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米国向け海上コンテナは9.5%減 前年比・前月比から物流需要を読み解く

2026.09.14
米国向けコンテナイメージ

米国向け海上コンテナは9.5%減。本当に荷動きは悪化しているのか


― 前年比・前月比から考える「数字を物流判断につなげる」視点 ―


2026年7月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量は、前年同月比で9.5%減となりました。

「9.5%減」という数字だけを見ると、日本から米国への荷動きが大きく落ち込んでいるようにも見えます。

しかし、同じ7月を前月と比較すると11.0%増です。

前年より減っている。

一方で、前月より増えている。

一見すると反対に見える二つの数字が、同時に成り立っています。

物流の統計を見るときに大切なのは、一つの増減率だけで結論を出さないことです。

前年同月比を見る。

前月比を見る。

数か月の流れを見る。

前年がどのような水準だったのかを見る。

そして、その数字が何を基準に集計されているのかを見る。

複数の情報をつなげることで、数字の向こう側にある物流の動きが少しずつ見えてきます。

目次
1. 2026年7月は「前年比9.5%減、前月比11.0%増」
2. 前年の7月は12.2%増だった
3. 2年前まで広げると見え方が変わる
4. 4月から7月までの動きを見る
5. 荷受地ベースと母船積みベースは同じではない
6. 海上コンテナの動きは国内物流にもつながる
7. 情報を早く知ることが物流の選択肢を増やす
8. まとめ

1.2026年7月は「前年比9.5%減、前月比11.0%増」

デカルト・データマインが米国税関・B/Lデータを基にまとめた日本発米国向け海上コンテナ貨物について、LNEWSは2026年7月の実績を、

前年同月比9.5%減
前月比11.0%増

と報じています。

ここが今回、最も注目したいところです。

前年同月比だけを見れば「減少」です。

しかし、前月比では「増加」です。

さらに6月も、5月から前月比9.1%増となっていました。

つまり、前月比では5月から6月、6月から7月と、2か月続けて増加していることになります。

「前年より9.5%減った」

というのも事実です。

「前月より11.0%増えた」

というのも事実です。

どちらか一方だけを見て、荷動きが悪化している、あるいは回復していると判断するのは早いということです。

2.前年の7月は12.2%増だった

比較対象となる2025年7月も確認してみましょう。

2025年7月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量は、荷受地ベースで6万2,988TEUでした。

前年同月比では12.2%増です。

2025年は、それまで3か月連続で前年割れとなっていましたが、7月には二桁増へ転じました。

つまり、2026年7月の「9.5%減」を考える際には、比較対象となる2025年7月そのものが大きく伸びた月だったことも考慮する必要があります。

前年比は非常に分かりやすい指標です。

しかし、前年が高い水準だった場合、翌年は大きなマイナスに見えることがあります。

反対に、前年が低い水準だった場合には、大きなプラスに見えることもあります。

そのため、

「前年と比べて何%増えたか、減ったか」

だけでなく、

「比較対象となった前年は、どのような状態だったのか」

まで見ることが重要です。

3.2年前まで広げると見え方が変わる

ここで、増減率を使って2年間の流れを簡単な指数にしてみます。

2024年7月を100と仮定します。

2025年7月は前年同月比12.2%増でしたので、

2024年 100
2025年 112.2

となります。

そこから2026年が前年同月比9.5%減だったとすると、

112.2 × 0.905 = 約101.5

です。

公表された増減率を使った概算では、

2024年 100
2025年 112.2
2026年 約101.5

となります。

2026年は2025年から見れば9.5%減です。

しかし、2年前まで視野を広げると、2024年とほぼ同じ水準まで戻ったと見ることもできます。

同じ数字でも、

前年だけを見るのか。

2年間を見るのか。

それによって受ける印象は大きく変わります。

なお、この「101.5」は公表された増減率を使った指数上の概算値です。

4.4月から7月までの動きを見る

2026年の日本発米国向け海上コンテナ貨物を、直近数か月の流れで見てみます。

月      貨物量      前年同月比     前月比
4月     61,949TEU     11.7%増     13.1%増
5月     47,064TEU     11.3%減     24.0%減
6月     51,326TEU     0.2%減     9.1%増
7月     ―         9.5%減     11.0%増

