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米国向け海上コンテナ 8月は2.1%減 7月から何が変わった

2026.09.30 コラム
日本の港を出るコンテナ船と港湾トラックを背景に、2026年8月の米国向け海上コンテナ貨物量とトランシップ率の変化を表したイメージ

日本発米国向け海上コンテナ 8月は2.1%減 7月から何が変わったのか

前月比6.5%減とトランシップ比率の変化から物流の実態を読む

 

冒頭要約

デカルト・データマインが米国税関・船荷証券データを基にまとめた統計によると、2026年8月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量は、荷受地ベースで5万3,263TEUでした。

前年同月比は2.1%減、前月比は6.5%減です。

7月は前年同月比9.5%減でありながら、前月比では11.0%増でした。8月は前年との差が7.4ポイント縮小した一方、前月からは3,697TEU減少しています。

前回コラムで示した「前年同月比と前月比を分けて読む」という考え方は、8月分でも重要です。

さらに、第三国・地域を経由して積み替えるトランシップ貨物は、7月の1万5,283TEUから8月の1万8,064TEUへ増加し、トランシップ率も26.8%から33.9%へ上昇しました。

一方、前年8月のトランシップ率は39.8%だったため、前年水準まで戻ったわけではありません。

丸共協同株式会社では、今回の数字だけを見て「米国向けの荷動きが急激に悪化した」と判断する段階ではないと考えています。

貨物総量だけでなく、品目、港、輸送経路、船の入出港予定、国内配送日まで分けて確認することが重要です。

この記事で分かること

・2026年8月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量
・4月から8月までの月別推移と7月からの変化
・トランシップ率と母船積みベースを混同しない読み方
・コンテナ輸送とトランシップが効率化につながる仕組み
・品目別の増減と国内トラック手配への影響
・荷主企業と運送会社が早めに共有したい情報

前回コラムとのつながり

前回コラム「米国向け海上コンテナは9.5%減 本当に荷動きは悪化しているのか」では、7月の前年同月比9.5%減だけを見て物流需要全体の悪化と判断せず、前月比11.0%増と4月以降の推移を合わせて確認しました。

