価格を引き下げれば、その分だけ利益が減少する可能性があります。

HUMAN MADEは、商品の企画段階から素材、品質、デザイン、供給数量を管理し、値引きに頼らず商品を販売することを重視しています。

有価証券報告書では、会社設立から一貫してプロパー消化率100%を実現してきたと説明しています。

プロパー消化率とは、販売した商品のうち、定価で販売した商品の割合です。

また、発売した商品のうち最終的に販売された商品の割合を示す商品消化率も、ほぼ100%と説明しています。

この2つは異なる指標であり、いずれも会社が開示する定義に基づくものです。

その背景には、需要に対して供給数量を慎重に設定する戦略があります。

供給しすぎれば在庫が増え、値引きが必要になる可能性があります。

反対に供給量が少なすぎれば、商品を購入したい顧客が買えなくなり、販売機会を失います。

そのため、HUMAN MADEも定番商品の品番数や在庫の拡充を進めています。

単に商品を少なく作ればよいわけではありません。

顧客が求める商品価値を高め、その価値に見合った価格で販売し、必要な数量を適切に供給することが重要なのです。


5.売上高以上に注目したい営業利益

HUMAN MADEの業績を見ると、この販売戦略の成果が数字にも表れています。

2025年1月期
売上高:112億5,800万円
営業利益:31億8,000万円
営業利益率:約28.2%

2026年1月期
売上高:142億7,300万円
営業利益:45億3,100万円
営業利益率:約31.7%

2026年1月期の売上高は、前期比26.8%増加しました。

一方、営業利益は42.5%増加しています。

売上高の増加率を営業利益の増加率が大きく上回っています。

さらに、2026年9月11日に発表された2027年1月期中間決算では、2026年2月から7月までの連結売上高が87億5,800万円、営業利益が24億5,600万円となりました。