4月は前年・前月ともに増加しました。

5月には大きく減少しました。

しかし6月は前月比9.1%増。

7月も前月比11.0%増となっています。

この4か月だけを見ても、単純な右肩上がりでも右肩下がりでもありません。

物流の荷動きは、生産、販売、在庫、為替、関税、季節要因、船腹、港湾、輸送ルートなど、さまざまな条件によって変化します。

だからこそ、一つの月の前年比だけではなく、

「数か月の流れがどうなっているのか」

を見ることが重要になります。

5.荷受地ベースと母船積みベースは同じではない

海上コンテナ統計を見るうえで、もう一つ重要なポイントがあります。

それが、

「どこを基準に貨物を集計しているのか」

です。

例えば2025年7月。

日本を荷受地とする米国向け貨物量は6万2,988TEUで、前年同月比12.2%増でした。

一方、日本の港から母船に積まれた貨物を基準とする「日本発母船積みベース」では、3万8,218TEUで前年同月比2.4%減でした。

同じ「日本発米国向け」というテーマを見ていても、

荷受地ベースでは増加。

母船積みベースでは減少。

という異なる結果になります。

この違いに関係するのがトランシップです。

日本で荷受けされた貨物のすべてが、日本の港からそのまま米国へ向かう母船に積まれるとは限りません。

海外の港を経由し、そこで別の船へ積み替えられる貨物もあります。

2025年7月については、第3国へのトランシップ貨物が2万4,828TEU、TS率は39.4%でした。

ここで大切なのは、2026年7月のトランシップ率を推測することではありません。

物流統計では、

「何TEU動いたのか」

だけではなく、

「どの基準で集計された数字なのか」

まで確認する必要があるということです。

同じ「日本発」という言葉でも、集計方法によって見える景色が変わります。

6.海上コンテナの動きは国内物流にもつながる

海上コンテナの統計というと、海運会社や港湾関係者だけの話のように感じられるかもしれません。

しかし、輸出貨物が港へ到着するまでには国内物流があります。

工場から倉庫へ。

倉庫から港へ。

工場から港へ。

輸入であれば、その反対方向に貨物が動きます。

そこにはトラック輸送、ドレージ、倉庫、荷役、幹線輸送など、さまざまな物流が関係しています。

例えば、ある地域からの輸出貨物が増える時期を早く把握できれば、その地域へ向かう輸送と、その地域から戻る輸送を組み合わせられる可能性があります。

荷主様にとっては、帰り便を活用できる可能性があります。

運送会社様にとっては、帰り荷を探すための情報の一つになります。

もちろん、海上コンテナの統計だけで個別のトラック輸送需要を予測できるわけではありません。

しかし、大きな物流の流れがどちらへ向かっているのかを考える一つの材料にはなります。

7.情報を早く知ることが物流の選択肢を増やす

物流効率化というと、AI、自動運転、物流ロボットなど、新しい技術に注目が集まります。

こうした技術は、これからの物流にとって重要です。

一方で、現在の物流でもできることがあります。

それが、

「情報を少し早くつなぐこと」

です。

荷主様が輸送予定を少し早く共有する。

運送会社様が、どこで、いつ車両が空くのかを少し早く把握する。

そして市場全体についても、統計やニュースから荷動きの変化を早くつかむ。

情報が早く分かれば、その分だけ輸送を組み合わせるための時間が生まれます。

その時間が、

空車回送を減らす。

帰り便を活用する。

帰り荷を探す。

車両を効率的に配置する。

といった次の物流判断につながる可能性があります。

物流の無駄を減らすためには、トラックが走り始めてから考えるだけではなく、その前を流れている「情報」をどう活用するかも重要です。

私たちは、物流の効率化は「運ぶ瞬間」だけで始まるものではないと考えています。

8.まとめ

2026年7月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量は、前年同月比9.5%減となりました。

しかし、前月比では11.0%増です。

さらに比較対象となる2025年7月は、前年同月比12.2%増と大きく伸びた月でした。

2年前まで広げて増減率を指数化すると、

2024年 100
2025年 112.2
2026年 約101.5

となります。

前年だけを見る。

前月を見る。

2年前まで見る。

それぞれで数字の見え方は変わります。

さらに海上コンテナ統計では、荷受地ベースなのか、母船積みベースなのかによっても結果が変わることがあります。

物流の数字を見るときに大切なのは、一つの数字から結論を急がないことです。

前年同月比を見る。

前月比を見る。

数か月、数年間の流れを見る。

集計方法を見る。

そして、その変化が実際の物流にどうつながるのかを考える。

数字は、見るだけでは物流を変えません。

数字を情報として捉え、その情報を次の物流判断につなげる。

丸共協同株式会社は、こうした視点を大切にしながら、これからも物流の変化を分かりやすくお伝えしていきたいと考えています。

FAQ
Q.前年同月比が減っていれば、物流需要も減っているのでしょうか?

必ずしもそうとは限りません。

前年の水準が高かった場合、今年の数字が大きなマイナスに見えることがあります。前月比や数か月、数年間の推移も合わせて確認することが大切です。

Q.TEUとは何ですか?

20フィートコンテナ1個を1TEUとして換算する、海上コンテナ貨物量を表す代表的な単位です。

Q.トランシップとは何ですか?

貨物を目的地まで同じ船で運ぶのではなく、途中の港で別の船へ積み替えて輸送する方法です。

Q.「荷受地ベース」と「母船積みベース」は何が違うのでしょうか?

荷受地ベースは貨物を受け付けた場所を基準にし、母船積みベースは実際に米国向けなどの母船へ積み込まれた場所を基準に集計します。トランシップがあるため、両者の数字や前年比が異なる場合があります。

Q.海上コンテナ統計は国内のトラック輸送にも関係しますか?

直接同じ数字で動くわけではありませんが、輸出入貨物には工場、倉庫、港などを結ぶ国内輸送が伴います。地域別、時期別の荷動きを考えるための参考情報の一つになります。

参考資料
・LNEWS「米国向け海上コンテナ貨物量/7月は9.5%減、前月比では11.0%増」2026年8月26日
・LNEWS「米国向け海上コンテナ貨物量/4月は11.7%増、前月比でも13.1%増」2026年5月21日
・LNEWS「米国向け海上コンテナ貨物量/5月は11.3%減、前月比では24.0%減」2026年6月25日
・LNEWS 2026年6月分 日本発米国向け海上コンテナ貨物量統計
・LNEWS「米国向け海上コンテナ貨物量/7月は12.2%増、マイナスから二桁増へ」2025年8月25日
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