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航空宅配9.34%減を2年比較で読む 物流統計の見方

2026.09.10
航空宅配イメージ
前年比9.34%減だけでは見えない物流の実態
― 2025年の増加と2026年の減少を「2年間」で考える ―

物流に関するニュースでは、「前年同月比○%増」「前年同月比○%減」という数字をよく目にします。

こうした数字は市場の変化を知るうえで大切です。

しかし、前年との比較だけで「荷物が増えた」「荷物が減った」と判断すると、実際の荷動きを見誤ることがあります。

2026年7月の国内航空宅配個数は341万2,618個となり、前年同月比9.34%減となりました。

9%を超える減少ですから、一見すると「航空宅配の荷物が大きく減っている」と感じます。

ところが、その前年である2025年7月は376万4,040個で、2024年7月と比べて13.20%増えていました。

さらに2024年7月までさかのぼると332万5,051個でした。

つまり、

2024年 332万5,051個
2025年 376万4,040個
2026年 341万2,618個

という流れです。

2026年は前年より減っています。

しかし、2年前の2024年と比較すれば、まだ約2.6%多い水準です。

物流の数字を見るときに大切なのは、「増えた」「減った」という一つの前年比だけではなく、その前にどのような動きがあったのかを見ることではないでしょうか。

目次
1. 2026年7月は9.34%減
2. その前年、2025年7月は13.20%増だった
3. 前年比は単純に足し引きできない
4. 2025年後半から流れが変わった
5. 4~7月を2年間で見る
6. 荷物が増え続けることを前提にしない物流へ
7. 物流企業に必要になる「数字を見る力」
8. おわりに

1.2026年7月は9.34%減

航空貨物運送協会が2026年8月24日に公表した7月の国内航空宅配個数は、341万2,618個、前年同月比9.34%減となりました。

2026年春以降を見ても、4月は265万6,459個で11.97%減、5月は248万9,344個で17.75%減、6月は約268万個で13.99%減となっており、前年を下回る動きが続いています。

この数字だけを並べれば、

「国内航空宅配が大きく減少している」

という印象になります。

しかし、物流統計は前年だけを見て判断しないことが重要です。

2.その前年、2025年7月は13.20%増だった

2025年7月の国内宅配個数は376万4,040個。

前年同月比13.20%増でした。

2025年前半を見ると、

1月 26.54%増
2月 24.12%増
3月 14.18%増
4月 22.23%増
5月 15.21%増
6月 6.91%増
7月 13.20%増

と、1月から7月まで前年を上回っていました。

つまり、2026年の減少率を見る際には、前年の2025年にかなり高い伸びを記録していた月があることも考慮しなければなりません。

前年の水準が高ければ、その翌年は実際の荷物量が極端に少なくなくても、前年比では大きなマイナスが出ることがあります。

いわゆる「前年の反動」です。

3.前年比は単純に足し引きできない

ここは物流統計を見るうえで非常に重要です。

2025年7月は13.20%増。

2026年7月は9.34%減。

では、

13.20%-9.34%=3.86%増

なのでしょうか。

そうではありません。

2024年の荷物量を100と仮定します。

2025年は13.20%増ですから、

100 → 113.20

となります。

2026年は、その113.20から9.34%減少しています。

113.20 × 0.9066 = 約102.63

です。

したがって、指数換算すると2026年7月は2024年7月と比較して約2.6%高い水準となります。

実際の個数でも、

2024年7月 332万5,051個
2025年7月 376万4,040個
2026年7月 341万2,618個

となっており、2026年7月は2024年7月より約2.63%多くなっています。

つまり、

「2026年は前年より9.34%減った」

という事実と、

「2024年と比べると約2.6%多い」

という事実は同時に成立します。

これが、一年間だけでなく2年間、3年間で物流統計を見る意味です。

4.2025年後半から流れが変わった

もう一つ注目したいのが、2025年の途中で流れが変化していることです。

2025年は7月まで前年を上回っていました。

ところが8月以降は、

8月 1.8%減
9月 10.45%減
10月 13.6%減
11月 20.89%減
12月 15.04%減

と前年割れへ転じています。

つまり、

2025年前半 増加

2025年後半 減少へ転換

2026年 前年割れとなる月が続く

という流れです。

そのため、2026年になって突然荷物が減り始めたと考えるよりも、2025年後半から荷動きに変化が現れていたと見る方が自然です。

一方で2025年前半の水準が高かったため、2026年春以降の前年比マイナスには、その反動も含まれています。

この二つを分けて考える必要があります。

5.4~7月を2年間で見る

2025年と2026年の前年同月比から、2024年を100として指数換算すると、次のようになります。

月   2025年前年比   2026年前年比     2024年→2026年
4月   +22.23%     ▲11.97%     約+7.6%
5月   +15.21%     ▲17.75%     約▲5.2%
6月   +6.91%     ▲13.99%     約▲8.0%
7月   +13.20%     ▲9.34%     約+2.6%

2025年4~7月の前年同月比は航空貨物運送協会の公表値、2026年4~7月も同協会公表値を基にしています。

ここで示した「2024年→2026年」は、公表されている前年比を掛け合わせた指数換算による概算です。

公表される前年同月比は小数点以下が丸められているため、実際の個数から計算した値とは若干の差が生じる場合があります。

そのため、数字を見る際には「約」としています。

なお7月については3年間の実数を確認できるため、実際の個数から計算しても2024年から2026年は約2.63%増となり、指数換算とほぼ一致します。

この表からも、状況が単純ではないことが分かります。

4月と7月は、2026年が前年割れでも2024年との比較ではプラスです。

一方、5月と6月は2年前の2024年水準も下回る計算になります。

つまり、

「2026年は前年割れだから航空宅配全体が急激に縮小している」

とも、

「前年の反動だけだから心配する必要はない」

とも言い切れません。

月ごとの変化と数年間の流れを両方見ることが重要です。

6.荷物が増え続けることを前提にしない物流へ

今回の数字から考えたいのは、航空宅配だけの問題ではありません。

NX総合研究所が2026年7月14日に公表した「2026年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」では、2026年度の国内貨物総輸送量を前年度比0.3%減と予測し、5年連続の減少を見込んでいます。