前年同期の単体実績との参考比較では、売上高46.3%増、営業利益36.1%増です。

ただし、今期から連結決算へ移行しているため、前年同期と完全に同じ集計条件による比較ではありません。

同社は、この中間決算に合わせて通期業績予想を上方修正しました。

2027年1月期の会社予想
売上高:192億円
営業利益:53億円
営業利益率:約27.6%

売上高は引き続き拡大する見込みですが、海外進出や新規出店などの投資によって、営業利益率は前期より低下する予想です。

つまり、高い利益率を実現している企業であっても、成長のためには投資と費用が必要になります。

今後の課題は、国内外で事業規模を拡大しながら、どこまで収益性を維持できるかという点です。


6.販売だけではない、在庫管理と物流DXの重要性

HUMAN MADEの経営では、商品企画と販売だけでなく、在庫管理や店舗運営も重要な役割を担っています。

2026年1月期の売上高では、自社店舗と自社ECを合わせた直接販売比率が約83%を占めています。

自社で顧客との接点を持つことで、販売価格、商品構成、顧客対応、ブランドの世界観などを管理しやすくなります。

また、販売状況を把握しながら、店舗とECの間で商品を適切に配分することも重要です。

原宿の旗艦店では、自社開発のモバイルオーダーシステムが導入されています。

顧客が商品に付いたQRコードをスマートフォンで読み取り、注文すると、その情報が商品ストック担当者に共有されます。

これにより、スタッフの移動や顧客の待ち時間を減らすことを目指しています。

一方で、人による接客も大切にしています。

効率化できる部分はデジタル技術を活用し、人にしかできない仕事へ時間を振り向けるという考え方です。

これは物流DXにも通じます。

例えば、運送会社でも配車情報、車両情報、運行状況、荷物情報を適切に共有できれば、確認作業や手配業務を効率化できる可能性があります。

人による判断や顧客との連絡が必要な部分は残しながら、情報の共有や事務作業をデジタル化することが重要です。

HUMAN MADEの取り組みは、デジタル化の目的が単なる人員削減ではなく、効率性とサービス品質の両立にあることを示しています。


7.海外店舗の拡大とUNDERCOVERの買収

HUMAN MADEは、日本国内から世界へ事業を拡大しています。

2023年9月には中国・上海に「HUMAN MADE HUAIHAI」を開業しました。

2024年9月には韓国・ソウル、同年10月には香港にも店舗を開設しています。

これらの店舗は、現地パートナーによる運営です。

さらに2026年3月28日には、タイ・バンコクのCentral Embassy内に「HUMAN MADE BANGKOK」をオープンしました。

この店舗も現地パートナーによる運営です。

海外に進出する場合、すべての店舗を自社で運営する方法だけでなく、地域の事情を理解する企業と協力する方法もあります。

HUMAN MADEは、販売市場や地域に応じて、店舗運営や卸売などを組み合わせています。

さらに2026年9月11日、HUMAN MADEはファッションブランド「UNDERCOVER」を展開する株式会社アンダーカバーの全株式取得契約を締結しました。

株式取得額は5億3,800万円です。

アドバイザリー費用等の概算1,600万円を含めると、取得価額の合計は概算5億5,400万円になります。

株式譲渡の実行は2027年2月を予定しています。

UNDERCOVERは、高橋盾氏が手掛ける日本発のデザイナーズブランドで、国内外に高い知名度を持っています。

HUMAN MADEは、買収後もブランドの独自性を維持しながら、販売方法、経営管理、物流、ITシステムなどを強化する方針です。

同社の説明資料では、5年程度を目安にUNDERCOVERの売上高50億円前後、営業利益率20%前後を目指す中期目標も示しています。

ただし、これらは将来の目標であり、実現が確定しているものではありません。

ここでも注目したいのは、ブランドの人気だけでなく、販売方法や経営基盤の改善によって収益性を高めようとしていることです。

8.HUMAN MADEの経営と運送業の適正原価

ここからは運送業界の視点で考えてみます。

2025年6月11日、トラック適正化二法が公布されました。

このうち貨物自動車運送事業法の改正では、国土交通大臣が定める適正原価を継続して下回らないようにする規定が設けられています。

同規定は公布から3年以内に施行されることとされ、2026年10月時点では、適正原価の設定に向けた検討が進められています。

HUMAN MADEの販売価格の決め方と、運送業界の法制度としての適正原価は同じものではありません。

しかし、原価と必要な利益を考えることには共通する部分があります。

運送会社が輸送を行うためには、ドライバーの人件費、燃料費、車両購入費、整備費、保険料、管理費などの費用が発生します。

加えて、荷待ち時間、積込・荷卸し作業、拘束時間、高速道路料金、帰路の輸送条件なども、輸送の採算を左右します。

これらの費用を把握しなければ、提示された運賃で必要な利益を確保できるかどうかを正確に判断できません。

HUMAN MADEは、商品にかかったコストと必要な利益を考え、価格を決定しています。

運送会社も同じように、自社の輸送原価を把握し、そのうえで適切な運賃を考える必要があります。

ただし、重要な違いもあります。

HUMAN MADEは、商品価値の維持を目的として供給量を調整しています。

一方、物流は国民生活や産業活動を支える社会基盤です。

必要な輸送力を意図的に不足させて価格を上げるような方法が望ましいわけではありません。

運送業界が学ぶべきなのは、供給量を絞る方法ではなく、原価を把握し、提供するサービスの価値に見合った価格を考える経営姿勢です。


9.運送会社が価格競争から抜け出すには何が必要か

運送業界では、運賃の安さが仕事の受注に大きく影響する場面があります。

しかし、輸送条件が異なれば、必要な原価も異なります。

例えば、同じ10トントラックによる輸送でも、積込時間、荷卸し条件、待機時間、輸送距離、貨物の種類、帰り荷の有無によって採算は変わります。

したがって、運賃の金額だけを単純に比較しても、適切な取引条件かどうかは判断できません。

本来、運送会社は自社の費用構造を把握し、輸送条件に応じた運賃を設定する必要があります。

また、荷主企業や発注側の運送会社にも、輸送費用を抑えるために改善できる部分があります。

荷待ち時間の短縮、積込・荷卸し作業の効率化、配送スケジュールの調整、積載効率の向上などです。

これらの改善によって実際に必要な輸送原価を下げることができれば、発注側と受注側の双方に利益をもたらす可能性があります。

重要なのは、運賃を一方的に引き下げることではなく、輸送条件を改善して無駄な費用を減らすことです。

HUMAN MADEが商品の価値を高めながら利益を確保しているように、運送会社も安全性、輸送品質、対応力、効率性といったサービスの価値を高めていくことが大切です。


