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ホンダ韓国販売終了の理由とは?欧州車の成長とフォード日本撤退から学ぶ

2026.10.16 コラム
ホンダ韓国四輪車販売終了と欧州車・テスラの成長から考える企業の競争力

「技術のホンダ」でも、市場は変わる

韓国の日本車シェア低下、欧州車の成長、フォード日本撤退から学ぶ経営戦略と物流DX

 

世界的な知名度、高い技術力、長い歴史。

これらを持つ企業であっても、市場の変化に対応できなければ、事業の見直しを迫られる時代になっています。

2026年4月23日、本田技研工業(ホンダ)は、韓国における四輪車販売を2026年末で終了すると発表しました。

かつて韓国の輸入車市場で販売首位を獲得したホンダが、約22年間続けてきた四輪車販売に区切りをつけることになります。

その一方で、BMWやメルセデス・ベンツなどの欧州メーカーは韓国市場で存在感を高め、近年では米国のテスラも急成長しています。

日本でも2016年、米国の自動車大手フォードが市場から撤退しました。

なぜ、世界的な技術力を持つメーカーが、ある国では成功し、別の国では撤退を余儀なくされるのでしょうか。

今回は韓国の輸入車市場で起きている変化と、日本メーカーの撤退事例、フォードの日本撤退を比較し、企業が変化し続けることの重要性を考えます。

そして、この変化が日本の物流業界に何を教えているのかを考察します。


1.韓国で販売首位だったホンダの転機

ホンダは2004年5月、韓国で四輪車の販売を開始しました。

高い品質、エンジン技術、燃費性能などを強みに販売を伸ばし、2008年には年間1万2,356台を販売しました。

同年、韓国輸入車市場でブランド別販売首位を獲得しています。

しかし、その後の販売実績は大きく変化しました。

ホンダの韓国四輪車販売台数

年      販売台数
2008年      12,356台
2019年      8,760台
2020年      3,056台
2025年      1,951台
ホンダの韓国四輪車販売台数は2008年12,356台から2025年1,951台へ減少

ホンダの韓国四輪車販売台数は2008年から2025年に約84.2%減少。出典:ホンダコリア発表、KAIDA統計、JETRO。



2008年と2025年を比較すると、販売台数は約84.2%減少しています。

2019年以降は日韓関係の悪化に伴う日本製品の不買運動なども販売環境に影響しました。

しかし、販売不振をそれだけで説明することはできません。

車種構成、価格競争力、ブランドの位置付け、競合メーカーとの商品力の違いなど、複数の要因が重なったと考えられます。

しかも、韓国の輸入車市場そのものが縮小していたわけではありません。

韓国輸入自動車協会(KAIDA)の統計によると、2025年の輸入乗用車新規登録台数は30万7,377台となり、前年比16.7%増加しました。

輸入商用車を含む輸入車全体では31万1,302台、前年比16.2%増です。

いずれもKAIDA会員企業の新規登録実績に基づく数字です。

市場が成長している中で、ホンダの販売台数は大幅に減少していました。

企業にとって重要なのは、市場全体が成長しているかどうかだけではありません。

その成長する市場で、自社の商品やサービスが選ばれ続けているかどうかです。


2.日本ブランドのシェアは35.5%から8.7%へ

2008年の韓国輸入乗用車市場では、日本ブランドが大きな存在感を持っていました。

KAIDAが発表した2008年の新規登録統計によると、輸入乗用車全体は6万1,648台、日本ブランドの合計は2万1,912台でした。

この統計から当社で算出すると、日本ブランドのシェアは約35.5%になります。

一方、2025年の日本ブランドの新規登録台数は2万6,606台で、輸入乗用車市場に占めるシェアは約8.7%です。

比較項目      2008年      2025年
輸入乗用車全体      61,648台      307,377台
日本ブランド      21,912台      26,606台
日本ブランドシェア      35.5%      8.7%


