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【物流の未来を考える】日本の物流を支えているのは誰なのか

2026.08.28 コラム

― 全国5万6,954社、10台以下が過半数。中小運送会社様の経営から考えるこれからの物流 ―

目次

1.運賃が改善しても、すべての運送会社様が同じではない
2.全国5万6,954社の半数以上が10台以下
3.日本の物流は中小運送会社様によって支えられている
4.大手と中小の違いは、車両台数だけではない
5.空車で走っていてもコストは発生する
6.物流効率化は「情報を早くつなぐ」ことから始まる
7.荷主様にとっても他人事ではない
8.中小運送会社様が元気でなければ、日本の物流は元気にならない
9.おわりに

1.運賃が改善しても、すべての運送会社様が同じではない

先日のコラムでは、トラック運送業界で運賃・料金水準に改善が見られる一方、企業規模によって業績や景況感に差が生まれていることについて取り上げました。

大手運送会社様では改善が見られても、中小・小規模の運送会社様では厳しい状況が続いている。

なぜ同じ物流業界の中で、このような差が生まれるのでしょうか。

もちろん、燃料費、人件費、車両費、保険料など、さまざまな要因があります。

しかし、もう少し物流業界全体を広く見ると、この問題を考えるうえで非常に興味深い数字があります。

それが、日本にはどれだけのトラック運送事業者があり、その多くがどのような規模の会社なのかという数字です。

2.全国5万6,954社の半数以上が10台以下

物流ウィークリーが2026年8月18日に報じた国土交通省の資料によると、2025年3月末現在、全国の一般貨物自動車運送事業者は5万6,954社あります。

そのうち、保有車両10台以下の事業者は2万9,275社。

全体の半数以上です。

一方、101台から500台を保有する事業者は1,087社、501台以上になると、わずか48社です。

資本金を見ても、1,000万円以下の事業者が3万8,231社で、全体の67.1%を占めています。

この数字を見ると、日本のトラック運送業界の姿がよく分かります。

日本の物流は、一部の大手運送会社様だけで成り立っているわけではありません。

全国各地に存在する数台、十数台、数十台という規模の運送会社様が、一台一台のトラックを動かすことで支えています。

3.日本の物流は中小運送会社様によって支えられている

工場から工場へ製品を運ぶ。

物流センターへ商品を届ける。

地方から都市へ農産物や製品を運ぶ。

都市から地方へさまざまな商品を届ける。

私たちが普段当たり前のように目にしている物流の裏側には、数多くの中小運送会社様がいます。

都道府県別の一般貨物自動車運送事業者数を見ると、最も多い東京都が4,817社、続いて大阪府が4,572社、埼玉県3,458社、北海道3,244社、愛知県3,018社となっています。

