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AIデータセンター約270兆円市場で物流はどう変わる?半導体・電力設備に広がる輸送需要

2026.10.23
AIデータセンターイメージ

AIデータセンター約270兆円市場で物流はどう変わる?

丸共協同株式会社が考える、半導体・電力設備・建設資材に広がる輸送需要

本稿は、企業・団体が公表した一次情報と、日経ビジネス・日経クロステックの特集動画をもとに、丸共協同株式会社が物流現場の視点から独自に考察したものです。特定企業の株式購入や投資を推奨するものではありません。

冒頭要約

生成AIの普及を背景に、世界各地でAIデータセンターへの投資が拡大しています。

日経ビジネスと日経クロステックの共同特集では、2030年の世界のデータセンター市場を約270兆円規模と紹介しています。

一方、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の一次資料では、2030年の世界のデータセンターサービス市場を1兆7,200億ドルと予測しています。円換算額は使用する為替レートによって変わるため、約270兆円は将来予測を円換算した概算として理解する必要があります。

市場拡大の影響は、GPUや半導体だけではありません。半導体基板、ガラス素材、発電所向けポンプ、冷却設備、通信機器、建設資材など、幅広い製品と産業に波及しています。

これらの製品を製造拠点や建設現場へ届けるには、物流が必要です。

さらに、国内のデータセンターが東京圏・大阪圏以外へ分散すれば、新しい輸送ルートが生まれ、トラック手配、チャーター便、スポット便、緊急配送の需要が変化する可能性があります。

ただし、市場予測だけを前提に車両や設備を増やすことにはリスクがあります。重要なのは、必要な地域、日時、車種に応じて、荷物情報と車両情報を柔軟につなぐことです。

目次

1.AIデータセンター約270兆円市場とは
2.イビデンの5,000億円投資が示す需要拡大
3.半導体以外にも広がるAI投資の波
4.AIデータセンターの整備で動く主な貨物
5.データセンターは東京圏・大阪圏以外へ
6.地方分散でトラック手配はどう変わるのか
7.需要変動に備えて車両を増やすだけでは解決しない
8.運送会社への見積もり依頼で必要な情報
9.丸共協同株式会社が考える物流の役割
10.よくある質問
11.まとめ


1.AIデータセンター約270兆円市場とは

JEITAは、2030年の世界のデータセンターサービス市場が1兆7,200億ドルとなり、2025年と比べて2倍を超える規模になると予測しています。

日本のデータセンターサービス市場についても、2030年に5兆6,540億円へ成長する見通しです。

さらに、GPU、冷却分配ユニット、サーバー、ネットワークスイッチ、SSDなどを含む世界のデータセンター関連製品市場は、2030年に1兆6,907億ドルへ拡大すると予測されています。

成長を支える主な要因は次のとおりです。

  • SaaS、IaaS、PaaSなどのクラウドサービス
  • 動画配信やオンラインゲーム
  • 生成AIの学習と推論
  • GPUサーバー
  • 高速ネットワーク
  • サーバーの発熱に対応する冷却設備
  • 大量の電力を安定供給する電力インフラ

JEITAの資料では、1ドル148.8円の為替レートを使用しています。この条件で1兆7,200億ドルを円換算すると約256兆円です。

日経ビジネスと日経クロステックの「約270兆円」という表現は、異なる為替水準で換算した概算と考えられます。

したがって、本稿の「約270兆円」は現在の市場規模ではなく、2030年に向けた将来予測であり、円換算額は為替によって変動します。

参考:JEITA「データセンターサービスの市場見通し」


2.イビデンの5,000億円投資が示す需要拡大

日経ビジネスと日経クロステックの動画では、岐阜県大垣市に本社を置くイビデンが紹介されています。

イビデンは2026年2月3日、2026年度から2028年度までの3年間で、電子事業に総額約5,000億円を投資する計画を発表しました。

目的は、AIサーバーや高性能サーバーに使われる高機能ICパッケージ基板の生産能力を増強することです。

約5,000億円は電子事業全体の投資構想です。その最初の具体的な設備投資として、河間事業場や海外を含む既存工場などへ約2,200億円を投じ、2027年度から順次量産を開始する計画が示されています。

AI向けGPUの性能が高まるにつれて、ICパッケージ基板は大型化・多層化しています。その結果、高度な微細加工技術を持つ企業や、基板を構成する材料メーカーへの需要も拡大しています。

