ショーに100億円を投資するオリエンタルランドから学ぶ、変わり続ける企業の経営
ショーに100億円を投資するオリエンタルランドから学ぶ、変わり続ける企業の経営
老舗企業の倒産が相次ぐ時代。守るべき伝統と、変えるべき経営とは
東京ディズニーシーの新しいショーに、約100億円。
2026年9月17日、オリエンタルランドは、2027年秋に導入予定の新ショー「ブリング・ザ・リズム!」について発表しました。
注目したいのは、約25分間のショーに約100億円を投じ、新たな顧客体験を生み出そうとする経営判断です。
一方、日本では、創業100年以上の歴史を持つ老舗企業の倒産が相次いでいます。
長い歴史、優れた技術、多くの顧客からの信頼。それらを持っていても、企業の存続が保証される時代ではありません。
企業は、今の成功を守るだけでよいのでしょうか。
それとも、時代の変化を見据え、新しいアイデアや投資に挑戦する必要があるのでしょうか。
今回は、オリエンタルランドの約100億円の投資と老舗企業の倒産動向を通じて、業種や企業規模を問わず考えておきたい「企業が未来に残るための経営」について考察します。
1.約25分のショーに約100億円。何に価値を見いだしているのか
東京ディズニーシーの「ブロードウェイ・ミュージックシアター」で、2027年秋に新しいショー「ブリング・ザ・リズム!」がスタートする予定です。
オリエンタルランドが2026年9月17日に発表した公演概要は、次のとおりです。
ショー名称:ブリング・ザ・リズム!
公演場所:ブロードウェイ・ミュージックシアター
公演時間:約25分
導入時期:2027年秋(予定)
投資額:約100億円
このショーでは、生歌唱、生演奏、ダンス、光や映像の演出を組み合わせ、観客に没入感のある体験を提供する計画です。
ここで考えたいのは、単に100億円という金額の大きさではありません。
オリエンタルランドは、すでに多くの人に知られている人気施設において、さらに新しい体験を提供するための投資を決定したということです。
今回のショーは、現在あるブロードウェイ・ミュージックシアターで上演されます。新たな体験を生み出すための投資は、必ずしも建物を新設することだけではありません。
既存の施設や事業基盤を生かしながら、新しい企画や演出によって、顧客が再び訪れたいと思う理由をつくる。
この点は、今回の発表から読み取れる経営上の示唆ではないでしょうか。
なお、約100億円の具体的な費用内訳や投資回収の見通しは、今回の公式発表では示されていません。
投資がどのような成果につながるのかは、今後の運営実績を確認する必要があります。
しかし、現在の人気に安住せず、新たな価値を生み出そうとする姿勢には、他業種の企業も学べる点があると考えます。
2.なぜ、人気がある企業ほど変化を続ける必要があるのか
企業にとって、過去の成功は大きな財産です。
長年培ってきたブランド、技術、顧客との信頼関係は、簡単に手に入るものではありません。
しかし、過去に支持された商品やサービスが、10年後も同じように選ばれるとは限りません。
消費者の価値観は変わり、情報収集の方法も変わっています。
同じ業界の企業だけでなく、まったく異なるサービスが顧客の時間や予算を奪うこともあります。
例えば、以前は商品を所有することに価値を感じていた顧客が、現在では利用体験や利便性を重視するようになることもあります。
では、企業は何を提供しているのでしょうか。
単なる商品なのか、設備なのか、サービスなのか。
それとも、商品やサービスを通じた安心、満足、感動という価値なのでしょうか。
オリエンタルランドの新ショー投資は、この問いを改めて考えるきっかけになります。
お客様が本当に求めている価値を理解し、その価値を時代に合わせて提供し続けること。
それこそが、企業が長く選ばれるための重要な条件だと考えます。
3.創業100年以上の老舗企業でも倒産する現実
帝国データバンクが2026年9月25日に公表した調査によると、創業・設立から100年以上の歴史を持つ老舗企業の倒産は、2026年1月から8月までに112件発生しました。
業種別では、製造業が34件、卸売業が24件、小売業が22件となっています。
この調査は、負債1,000万円以上で法的整理となった倒産を対象としています。
2026年は年間160件を上回るペースで推移しており、2024年の146件を超え、過去最多を更新する可能性が高いとされています。
長年の実績があり、地域から信頼されてきた企業でも、事業を継続できなくなる厳しい現実があります。