これだけ多くの会社が、それぞれ別々にトラックを動かしています。

だからこそ私たちは、中小運送会社様の経営問題を、一部の企業だけの問題として考えてはいけないと思っています。

中小運送会社様の経営が不安定になれば、その影響はやがて荷主様にも届きます。

そして最終的には、日本全体の物流を維持できるかという問題につながっていきます。

4.大手と中小の違いは、車両台数だけではない

大手運送会社様と中小運送会社様の違いは、単純にトラックの台数だけではありません。

大きな違いの一つに「情報量」があると私たちは考えています。

例えば、大阪から東京へトラックを走らせたとします。

大手運送会社様であれば、東京や神奈川、埼玉などにも営業所や取引先があり、自社のネットワークを使って大阪方面への帰り荷を探せる場合があります。

一方、10台程度の運送会社様が、全国各地に営業所や営業担当者を配置することは簡単ではありません。

社長自身が営業を行いながら配車を組み、ドライバーへ連絡し、運行管理や請求業務まで行っている会社もあります。

会社の規模が小さいから輸送品質が低いわけではありません。

長年の経験を持ち、高い輸送技術を持つ会社は全国に数多くあります。

しかし、どれだけ良いトラックとドライバーがいても、

「どこに荷物があるのか」

という情報を持っていなければ、その輸送能力を十分に生かせないことがあります。

ここに、これからの物流を考える重要な課題があると思います。

5.空車で走っていてもコストは発生する

例えば、大阪から東京まで荷物を運んだトラックが、帰り荷を見つけられず大阪まで空車で戻ったとします。

荷物を積んでいなくても燃料は必要です。

高速道路料金も必要です。

ドライバーの人件費も発生します。

タイヤも減ります。

車両も消耗します。

つまり、運送会社様にとって「空車で走る」ということは、売上を生まないままコストだけが発生している時間でもあります。

最近では適正な運賃を収受することの重要性が、これまで以上に議論されるようになりました。

これは非常に大切なことです。

適正な原価を無視した運賃では、持続可能な物流は成り立ちません。

しかし同時に考えなければならないのが、

「物流の中に残っている無駄をどう減らすか」

ということだと思います。

行きの運賃を適正にいただく。

そして帰りの空車走行を少しでも減らす。

この二つは、どちらか一方を選ぶものではありません。

これからの物流には、両方が必要です。

6.物流効率化は「情報を早くつなぐ」ことから始まる

物流効率化という言葉を聞くと、AI、自動運転、物流ロボットなど、新しい技術を想像する方も多いかもしれません。

もちろん、こうした技術はこれからの物流に必要です。

しかし、物流の現場を長く見ていると、もっと身近なところにも改善できることがあると感じます。

例えば、来週大阪から東京へ行く輸送が今日決まったのであれば、その時点から帰り荷を探すことができます。

荷主様から少し早く輸送予定を共有していただければ、運送会社様は早く配車を考えることができます。

運送会社様も空車予定を早く共有すれば、そのトラックを必要としている荷主様と出会える可能性が高くなります。

物流では、この「少し早い情報」が大きな意味を持つことがあります。

トラックが不足している地域がある。

一方で、その近くを空車で走っているトラックがある。

荷物を運んでほしい荷主様がいる。

一方で、帰り荷を探している運送会社様がいる。

問題は、トラックや荷物が存在しないことではなく、

「お互いの情報がつながっていない」

ことなのかもしれません。

7.荷主様にとっても他人事ではない

中小運送会社様の経営改善というと、運送会社様だけの問題に聞こえるかもしれません。

しかし、決してそうではありません。

全国の一般貨物自動車運送事業者5万6,954社のうち、半数以上が10台以下です。

もし今後、中小・小規模の運送会社様が減少していけば、荷主様にとっても、

「以前は運んでもらえた荷物が運べない」

「急な輸送に対応してくれる会社が見つからない」

「地方への輸送を依頼できる会社が減る」

といった問題につながる可能性があります。

だからこそ、これからは荷主様と運送会社様が別々に物流を考えるのではなく、一緒に物流効率化を考えていくことが必要ではないでしょうか。

荷主様が少し早く輸送情報を出す。

運送会社様が少し早く空車情報を出す。

帰り便と帰り荷をうまく組み合わせる。

空車走行が減れば、運送会社様の収益改善につながります。

荷主様にとっては、輸送手段を確保できる可能性が広がります。

さらに不要な走行が減れば、燃料使用量やCO₂排出量の削減にもつながります。

荷主様によし。

運送会社様によし。

そして社会にもよい物流です。

8.中小運送会社様が元気でなければ、日本の物流は元気にならない

大手運送会社様には、大手だからこそできる物流があります。

全国規模のネットワーク。

大規模な物流センター。

幹線輸送。

大きな設備投資。

一方、中小運送会社様にも、中小だからこそできる物流があります。

地域をよく知っている。

荷物をよく知っている。

荷主様をよく知っている。

急な依頼にも柔軟に対応する。

一本の電話からでも動く。

長年築いてきた信用で仕事をつないでいく。

どちらが優れているという話ではありません。

それぞれが物流に必要な役割を担っています。

だからこそ重要なのは、中小運送会社様が大手運送会社様と同じ規模になることではなく、

「会社の規模に関係なく、必要な情報へアクセスできる物流」

をつくっていくことだと思います。

小さな会社でも全国の荷物を探せる。

荷主様も地域や会社規模だけにとらわれず、条件に合う運送会社様を探せる。

それぞれの会社が持っている輸送能力を、今より少し有効に使えるようになる。

日本にはすでに多くのトラックがあります。

多くの運送会社様があります。

多くの荷物があります。

これから必要なのは、それらを新しく増やすことだけではなく、今あるものを今まで以上につなぎ、活かすことではないでしょうか。

9.おわりに

丸共協同株式会社は1982年の創業以来、物流の仕事に携わってきました。

長く物流の現場を見ていると、時代とともに変わるものと、変わらないものがあります。

電話からFAXへ。

FAXからパソコンへ。

そしてスマートフォンやAIへ。

物流を支える道具は変わってきました。

しかし、荷物を託す人がいて、それを受け取り、責任を持って運ぶ人がいる。

物流が人と人との信頼によって成り立っていることは変わりません。

これからは、その信頼に情報とデジタルの力を加えていく時代なのだと思います。

適正な運賃を守る。

空車走行を減らす。

帰り便・帰り荷を活用する。

輸送情報を少し早く共有する。

そして、これまでつながることのできなかった荷主様と運送会社様が、新しくつながる環境をつくっていく。

一つ一つは小さな変化かもしれません。

しかし、日本の物流を支えている5万6,954社を考えれば、その小さな改善の積み重ねが生み出す力は決して小さくないはずです。

中小運送会社様が元気でなければ、日本の物流も元気にはなれない。

今回の数字を見て、私たちは改めてそう感じています。

これからも丸共協同株式会社は、物流の現場に携わってきた会社として、荷主様、運送会社様、そして社会にとってより良い物流とは何かを考え、発信してまいります。

中小運送会社を支える情報共有と持続可能な物流への取り組み





参考資料

物流ウィークリー「トラック運送事業者数 東京、大阪、埼玉、北海道、愛知……全国最少は?」(2026年8月18日)
国土交通省 貨物流通事業課資料

 

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