10.物流マッチングシステムも適正原価を意識する時代へ

近年は物流DXの進展によって、物流マッチングシステムや求荷求車サービスを利用し、運送会社同士で荷物情報や空車情報を共有する方法が広がっています。

これらは、車両の有効活用や帰り荷の確保、輸送効率の向上に役立つ可能性があります。

しかし、物流マッチングシステムが単純に最も安い運賃を提示した運送会社を探すためだけの仕組みになれば、持続可能な取引環境につながるとは限りません。

今後、重要になるのは、運送会社が自社の原価を理解したうえで希望運賃を設定し、発注側と輸送条件について協議できることです。

例えば、空車情報を登録する際に、燃料費、人件費、車両費、各種経費、必要な利益などを考慮して、希望運賃を提示する仕組みが考えられます。

ここでいう希望運賃は、各運送会社が自社の費用や輸送条件に基づいて独立して判断するものです。

運送会社間で一律の運賃を決めたり、価格を共同で調整したりするためのものではありません。

また、希望運賃がそのまま法制度上の適正原価を満たすと保証されるものでもありません。

輸送条件を確認し、適切な運賃交渉を行うための出発点と考えることが重要です。

さらに、帰り荷を確保して空車回送を減らすことができれば、輸送効率の改善にもつながります。

ただし、帰り荷だからという理由だけで、必要な輸送原価を無視した運賃で受注してよいわけではありません。

効率化によって実際の輸送原価を減らすことと、必要な費用を下回る運賃で仕事を引き受けることは、別の問題です。

物流マッチングシステムも、安い運送会社を探すだけでなく、適切な輸送条件、運賃、品質、対応力を踏まえた取引を支援する仕組みへと発展していくことが期待されます。


11.異業種から学ぶのは、値引きしないことだけではない

HUMAN MADEの経営を見ていると、値引きしなければ高い利益率を実現できると考えてしまうかもしれません。

しかし、同社の収益性は、単に値引きをしないことで成り立っているわけではありません。

商品の品質、独自のデザイン、ブランドの世界観、供給量、販売方法、在庫管理、海外展開など、多くの経営要素が組み合わされています。

さらに、企画や販売、デジタル技術を活用した店舗運営を改善し続けています。

運送業でも同じように、運賃の引き上げだけで経営が改善するとは限りません。

ドライバーの労働環境、車両の稼働率、燃料使用量、荷待ち時間、輸送品質、安全管理など、改善すべき項目は数多くあります。

これらを見直し、無駄な費用を減らしながら、必要な利益を確保することが重要です。

適正原価の制度が導入されても、各運送会社の経営努力やサービス品質の向上が不要になるわけではありません。

むしろ、適切な原価管理と経営改善を両立できる企業が、持続的に事業を続けるための基盤を築くことにつながると考えられます。


12.まとめ 価値に見合う価格が持続可能な産業をつくる

HUMAN MADEは、NIGO氏が生み出す独自の世界観と、ユニクロで経験を積んだ松沼礼氏の経営手法を組み合わせ、世界市場で成長を続けています。

BTSのj-hope氏との協業、国内外の店舗展開、UNDERCOVERの買収など、その取り組みはファッションの枠を超えて広がっています。

しかし、収益性を考えるうえで特に重要なのは、商品の価値を高め、原価と必要な利益を考えて販売価格を決定する経営方針です。

運送業界でも、適正原価に基づく運賃の考え方が重要になっています。

安い運賃で仕事を確保するだけでは、車両更新、人材育成、安全対策、労働環境の改善に必要な資金を継続して確保することが難しくなる場合があります。

だからこそ、運送会社自身が輸送原価を正しく把握し、荷主企業や発注側に必要な費用と提供するサービスの価値を説明できることが大切です。

また、物流DXや物流マッチングを活用し、空車回送の削減、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮などに取り組むことも必要です。

価格競争だけではなく、輸送品質、安全性、信頼性、効率性によって評価される経営へ。

HUMAN MADEの成功から学べるのは、単に値引きをしない販売戦略ではありません。

自社が提供する価値を理解し、その価値を顧客に届ける仕組みをつくることです。

運送業界においても、適正原価を意識し、適切な運賃で安全かつ持続的な輸送サービスを提供できる環境を整えることが重要になります。

価値に見合う価格を考えること。

それは、企業の利益を守るだけでなく、働く人、取引先、そして社会全体の未来を支える経営につながるのではないでしょうか。

よくある質問

Q1.HUMAN MADEはなぜ値引きをしないのですか?