出典:KAIDA統計。シェアは当社算出。

ここで注目したいのは、日本ブランドの販売台数そのものは2008年より増えていることです。

それ以上に韓国の輸入乗用車市場が拡大し、欧州車や米国車などの競争相手が販売を伸ばしたことで、日本ブランドの市場シェアが大きく低下しました。

つまり、日本車の販売台数が一律に減少したという話ではありません。

急速に拡大する市場の成長を、十分に取り込めなかったことが重要な問題なのです。

3.なぜヨーロッパ車は韓国で販売を伸ばしたのか

韓国の輸入車市場で存在感を高めた代表的なメーカーが、BMWとメルセデス・ベンツです。

2025年の新規登録台数は次のとおりです。

ブランド      2025年登録台数
BMW      77,127台
メルセデス・ベンツ      68,467台
テスラ      59,916台
レクサス      14,891台
トヨタ      9,764台
ホンダ      1,951台


出典:JETRO「2025年の韓国自動車産業の動向」(KAIDA統計)。

欧州ブランド全体では20万6,245台を販売し、輸入乗用車市場の約67.1%を占めました。

なぜ欧州車は、韓国で大きな市場を築くことができたのでしょうか。

第一に、貿易環境の変化があります。

2011年7月、韓国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)が暫定適用されました。

自動車を含む関税の段階的な引き下げは、欧州メーカーにとって韓国市場での競争条件を改善する要因となりました。

ただし、欧州車の成長を関税だけで説明することはできません。

第二に、ブランド価値と商品戦略です。

BMWやメルセデス・ベンツは、走行性能や安全性能だけでなく、デザイン、快適性、先進装備、高級感などを組み合わせた商品価値を提供してきました。

自動車を単なる移動手段ではなく、生活スタイルや個人の価値観を表現する商品として位置付ける戦略です。

第三に、幅広い車種構成です。

セダン、SUV、スポーツモデル、高級車、ハイブリッド車、電気自動車など、複数の選択肢を提供することで、多様な顧客の需要に対応できます。

消費者の好みが変化した場合でも、新型車や新しい技術を投入することによって、競争力を維持する機会が生まれます。

これらの条件が重なり、欧州車は韓国市場で強い地位を築いてきたと考えられます。


4.今度はテスラが欧州車の地位を脅かしている

しかし、欧州メーカーも決して安泰ではありません。

2025年、米国のテスラは韓国で5万9,916台を販売しました。

前年比101.4%増と、販売台数を約2倍に伸ばしています。

さらに2026年上半期には、テスラが韓国の輸入乗用車市場で販売首位となりました。

2026年1月から6月の新規登録台数とブランド別シェアは次のとおりです。

ブランド      市場シェア
テスラ      30.5%
BMW      21.3%
メルセデス・ベンツ      16.2%
BYD      6.3%


出典:KAIDA統計、聯合ニュース2026年7月3日付。

同期間の輸入乗用車新規登録台数は18万4,032台で、テスラは5万6,139台を占めました。

かつて日本車が人気を集め、その後は欧州車が成長し、現在ではテスラなどの電気自動車メーカーが新しい競争を生み出しています。

消費者が自動車に求める価値も変化しています。

燃費、耐久性、走行性能だけでなく、車載ソフトウェア、デジタル機能、快適性、電動化技術などが商品選択に影響しています。

一方、電気自動車がすべての市場で唯一の正解というわけではありません。

使用環境や価格、充電設備、燃料費などによって、ハイブリッド車が選ばれる市場もあります。

重要なのは、技術の優劣だけではありません。

その時代の顧客が求める価値を、どのような商品やサービスとして提供できるかです。


5.ホンダだけではない、韓国で販売を終了した日本メーカー

韓国で四輪車販売を終了した日本ブランドは、ホンダだけではありません。

韓国輸入自動車協会(KAIDA)の公式沿革では、スバル、三菱自動車、日産、インフィニティの販売終了についても確認できます。

メーカー      韓国での主な動き
スバル      2010年5月に販売開始、2012年12月に販売終了
三菱自動車      2008年10月に販売開始、2011年3月に販売停止
三菱自動車      2012年5月にCXCを通じて販売再開、2013年8月に再び販売停止
日産      2020年12月に韓国市場から撤退
インフィニティ      2020年12月に韓国市場から撤退
ホンダ      2026年末に四輪車販売終了予定


