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物流の人手不足はAIで変わる?自動運航船・外国人ドライバーから考える物流の未来

2026.09.07 コラム
人手不足は、人を増やすだけでは解決しない
― 自動運航船から考える、これからの物流とAI ―

物流や交通を支える「人」の不足が、これまで以上に大きな課題になっています。

トラックドライバー、バス運転手、船員。

どの分野でも共通しているのは、単純に「採用を増やせば解決する」とは言いにくい状況になっていることです。

その一方で、現場では新しい変化も始まっています。

外国人材の活用、AI、自動運転、自動運航、遠隔支援、DX。

そして物流では、荷待ち時間の削減、情報共有の早期化、配車の効率化、共同輸配送、モーダルシフトなど、今ある人員や車両をより有効に活用する取り組みも進んでいます。

これから必要になるのは、「人を増やすこと」だけではありません。

人と技術を組み合わせながら、一人ひとり、一台一台の力をより有効に生かせる物流をつくることではないでしょうか。

目次
1.瀬戸内海で始まっている自動運航
2.実証実験から「実際に使う技術」へ
3.貨物輸送にも広がる自動運航
4.外国人材という新しい選択肢
5.物流の人手不足は「採用」だけでは解決できない
6.AIやDXが生み出す時間を考える
7.人にしかできない仕事はこれからも残る
8.物流を守るために必要なのは「組み合わせる力」

1.瀬戸内海で始まっている自動運航

物流の未来を考えるうえで、いま注目したい動きの一つが船舶の自動運航です。

岡山県の新岡山港と香川県・小豆島の土庄港を結ぶ旅客船「おりんぴあどりーむせと」は、2025年12月、国内初となる「自動運航船」として国の船舶検査に合格しました。

日本財団によると、一般旅客が乗船する定期旅客航路で、自動運転レベル4相当の自動運航機能を使った定常的な商用運航は世界初とされています。

ここで重要なのは、「船員がいなくなる」という話ではありません。

2026年6月9日からは、それまで乗船していたシステムエンジニアが乗船しない体制へ移行し、現場の船員が主体となって自動運航システムを扱う段階へ進みました。

実証実験のための技術から、実際の現場で人が使う技術へ。

自動化の意味が大きく変わり始めています。

2.実証実験から「実際に使う技術」へ

新しい技術について考えるとき、私たちはつい、

「人の仕事がAIに奪われるのではないか」

という見方をしてしまいがちです。

しかし、今回の自動運航の取り組みから見えてくるのは、少し違った未来です。

人を完全に置き換えるのではなく、AIや自動化によって人を支える。

危険を察知する。

航路を判断する。

船員の負担を軽減する。

陸上から運航を支援する。

こうした技術を組み合わせることで、限られた人数でも安全で安定した輸送を維持しようとしています。

これはトラック物流にも共通する考え方だと思います。

3.貨物輸送にも広がる自動運航

自動運航は旅客船だけの話ではありません。

2026年1月には、新造定期内航コンテナ船「げんぶ」が、自動運転レベル4相当の機能を使った商用運航を開始しました。

神戸、大阪、名古屋、清水、横浜、東京を結ぶ定期貨物航路で運航され、高度な自律航行だけでなく、機関部の遠隔監視や係留作業の省力化技術なども搭載されています。

さらに、北海道・釧路と茨城県・日立を結び、農産物などを運ぶRORO船「第二ほくれん丸」も自動運航船として船舶検査に合格しました。

内航コンテナ船「みかげ」も2026年3月25日に検査へ合格し、日本財団の「MEGURI2040」第2ステージで対象となった4隻すべてが、商用運航下で自動運航を行える段階に入りました。

さらに陸上から複数の自動運航船を同時にモニタリングし、運航を支援する仕組みも実証されています。

つまり、自動運航はすでに「遠い未来の話」だけではなくなっています。

4.外国人材という新しい選択肢

人手不足への対応は、自動化だけではありません。

自動車運送業では、トラック、バス、タクシーについて、在留資格「特定技能1号」による外国人材の受け入れが可能になっています。

国土交通省も、生産性向上や国内人材の確保に取り組んでもなお人材確保が難しい分野において、一定の専門性や技能を持った外国人材を受け入れる制度として位置付けています。