工場への設備投資が進めば、生産設備、資材、部品、保守用品などを運ぶ物流も必要になります。

さらに動画では、イビデンの成長が雇用や税収を通じて、大垣市の商業施設の再開発や地域経済にも波及していると紹介されています。

大規模な製造拠点への投資は、一企業の成長にとどまらず、周辺企業や地域物流の流れを変える可能性があります。

参考:イビデン「高機能ICパッケージ基板向け設備投資計画」


3.半導体以外にも広がるAI投資の波

AIデータセンターを稼働させるには、GPUやサーバーだけでは不十分です。

半導体基板、絶縁材料、ガラス素材、電力設備、冷却設備、ポンプ、通信ケーブルなど、多くの製品と技術が必要になります。

日経の特集では、AIデータセンターを起点とした需要が、一見するとAIとの関係が分かりにくい企業にも広がる現象を「AIデータセンター・エフェクト」として紹介しています。

味の素

味の素グループは、半導体パッケージ基板に使われる絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム」を展開しています。

調味料や食品のイメージが強い企業ですが、研究開発から生まれた材料が、AI半導体を支える重要な製品になっています。

日東紡

日東紡は、半導体基板に使われるガラス素材を製造しています。

半導体基板が大型化・多層化すると、製造時の反りを抑える技術の重要性が高まります。そのため、基板を支えるガラス素材の需要にも影響が広がっています。

酉島製作所

酉島製作所では、データセンターへ電力を供給する発電所向けポンプの需要が注目されています。

ここで注意したいのは、酉島製作所のポンプがデータセンター内部を直接冷却するためのものではないという点です。

AIデータセンターの電力需要が拡大する
↓
北米などで発電所の建設需要が高まる
↓
発電所で使用する給水ポンプの需要が増える

このような流れで、AIデータセンターの成長が発電所向けポンプへ間接的に波及しています。

参考:酉島製作所「日経ビジネス・日経クロステック公式YouTubeチャンネルで当社のポンプが取り上げられました」

このほか、光通信、液冷設備、研磨材料なども、次世代GPUに関連する有望分野として紹介されています。


4.AIデータセンターの整備で動く主な貨物

ここからは、公開情報をもとに丸共協同株式会社が物流現場の視点から考察します。

AIデータセンターは、建物を建設して終わる施設ではありません。

建設前の資材搬入から設備設置、サーバー導入、稼働後の保守・増設まで、段階ごとに異なる物流が発生します。

段階   想定される主な貨物   トラック手配で重要になる点
建設段階   建設資材、鉄骨、配線設備、電力関連設備   工程に合わせた納入日時と車両条件
設備搬入   空調設備、液冷設備、電源設備、ラック   貨物寸法、搬入口、荷役方法
サーバー導入   サーバー、通信機器、精密部品   衝撃対策、時間指定、積み替え条件
稼働・保守   交換部品、保守用品、追加機器   緊急配送やスポット便への対応
増設段階   GPUサーバー、冷却設備、電力設備   工事工程と連動した継続的な配車


同じデータセンター関連貨物でも、重量、寸法、容積、梱包状態、荷役方法によって必要な車両は異なります。

2tトラック、4tトラック、10tトラックのどれを使うかは、貨物重量だけでは決められません。

パレット数、貨物の高さ、搬入経路、フォークリフトやクレーンの有無、時間指定などを確認し、必要に応じて平ボディー車、ウイング車、ユニック車、トレーラーなども検討する必要があります。