出典:KAIDA公式沿革、ホンダ公式発表。

これらの企業には、それぞれ異なる撤退の背景があります。

販売規模、商品構成、採算性、経営資源の配分などが複雑に関係しており、日本メーカーという理由だけで同じ原因と判断することは適切ではありません。

また、日本メーカーすべてが韓国で苦戦しているわけでもありません。

2025年にはレクサスが1万4,891台、トヨタが9,764台を販売し、ともに前年の販売実績を上回りました。

ハイブリッド技術は現在も日本メーカーにとって重要な強みとなっています。

ここから分かるのは、同じ日本メーカーであっても、現地市場に提供する商品や販売戦略によって結果が異なるということです。


6.日本でもフォードが2016年に撤退した

同じような出来事は、日本でも起きています。

2016年1月、米国の大手自動車メーカーであるフォードは、日本における事業を2016年末までに終了すると発表しました。

フォードは世界的な自動車メーカーであり、長い歴史と高い技術力を持つ企業です。

それでも日本市場では、事業継続による収益性の確保が難しいと判断しました。

当時の公式声明では、日本事業の収益性を改善する合理的な見通しが立たず、投資に対して十分な利益を期待できないことが、撤退の理由として説明されています。

日本にはトヨタ、ホンダ、日産などの有力な国内メーカーがあり、軽自動車から高級車まで、さまざまな需要に対応した商品が提供されています。

海外で成功したメーカーであっても、日本の消費者が求める商品、価格、販売体制を整えられなければ、競争力を維持することは容易ではありません。

ホンダの韓国四輪車販売終了と、フォードの日本撤退。

両社の事情は同じではありませんが、世界的な企業の技術力やブランド力だけでは、すべての市場で成功し続けられないという共通点があります。


7.撤退は失敗なのか、それとも経営判断なのか

ここで考えたいのは、市場からの撤退を単純に失敗と判断してよいのかという点です。

ホンダは2026年4月23日の公式発表で、韓国での四輪車販売終了について、世界および韓国市場の環境変化を踏まえ、中長期的な競争力強化に向けて経営資源を集中するための判断であると説明しています。