これから物流業界でも、外国人ドライバーと一緒に働く現場が少しずつ増えていく可能性があります。

ただし、外国人材を採用すれば、それだけで人手不足が解決するわけではありません。

安全教育、日本語や専門用語の理解、コミュニケーション、生活面での支援、社内の受け入れ体制など、企業側にも新しい準備が必要になります。

人材の国籍にかかわらず、「安全に長く働いてもらえる環境」をつくることが重要です。

5.物流の人手不足は「採用」だけでは解決できない

物流業界では長年、

「ドライバーが足りない」
「若い人が入ってこない」

と言われてきました。

もちろん、人材確保はこれからも重要です。

しかし、採用だけに頼ることには限界があります。

以前、物流の2024年問題への対策を何も講じなかった場合、2030年度には輸送能力が約34%不足する可能性があるという推計が示され、大きく取り上げられました。

その後、物流効率化などの取り組みが進み、2026年の政府の整理では状況にも変化が見られます。

当初想定された約34%の需給ギャップのうち、2024年問題に対応する官民の取り組みなどによって約14%分は概ね克服できたとされています。

それでも、将来の物流需要などを考慮すると、2030年度には平均で約7%、最大では約25%の輸送力不足が生じる可能性があるとされています。

つまり、取り組めば状況は変えられる。

しかし、まだ安心できる状況でもない。

この二つを同時に見ることが大切です。

6.AIやDXが生み出す「時間」を考える

物流DXというと、大規模なシステム投資や自動運転トラックを想像するかもしれません。

しかし、本当の目的は技術を導入することそのものではありません。

「人が使っている時間を、より価値のある仕事へ移すこと」

ではないでしょうか。

例えば、ドライバーが納品先で長時間待っている。

空車のトラックが荷物を探しながら走っている。

翌日の輸送予定が直前まで分からない。

同じ情報を電話、FAX、メールへ何度も入力している。

こうした時間を減らすことができれば、同じ人数、同じトラック台数でも、物流全体の動きは変わります。

荷主様から少し早く輸送情報を共有していただく。

運送会社様も車両予定を早めに把握する。

荷主様は帰り便を活用する。

運送会社様は帰り荷を早く探す。

荷待ちや空車時間を減らす。

こうした一つひとつの改善も、立派な物流DXです。

高度なAIだけが物流を変えるわけではありません。

「情報を少し早くつなぐ」。

その積み重ねも、限られた輸送力を有効に使うための重要な方法です。

7.人にしかできない仕事はこれからも残る

自動運転やAIが進化しても、物流から人が必要なくなるとは考えていません。

荷物には、それぞれ違いがあります。

道路にも違いがあります。

天候も毎日違います。

荷主様にも運送会社様にも、それぞれ事情があります。

予定通りに進まないときにどう判断するのか。

荷物を安全に届けるために何を優先するのか。

相手企業とどう調整するのか。

長年の経験から危険をどう感じ取るのか。

こうした部分には、まだ人の経験や判断が大きな役割を果たします。

だからこそ、

「AIか、人か」

ではなく、

「AIと、人」

という考え方が大切になるのではないでしょうか。

8.物流を守るために必要なのは「組み合わせる力」

これからの物流を支える方法は、一つではありません。

国内人材を育てる。

外国人材が活躍できる環境を整える。

AIを使う。

自動運転・自動運航を進める。

物流DXを進める。

モーダルシフトを活用する。

荷待ちを減らす。

情報を早く共有する。

帰り便・帰り荷を有効に活用する。

一つの方法ですべてを解決するのではなく、それぞれを組み合わせていくことが必要になっていると感じます。

政府も2026年度から2030年度を物流革新の「集中改革期間」と位置付け、物流の効率化や持続可能性の確保を進める方針を示しています。

物流は、止めることのできない社会インフラです。

だからこそ、人手不足になってから考えるのではなく、今いる人、今ある車両、今ある情報を、どうすればもっと有効に生かせるのかを考えていかなければなりません。

丸共協同株式会社は、長年物流の現場に携わってきた企業として、新しい技術だけを見るのではなく、現場で働く人の経験や知恵も大切にしながら、これからの物流について考え続けていきたいと思います。

人を増やすこと。

人を育てること。

そして、人を技術で支えること。

この三つを組み合わせることが、日本の物流を次の時代へつないでいく一つの答えになるのではないでしょうか。

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