5.データセンターは東京圏・大阪圏以外へ

日経クロステックは、2026年4月23日から5月26日まで、データセンター事業を手掛ける約80社を対象に調査を実施しました。

有効回答42社のうち、2026年から2030年までにデータセンターの新設・増設を予定している企業は24社で、計画は合計38件でした。

立地を検討中の3件を除く35件の内訳は次のとおりです。

  • 東京圏:13件
  • 大阪圏:9件
  • 東京圏・大阪圏以外:13件

東京圏・大阪圏以外の13件は、立地が判明している35件の約37%に当たります。

調査上の東京圏には千葉県と埼玉県、大阪圏には京都府が含まれています。

この結果から、依然として東京圏・大阪圏の比重は大きいものの、地方分散も徐々に進み始めていることが分かります。

参考:日経BP「2026年以降のデータセンター新設・増設予定は24社38件」

NTTも、国内データセンターのIT電力容量を、現状の約300MWから2033年度に3倍を超える約1GWへ拡張する計画を発表しています。

ここでいう「3倍超」は、データセンターの建物数や床面積ではなく、サーバーなどのIT機器へ供給できる電力容量を表しています。

栃木県や千葉県印西・白井エリアなどでも、大規模なデータセンター整備が計画されています。

参考:NTT「AIネイティブインフラAIOWNの展開」


6.地方分散でトラック手配はどう変わるのか

データセンターの地方分散が進むと、物流にも新しい動きが生まれます。

都市部の倉庫や製造拠点から地方の建設現場へ、設備や部品を輸送する新しいルートが必要になります。

複数の建設工事や設備搬入が同じ時期に重なると、特定の地域や車種へ配車依頼が集中する可能性もあります。

普段依頼している運送会社だけでは、必要な日時や車種に合う車両を確保できないことも考えられます。

そのため、次のような準備が重要になります。

  • 出荷予定をできるだけ早く共有する
  • 複数の運送会社へ見積もりを依頼する
  • 発地と着地の両方から車両を探す
  • 荷主企業にとっての帰り便を活用する
  • 運送会社にとっての帰り荷情報を共有する
  • スポット便と定期便を使い分ける
  • チャーター便や貸切便を検討する
  • 車両条件と荷役条件を事前に明確にする
  • 変更情報を関係者へ迅速に伝える

地方へ貨物を運んだ車両が帰り荷を確保できなければ、復路は空車になる可能性があります。

荷主企業の帰り便需要と運送会社の帰り荷情報をつなぐことができれば、限られた車両を有効に活用し、輸送の効率化につながります。


7.需要変動に備えて車両を増やすだけでは解決しない

日経の特集では、2030年以降のAIデータセンター市場について、次の3つのシナリオが示されています。

1.市場が持続的に成長する
2.半導体のシリコンサイクルと連動し、3年から5年程度で好況と不況を繰り返す
3.AIインフラへの投資が失速し、市場や株価への期待が収縮する

AI技術の省電力化や効率化、電力不足、建設費の上昇、実際の利用企業が確保できるかどうかによって、市場の成長速度が変わる可能性があります。

物流会社が一時的な需要増加だけを前提に、車両や設備を過剰に増やすことにはリスクがあります。

必要なのは、自社だけですべての輸送力を抱えることではありません。

荷物が発生した地域、必要な車種、日時、積載条件に応じて、条件に合う運送会社を探せるネットワークを整えることが重要です。

需要が急増したときには外部の輸送力を活用し、需要が落ち着いたときには固定費の増加を抑える。この柔軟性が、変化の速い市場では大きな意味を持ちます。


8.運送会社への見積もり依頼で必要な情報

運送会社へ見積もりを依頼するときは、少なくとも次の情報を整理する必要があります。

  • 集荷地と納品地
  • 集荷日と納品日時
  • 貨物名
  • 個数、重量、寸法
  • パレット、木箱、ケースなどの梱包状態
  • 希望する車種
  • 平ボディー、ウイング車などの車両形状
  • フォークリフトやクレーンの有無
  • 時間指定や入場予約の有無
  • 積み替えの可否
  • 精密機器などの特別な取扱条件
  • 貨物保険の確認
  • 配車依頼書など必要書類
  • 車番連絡の方法
  • 荷卸し完了後の報告方法

情報が不足していると、運送料の見積もりだけでなく、手配できる車両や運行計画にも違いが生じます。

価格だけで運送会社を選ぶのではなく、貨物条件を正確に共有し、安全に輸送できる方法を確認することが大切です。


9.丸共協同株式会社が考える物流の役割

丸共協同株式会社は、トラック手配とは、単に車両を一台確保する作業ではないと考えています。

荷主企業が求める納期と輸送条件を確認し、運送会社が安全に運行するために必要な情報を整え、双方が無理なく取引できる状態をつくることが配車の役割です。

AIデータセンターのように急速な市場拡大が見込まれる分野では、物流の準備が後回しになると、次のような問題が起こる可能性があります。

  • 設備は完成していても必要な部品が届かない
  • 工事日程に合う車両が確保できない
  • 貨物寸法に合う車種が手配できない
  • 搬入口や荷役条件が運送会社へ伝わっていない
  • 急な変更が関係者へ共有されない
  • 納品時間の遅れが次の工事工程へ影響する