ただし、こうした倒産を「時代の変化に対応しなかったから」と一括りにすることはできません。
帝国データバンクの調査では、老舗企業の倒産の主な背景として、後継者難や物価高が挙げられています。
原材料費や人件費などの上昇に販売価格の見直しが追いつかなければ、売上があっても利益を確保できなくなるおそれがあります。
また、優れた技術や顧客基盤を持っていても、それを次世代へ引き継ぐ後継者がいなければ、事業継続が難しくなる場合があります。
さらに、負債10億円以上の倒産4件のうち3件では、簿外債務や売掛金・在庫の水増しなど、コンプライアンス違反が倒産の引き金となりました。
つまり、企業が生き残るためには、新しい事業への挑戦だけでなく、後継者の育成、適切な価格設定、健全な会計管理、経営の透明性も欠かせません。
一方、帝国データバンクの別の調査では、2025年12月時点で創業・設立から100年以上の企業が全国に4万6,708社存在しています。
多くの老舗企業が、現在も事業を続けていることも忘れてはなりません。
長い歴史そのものが問題なのではありません。
これまで培った強みを、変化する時代のなかでどう生かしていくかが重要なのです。
4.伝統を守ることと、同じやり方を続けることは違う
日本には「不易流行」という言葉があります。
時代が変わっても守り続けるべき本質がある一方、時代に合わせて変わるべきものもあるという考え方です。
企業経営にも、そのまま当てはまるのではないでしょうか。
例えば、顧客との信頼関係、品質への責任、約束を守る姿勢は、これからも大切にすべき企業の財産です。
しかし、販売方法、情報発信、業務の進め方、顧客との接点まで昔のままにする必要はありません。
以前は電話や対面が中心だった営業活動も、現在ではインターネット検索、AI検索、問い合わせフォームなど、顧客が企業を探す方法が多様化しています。
商品が優れていても、必要としている顧客に見つけてもらえなければ、販売機会は生まれません。
「昔からこの方法で成功してきた」という経験は重要です。
しかし、過去の成功体験が、かえって新しい挑戦を妨げることもあります。
大切なのは、過去の仕事の手順をそのまま守ることではありません。
その企業が顧客に提供してきた本当の価値を守り、時代に合わせて届け方を変えていくことです。
伝統と革新は、決して対立するものではないと考えます。
5.100億円を投資できなくても、企業は変われる
オリエンタルランドのような大規模投資は、多くの中小企業にとって現実的ではありません。
しかし、未来への投資は、金額の大きさだけで決まるものではありません。
例えば、顧客からよく寄せられる質問をホームページに掲載する。
従来の営業方法に加えて、新しい問い合わせ窓口を設ける。
繰り返し行っている事務作業にデジタル技術を取り入れる。
社員から新しいアイデアを募集し、小さな改善を積み重ねる。
こうした取り組みも、未来への投資です。
重要なのは、何にお金を使うかではなく、その投資によって何を変えたいのかという目的です。
お客様のどのような問題を解決するのか。
従来の方法と比べて、何が便利になるのか。
費用に見合う効果が期待できるのか。
投資を決める前に、こうした問いを整理する必要があります。
新しいアイデアを小さく試し、顧客の反応や実績を確認しながら改善する。
成果が認められた取り組みに、次の投資を行う。
大企業の100億円と中小企業の小さな改善投資では、金額は大きく異なります。
しかし、未来の顧客に向けて新しい価値を生み出すという目的は共通しています。
6.変化への対応は、どの業界にも共通する課題
小売業では、商品を店頭に並べるだけでなく、オンライン販売や顧客との継続的な関係づくりが重要になっています。
製造業では、長年培ってきた技術を生かしながら、新製品の開発や生産性の向上に取り組む必要があります。
サービス業では、価格だけではなく、利用する人の満足度や利便性が競争力を左右します。
このように、業種は違っても「従来の強みを守りながら、新しい価値を生み出す」という経営課題は共通しています。
物流業界も例外ではありません。
従来の電話やFAXによる輸送依頼には、それぞれの良さがあります。
しかし、荷主企業と運送会社の情報共有、トラック手配、見積もり依頼、帰り便・帰り荷の活用などには、改善できる余地があります。
物流DXや物流マッチングシステムも、単にシステムを導入することが目的ではありません。