もちろん、ここは統計の対象を分けて考える必要があります。

国内航空宅配個数と国内貨物総輸送量は同じ統計ではありません。

航空宅配が減ったからといって、トラック輸送全体も同じ割合で減少すると考えることはできません。

また、輸送モードや貨物の種類、地域、業種によって荷動きは異なります。

しかし、さまざまな物流統計を継続して確認すると、

「荷物が増え続けることだけを前提に物流を考える時代ではなくなっている」

ということは意識しておく必要があるのではないでしょうか。

荷物が大きく増えないのであれば、これまで以上に重要になるのが、

一台の車両
一つの便
一つの輸送ルート

をどのように有効に使うかという考え方です。

7.物流企業に必要になる「数字を見る力」

運送会社様にとって、適正な運賃を確保することは非常に重要です。

燃料費、人件費、車両費、修繕費などが上昇するなか、必要な原価を反映した運賃を確保しなければ、持続可能な輸送はできません。

しかし、荷物の量そのものが大きく伸びない局面では、運賃だけで経営課題のすべてを解決することも難しくなります。

そこで重要になるのが、

車両の稼働状況
空車となっている区間
帰り荷の確保
積載状況
荷待ち時間
輸送ルート
地域ごとの荷動き

といった情報です。

荷主様にとっても同じです。

輸送予定を少し早く共有することで、運送会社様が車両を組み合わせやすくなることがあります。

運送会社様が地方行きを決めた時点から帰り荷を探すことができれば、空車で戻る距離を減らせる可能性もあります。

荷物が増える時代には、

「増える貨物をどう運ぶか」

が大きな課題でした。

これから荷物が大きく増えない時代を迎えるのであれば、

「今ある輸送をどうつなぐか」

という視点が、さらに重要になってくると考えています。

8.「前年比」だけで物流を判断しない

物流ニュースでは、

13%増
17%減
20%減

といった大きな数字が目に入ります。

しかし、その数字には必ず比較対象となる前年があります。

前年が大きく増えていれば、翌年にはマイナスが出やすくなります。

前年が大きく減っていれば、翌年にはプラスが出やすくなります。

だからこそ物流統計を見る際には、

前年との比較
2年前との比較
数か月の連続した動き
実際の輸送個数
他の物流統計との比較

を組み合わせることが重要です。

一つの数字だけを見るのではなく、「その数字の前後を見る」。

これは物流の現場を考えるときにも、企業経営を考えるときにも大切な視点ではないでしょうか。

おわりに

2026年7月の国内航空宅配個数は、前年同月比9.34%減でした。

しかし、その前年である2025年7月は13.20%増でした。

さらに実数で2年前と比較すると、2026年7月は2024年7月より約2.6%多い水準です。

一方、5月や6月については、指数換算すると2024年の水準も下回っています。

この違いこそ、物流統計を継続して見る意味だと考えています。

私たち丸共協同株式会社は、物流のニュースや統計を「増えた」「減った」という結果だけで見るのではなく、その数字の背景や流れまで考えていきたいと思います。

荷物の量が変化しても、物流そのものがなくなることはありません。

だからこそ、適正な運賃を守りながら、荷主様と運送会社様が情報をつなぎ、一台のトラック、一つの輸送を少しでも有効に使っていく。

物流を持続可能なものにするためには、こうした積み重ねがますます重要になっていくと考えています。

FAQ
Q1.2026年7月の国内航空宅配個数はどのくらい減りましたか?

341万2,618個で、前年同月比9.34%減となりました。ただし、前年の2025年7月は13.20%増だったため、前年比だけではなく2年前との比較も必要です。

Q2.13.20%増の翌年に9.34%減なら、差し引き3.86%増ですか?

単純な引き算にはなりません。2024年を100とすると2025年は113.20となり、そこから9.34%減少すると2026年は約102.63です。したがって2年間では約2.6%増となります。

Q3.2025年は年間を通して航空宅配が増えていたのでしょうか?

いいえ。2025年は1月から7月までは前年を上回りましたが、8月から前年割れに転じ、その後12月まで前年割れが続きました。

Q4.航空宅配の減少は、トラック輸送全体の減少を意味しますか?

必ずしもそうではありません。国内航空宅配個数とトラック貨物輸送量、国内貨物総輸送量はそれぞれ異なる統計です。複数の統計を組み合わせて物流全体の動きを見ることが重要です。

Q5.荷物が増えない局面で物流企業に必要なことは何でしょうか?

適正運賃の確保に加え、車両の稼働状況、積載、空車区間、帰り荷、荷待ち時間などを把握し、限られた輸送能力を効率的に使うことが重要になります。

参考資料

LNEWS
「航空貨物運送協会/7月の国内宅配個数341万個で9.34%減」
2026年8月24日公表
2026年7月 国内航空宅配個数の記事

LNEWS
「航空貨物運送協会/7月の国内宅配個数13.20%増」
2025年8月25日掲載

LNEWS
「航空貨物運送協会/7月の国内宅配個数10.58%増」
2024年8月27日掲載

株式会社NX総合研究所
「2026年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」
2026年7月14日公表

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