四輪車の販売終了後も、車両の整備、部品供給、保証対応などのアフターサービスは継続します。

また、韓国での二輪車事業は引き続き中核事業として強化する方針です。

企業が利用できる資金、人材、時間には限りがあります。

すべての市場で事業を継続することが、必ずしも最善とは限りません。

成長が期待できる分野への投資と、収益性を確保しにくい事業の見直しは、どちらも重要な経営判断です。

大切なのは、過去の成功にとらわれず、変化する市場を冷静に見極めることです。

企業は何を守り、何を変え、どの分野に経営資源を投入するのかを考え続ける必要があります。

そして、この課題は自動車メーカーだけのものではありません。

物流業界も同じように、長年培ってきた強みを守りながら、新しい需要に対応することが求められています。


8.物流業界でも従来の成功方法だけでは通用しない時代へ

物流業界には、長年培ってきた輸送技術、配車経験、取引先との信頼関係、全国の運送会社とのネットワークがあります。

これらは今後も重要な競争力です。

しかし、物流を取り巻く環境は変わり続けています。

ドライバー不足、輸送コストの上昇、労働時間規制、荷待ち時間の削減、物流効率化に関する法制度の見直しなど、対応すべき課題は増えています。

荷主企業が求めるサービスも変化しています。

運送会社を探すこと、トラックの空き状況を把握すること、見積もりを依頼すること、輸送条件を共有すること。

従来は電話やFAXを中心に進めてきた業務でも、情報技術を活用することによって、確認作業や手配時間を短縮できる可能性があります。

物流マッチングや物流マッチングシステム、物流DXが注目される理由の一つです。

ただし、システムを導入すること自体が目的になってはいけません。

荷主企業にとっては、必要な日時に適切なトラックを手配できること。

運送会社にとっては、条件に合った仕事を確保し、適正な取引につなげられること。

こうした現場の課題を解決してこそ、新しい仕組みに価値が生まれます。

自動車メーカーが車両の性能だけでなく、顧客体験を含めた商品価値を競うように、物流企業にも輸送そのものに加え、情報共有や利便性を高める工夫が求められています。


9.丸共協同株式会社が考える、帰り便と物流マッチングの可能性

丸共協同株式会社は1982年の創立以来、帰り便や混載便、チャーター便などの輸送手配と物流プランニングに取り組んできました。

例えば、東京から大阪へ商品を運んできたトラックが、大阪で別の荷物を積み込み、東京方面へ戻ることができれば、帰路の空車走行を減らすことにつながります。

これは従来から物流業界にある、帰り便と帰り荷を結び付ける考え方です。

荷主企業にとっては、輸送条件に応じたトラック手配の選択肢が広がります。

運送会社にとっては、帰り荷を確保することで車両の稼働効率を高める機会が生まれます。

ただし、輸送効率の改善には、運行距離、積載量、時間、運賃、安全管理など、さまざまな条件を考慮する必要があります。

今後は、こうした長年の物流ノウハウに、デジタル技術や情報共有の仕組みを組み合わせることが重要になると考えています。

全国の荷主企業と運送会社が必要な情報を共有し、より効率的なトラック手配や求荷求車につなげる。

そのためには、物流マッチングシステムの利便性だけでなく、取引条件の明確化、情報の正確性、信頼できる輸送手配が必要です。

技術が変わっても、物流の基本は荷物を安全に、確実に届けることです。

その基本を守りながら、仕事の進め方を進化させていくことが、今後の物流企業の競争力につながります。


10.企業の歴史を守るために、変化し続ける

歴史のある企業には、積み重ねてきた技術や経験、信用があります。

しかし、長年の成功実績があるからこそ、従来の方法を変えることが難しくなる場合もあります。

今回のホンダの判断、韓国で存在感を高めた欧州車、さらに急成長したテスラ、そして日本から撤退したフォード。

これらの事例から分かるのは、企業の競争力は一度確立すれば永久に続くものではないということです。

変化する市場の中で、顧客に選ばれる理由を常に考え続ける必要があります。

経営に求められるのは、新しい技術を無条件に取り入れることでも、従来の方法をすべて捨てることでもありません。

自社の強みを理解し、その強みを新しい時代にどのように生かすかを判断することです。

過去の成功を否定する必要はありません。

その成功を支えてきた技術や経験、信用を、次の時代の競争力に変えていくことが重要です。


まとめ

韓国でのホンダ四輪車販売終了、日本ブランドのシェア低下、欧州車の成長、テスラの台頭、そしてフォードの日本撤退。

これらの事例は、世界的な企業であっても、顧客の需要や市場環境の変化に合わせた判断が求められることを示しています。

時代が変われば、顧客が求める商品やサービスも変わります。

物流業界も例外ではありません。

長年培ってきた経験、技術、信用を、新しい時代の競争力へと変えていく。

変わらない価値を守るために、変わり続ける。

それが、これからの企業経営に求められる姿勢だと丸共協同株式会社は考えています。

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参考資料

1.本田技研工業「韓国におけるHonda四輪車販売の終了について」2026年4月23日
https://global.honda/jp/news/2026/4260423b.html

2.ホンダコリア「2008年輸入車・輸入二輪車販売首位に関する発表」2009年1月7日
https://www.newswire.co.kr/newsRead.php?no=380887

3.韓国輸入自動車協会(KAIDA)「2008年輸入車新規登録統計」2009年1月7日
https://www.newswire.co.kr/newsRead.php?no=380822

4.日本貿易振興機構(JETRO)「2025年の韓国自動車産業の動向」2026年5月13日
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2026/8741dad4b101a627.html

5.韓国輸入自動車協会(KAIDA)「KAIDA Factbook」2019年・2020年のブランド別新規登録統計
https://www.kaida.co.kr/download/KAIDA_FACTBOOK_ENG.pdf

6.韓国輸入自動車協会(KAIDA)「協会沿革」スバル・三菱・日産・インフィニティの販売開始・終了記録
https://www.kaida.co.kr/en/kaida/history.do

7.聯合ニュース「Imported car sales jump nearly 17 pct in 2025; BMW tops list for 3rd year」2026年1月6日
https://en.yna.co.kr/view/AEN20260106004500320

8.聯合ニュース「Tesla tops imported car sales in S. Korea in H1」2026年7月3日
https://en.yna.co.kr/view/AEN20260703004700320

9.JETRO「韓国の2020年の自動車は国内販売のみ好調」2021年
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/b289355dd7d68f1b.html

10.Car Watch「米フォード、日本事業について正式発表。2016年末までに撤退」2016年1月26日(フォード公式声明全文掲載)
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/740792.html

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