荷主企業が必要な輸送手段を探しやすくすること。
運送会社が新たな輸送案件と出会いやすくすること。
情報伝達の負担や無駄な待ち時間を減らし、輸送効率を高めること。
そうした現場の課題を解決してこそ、デジタル技術への投資は意味を持ちます。
異業種の取り組みから学ぶ価値は、最新技術や投資額をそのまままねすることではありません。
顧客の変化を捉え、自社の事業を見直す発想を学ぶことにあるのではないでしょうか。
7.投資しないリスクと、投資に失敗するリスク
新しい事業や設備への投資には、当然ながらリスクがあります。
需要を読み違えることもあれば、投資した金額を回収できない可能性もあります。
大きな投資をすれば、必ず成長するわけではありません。
一方で、何も変えないことにもリスクがあります。
顧客の行動が変わり、競争環境が変わり、必要とされるサービスが変わっているにもかかわらず、従来の方法に固執していれば、気づかないうちに競争力が弱くなるおそれがあります。
だからこそ経営には、挑戦する勇気だけでなく、数字を確認する冷静さも必要です。
投資目的を明確にする。
費用と収益の見通しを立てる。
小さな段階から成果を確認する。
期待した効果が得られなければ、方法を見直す。
そして、経営状況を正しく把握し、健全な財務管理を続ける。
老舗企業の倒産動向が示しているように、経営の透明性や適切な管理体制も、事業を継続するための大切な条件です。
未来への投資と堅実な経営は、対立するものではありません。
挑戦と管理を両立させることが、持続的な成長につながると考えます。
8.企業が生き残るために必要なのは、変わり続ける姿勢
今回のオリエンタルランドの新ショー投資から学べるのは、100億円という金額だけではありません。
すでに顧客から支持されている事業であっても、今の人気が未来まで自動的に続くとは考えず、新しい価値を生み出そうとする経営判断です。
一方、老舗企業が長い歴史を築いてきた背景にも、受け継いできた信用や技術、そして、それぞれの時代に合わせた経営判断があります。
もちろん、企業の倒産は単純な理由で説明できるものではありません。
物価高、後継者難、収益悪化、経営管理の問題など、さまざまな要因が重なります。
それでも、自社を取り巻く環境の変化を見つめ、新しい価値を考え続けることは、あらゆる企業に共通する重要な姿勢ではないでしょうか。
丸共協同株式会社も1982年の創立以来、物流に携わってきました。
時代の変化とともに、荷主企業が求める輸送サービスや、運送会社が直面する課題も変わっています。
これまで大切にしてきた信頼や責任を守りながら、新しい発想や技術を取り入れ、これからの物流に必要とされる企業を目指すことが重要だと考えています。
企業の未来を決めるのは、過去の成功だけではありません。
今日の経営判断と、明日へ向けた行動の積み重ねです。
伝統を守るために、変わる。
未来に残る企業になるために、今日から新しい価値を考える。
オリエンタルランドの約100億円の投資は、私たちにそんな問いを投げかけているのではないでしょうか。
丸共協同株式会社では、全国のチャーター便、帰り便、混載便など、お客様の輸送条件に合わせた物流プランニングを行っています。
トラック手配、見積もり依頼、輸送方法の見直しなど、お気軽にご相談ください。
丸共協同株式会社
https://www.marukyo-group.co.jp/
お問い合わせ
https://www.marukyo-group.co.jp/contact/
参考資料
1.株式会社オリエンタルランド「東京ディズニーシー『ブロードウェイ・ミュージックシアター』新規ショー『ブリング・ザ・リズム!』2027年秋スタート」2026年9月17日
https://www.olc.co.jp/ja/news/news_tdr/20260917_01/main/0/link/20260917_01.pdf
2.株式会社帝国データバンク「100年経営『老舗企業』の倒産動向調査(2026年1-8月)」2026年9月25日
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260925-shinise-br2026-1-8/
3.株式会社帝国データバンク「全国『老舗企業』分析調査(2025年)」2026年3月27日
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260327_shinise2025/