物流は、完成した製品を最後に運ぶだけの仕事ではありません。

原材料、生産設備、部品、建設資材、保守用品を必要な場所へ届け、製造業、建設業、電力事業、情報通信産業をつなぐ基盤です。

荷主企業、運送会社、地域社会のいずれかに無理を残すのではなく、三方よし、そして未来よしとなる輸送体制をつくることが、これからの物流に求められます。


10.よくある質問

Q1.AIデータセンター物流とは何ですか?

AIデータセンターの建設、設備搬入、サーバー設置、稼働後の保守や増設に関係する物流です。

建設資材、電源設備、冷却設備、通信機器、サーバー、半導体関連機器、精密部品など、幅広い貨物が対象になります。

Q2.データセンター関連貨物にはどのトラックが必要ですか?

貨物条件によって異なります。

小型部品には2tトラック、パレット貨物や中型設備には4tトラック、大型設備やまとまった貨物には10tトラックが候補になります。

ただし、重量だけでなく、貨物寸法、容積、パレット数、荷役方法、搬入口の高さや道路条件を確認して判断する必要があります。

Q3.チャーター便とスポット便はどう違いますか?

チャーター便は、一台のトラックを特定の荷物のために貸し切る「輸送形態」を表します。

スポット便は、定期契約ではなく、必要なときに一回単位で依頼する「利用方法」を表します。

例えば、一回だけ依頼する貸切輸送は、スポット便であると同時にチャーター便でもあります。

Q4.急ぎのトラック手配では何が重要ですか?

集荷地、納品地、日時、貨物名、個数、重量、寸法、荷役方法を最初に正確に伝えることが重要です。

情報がそろっているほど、条件に合う運送会社や空き車両を探しやすくなります。

ただし、即日配送や緊急配送が可能かどうかは、地域、時間、車種、貨物条件によって異なります。

Q5.地方のデータセンター建設で物流需要は増えますか?

建設地、設備の調達先、工事規模によって異なりますが、都市部や製造拠点から地方の建設現場へ、設備や資材を運ぶ輸送需要が発生する可能性があります。

建設後も、保守部品、交換機器、追加サーバー、冷却設備などの輸送が必要になります。

Q6.運送会社を探すときは価格だけで選んでもよいですか?

価格だけではなく、必要な車種、貨物の取扱条件、運行日程、荷役方法、連絡体制、貨物保険なども確認する必要があります。

特に精密機器や時間指定貨物では、積み替えの有無や納品方法を事前に共有することが重要です。

Q7.チャーター便の見積もりを早く出してもらう方法はありますか?

集荷地、納品地、希望日時、貨物の重量・寸法、車種、荷役条件をまとめて伝えることが重要です。

配車依頼の情報が整理されていれば、運送会社が運行の可否や必要経費を判断しやすくなり、見積もりも進めやすくなります。


11.まとめ

AIデータセンター市場の拡大は、GPUや半導体だけでなく、ガラス素材、絶縁材料、発電所向けポンプ、冷却設備、光通信、建設資材などへ広がっています。

そのすべてを必要な場所へ届けるためには、物流が欠かせません。

国内のデータセンターが東京圏・大阪圏以外へ分散すれば、これまでとは異なる輸送ルートが生まれ、チャーター便、貸切便、スポット便、緊急配送、2t・4t・10tトラックの手配が必要になる場面も増える可能性があります。

一方で、約270兆円という大きな数字だけを見て、需要が永続すると判断するのは危険です。

商機を逃さず、過剰投資も避けるためには、自社保有車両だけに頼らず、地域を越えて荷物情報と車両情報をつなぎ、必要なときに必要な輸送力を確保できる体制が重要です。

丸共協同株式会社は、配車・トラック手配の現場から、物流を単なる輸送ではなく、企業と地域の成長を支える基盤として考えていきます。

トラック手配、運送会社への見積もり依頼、チャーター便、スポット便、帰り便などでお困りの場合は、貨物の内容、輸送区間、希望日時を整理したうえで、早めにご相談ください。

参考資料

 

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