商品価値やブランドの世界観を維持するためです。コストと必要利益を考慮して価格を決め、需要に応じた供給管理や在庫管理、自社店舗・ECを中心とした販売を組み合わせています。

Q2.HUMAN MADEとユニクロにはどのような関係がありますか?

HUMAN MADEの代表取締役CEO・松沼礼氏は、以前ユニクロでUT事業やマーケティングなどを担当していました。NIGO氏も2013年からUTのクリエイティブ・ディレクターとして松沼氏と仕事を共にした経歴があります。

Q3.HUMAN MADEの営業利益率が高いのはなぜですか?

独自のブランド価値、定価販売を重視する価格戦略、需要に応じた商品供給、自社店舗・ECを中心とした販売構造、在庫管理などが利益率を支える要素となっています。

Q4.アパレルの価格戦略と運送業の適正原価にはどのような共通点がありますか?

業種や制度は異なりますが、価格を決める際に必要な費用を把握することは共通しています。運送会社も人件費、燃料費、車両費などを把握し、輸送条件に応じた適切な運賃を考えることが重要です。

Q5.物流マッチングシステムは適正原価の考え方に役立ちますか?

適正原価を自動的に保証するものではありませんが、運送会社が自社の原価を踏まえた希望運賃と輸送条件を提示できれば、運賃交渉や輸送効率の改善に役立つ可能性があります。

丸共協同株式会社について

丸共協同株式会社では、全国のトラック手配、チャーター便、帰り便の活用、運送会社同士の連携などを通じて、物流の効率化に取り組んでいます。

輸送原価を意識した適切な取引と、物流効率の改善を両立させることが、これからの物流業界にとって重要だと考えています。

トラック手配や輸送に関するご相談は、丸共協同株式会社のホームページをご覧ください。

https://www.marukyo-group.co.jp/

参考資料

1.HUMAN MADE株式会社「会社概要・沿革」
https://humanmade.co.jp/company/

2.HUMAN MADE株式会社「IRライブラリ・有価証券報告書・決算短信」
https://ir.humanmade.co.jp/library/

3.HUMAN MADE株式会社「2027年1月期 第2四半期(中間期)決算短信」2026年9月11日
https://ir.humanmade.co.jp/library/

4.HUMAN MADE株式会社「2027年1月期 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」2026年9月11日
https://ir.humanmade.co.jp/library/

5.FASHIONSNAP「HUMAN MADEが100億円ブランドに成長 “NIGOの存在を超えていく” 松沼礼CEOインタビュー」
https://www.fashionsnap.com/article/human-made-rei-matsunuma/

6.HUMAN MADE株式会社「HUMAN MADE初の旗艦店『HUMAN MADE TOKYO』オープンのお知らせ」2026年9月17日
https://humanmade.co.jp/news/260917

7.HUMAN MADE「j-hope of BTSとのコラボレーション HUMAN HOPEコレクション発売のお知らせ」2025年11月18日
https://www.humanmade.jp/news/human-hope-2025-nov.html

8.HUMAN MADE「HUMAN HOPE SEASON 2」2026年9月20日
https://www.humanmade.jp/en/news/human-hope-2-2026-sep.html

9.HUMAN MADE株式会社「HUMAN MADE BANGKOKオープンのお知らせ」2026年3月23日
https://humanmade.co.jp/en/news/260323

10.Nike Japan「NIGOとj-hopeがNike x NIGO エア フォース 1 ワールドツアーを通じてアイコンに新たなエネルギーを吹き込む」2026年10月13日
https://nike.jp/nikebiz/news/2026/10/13/7463/

11.HUMAN MADE株式会社「株式会社アンダーカバーの株式取得に関する株式譲渡契約締結のお知らせ」2026年9月11日
https://ir.humanmade.co.jp/library/

12.allkpop「BTS’s j-hope makes surprise appearance at HUMAN MADE Tokyo flagship ahead of grand opening」2026年9月26日
https://lab.allkpop.com/article/2026/09/btss-j-hope-makes-surprise-appearance-at-human-made-tokyo-flagship-ahead-of-grand-opening

13.国土交通省「トラック適正化二法について」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000019.html

14.国土交通省「適正原価の設定に向けた有識者検討会」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000020.html

※企業業績、出店・買収計画、商品発売予定、法制度の説明は2026年10月15日時点の公表情報に基づきます。2027年1月期の業績数値は会社予想であり、確定した実績ではありません。

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