今回の8月分は、その続きを示す数字です。

前年との差は縮小しましたが、前月比では再び減少しました。加えて、7月に低下したトランシップ率が8月には上昇しています。

前回記事を修正して置き換えるのではなく、8月分を続編として掲載し、両記事を内部リンクでつなぐことで、月ごとの変化を追いやすくなります。

2026年8月の公表値

荷受地ベース貨物量
2026年7月:56,960TEU
2026年8月:53,263TEU
7月からの変化:3,697TEU減、6.5%減

前年同月比
2026年7月:9.5%減
2026年8月:2.1%減
変化:減少幅が7.4ポイント縮小

トランシップ貨物
2026年7月:15,283TEU
2026年8月:18,064TEU
変化:2,781TEU増、約18.2%増

トランシップ率
2026年7月:26.8%
2026年8月:33.9%
変化:7.1ポイント上昇

日本発母船積みベース
2026年7月:42,511TEU
2026年8月:36,247TEU
変化:6,264TEU減、約14.7%減

母船積みベース前年同月比
2026年7月:11.3%増
2026年8月:10.3%増

8月の日本発母船積みベースは3万6,247TEUで、前年同月比10.3%増でした。

荷受地ベースの前年同月比2.1%減と増減方向が異なるのは、集計範囲が異なるためです。

日本発母船積みベースには、アジア域内から日本港へ集荷され、日本で米国向け母船へ積み替えられる貨物が含まれます。

したがって、荷受地ベースと母船積みベースを単純に足し引きしたり、同じ対象として比較したりしないことが重要です。

※7月からの変化は、公表値を基に丸共協同株式会社が計算しています。前年同月比と前月比では比較する基準が異なります。

4月から8月までの推移

2026年4月
貨物量:61,949TEU
前年同月比:11.7%増
前月比:13.1%増

2026年5月
貨物量:47,064TEU
前年同月比:11.3%減
前月比:24.0%減

2026年6月
貨物量:51,326TEU
前年同月比:0.2%減
前月比:9.1%増

2026年7月
貨物量:56,960TEU
前年同月比:9.5%減
前月比:11.0%増

2026年8月
貨物量:53,263TEU
前年同月比:2.1%減
前月比:6.5%減

4月から8月までの5か月合計は27万562TEUです。

最も多かった4月と最も少なかった5月の差は1万4,885TEUあり、月による振れが大きいことが分かります。

8月は5月を上回っていますが、4月と7月を下回っています。

単月だけを見て通期の方向を決めるのではなく、数か月の動きを継続して見る必要があります。

8月の数字から読み取れる三つの変化

1.前年との差は縮小した

前年同月比は、7月の9.5%減から8月の2.1%減となりました。

前年との差が小さくなったことは確認できますが、前年を上回ったわけではありません。

そのため、「回復した」と断定するのではなく、「前年割れが続く中で、減少幅が縮小した」と見る方が正確です。

2.前月比は二か月連続増から減少へ変わった

6月は前月比9.1%増、7月は11.0%増でしたが、8月は6.5%減となりました。

7月までの増加が、そのまま続かなかったことを示しています。

一方、5月の24.0%減ほど大きな落ち込みではありません。

現時点では、単月だけで新たな減少局面に入ったと判断するより、数か月単位で確認することが重要です。

3.トランシップ比率が7月から上昇した

トランシップ貨物は、7月から8月にかけて2,781TEU増加しました。

総量は減った一方、トランシップ率は26.8%から33.9%へ7.1ポイント上昇しています。

ただし、前年8月の39.8%と比較すると5.9ポイント低く、前年水準まで戻ったわけではありません。

船社の配船、寄港地、接続便、出荷時期、品目構成などによって輸送経路は変わります。

1か月だけの変化から、「直航化が進んだ」「トランシップ中心へ変わった」と構造変化を断定しないことが重要です。

品目別では増減の方向が分かれた

2026年8月の日本荷受地ベースを品目別に見ると、機械類は前年同月比7.9%減、自動車を含む車両類は8.9%減、ゴム類は6.2%減となりました。

一方、プラスチック類は10.9%増、電気類は23.6%増となっています。

総量では2.1%減でも、すべての品目が同じように減少しているわけではありません。

特に国内のトラック輸送を考える場合、全体のTEUだけでなく、自社が関係する品目や港の変化を見る必要があります。

なお、公表された品目別増減率だけから、それぞれの品目が総量の減少に何TEU寄与したかを正確に算出することはできません。

寄与度については断定しないことが適切です。

アジア全体の増加と日本発の減少は矛盾しない

2026年8月のアジア主要10か国・地域発の米国向け海上コンテナ輸送量は、母船積み地ベースで189万3,443TEU、前年同月比2.0%増でした。

一方、日本発の荷受地ベースは前年同月比2.1%減です。

アジア全体が増えているからといって、日本で受け付けられる貨物も同じように増えるとは限りません。

ただし、アジア全体は母船積み地ベース、日本発は荷受地ベースであり、集計基準が異なります。

単純な比較ではなく、「アジア全体の動きと、日本で受け付けられる貨物の動きは必ずしも一致しない」ことを確認する材料として見る必要があります。

国内のトラック輸送への影響

海上コンテナ貨物量が前年同月比2.1%減ったからといって、国内のトラック輸送需要も2.1%減るとは限りません。

TEUはコンテナの大きさを20フィート換算した単位であり、貨物重量、配送距離、納品件数、輸送金額を示す数字ではありません。

さらに、輸出貨物では工場や倉庫から港までの輸送、ドレージ、荷役、コンテナ搬入、空コンテナ返却など複数の物流業務が発生します。

そのため、国内輸送への影響は、どの品目が、どの港から、いつ、どこまで運ばれるのかによって変わります。

全国平均だけを見るのではなく、自社が関係する港、品目、配送区間を分けて確認することが重要です。

コンテナ輸送とトランシップが効率化につながる仕組み

国土交通省は、国際海上コンテナについて、効率的な海陸複合一貫輸送が可能な輸送方式として説明しています。

コンテナ輸送の大きな特徴は、貨物を規格化された容器に入れた状態で、船、トラック、鉄道など異なる輸送手段の間をつなげられることです。

また、国際海事機関(IMO)の2017年の事務局長スピーチ「Safety in the Intermodal Supply Chain」では、コンテナ化によって規模の経済が生まれ、船舶、クレーン、荷役設備などの標準化が進み、港湾やターミナルの処理効率向上につながったという趣旨が説明されています。

※このIMO資料は正式な調査報告書ではなく、2017年に公表されたIMO事務局長によるスピーチです。コンテナ化の歴史的・構造的な利点を説明する補足資料として参照しています。

つまり、コンテナ輸送そのものには、輸送単位を標準化し、海上輸送と陸上輸送をつなぎやすくするという構造的な効率性があります。

トランシップは「非効率」とは限らない

トランシップは、複数の航路をハブ港で接続し、直航便がない国や地域を国際海運ネットワークへつなぐ仕組みです。

世界銀行が2026年に公表した「Mapping 20 years of change in the global liner shipping network」では、世界の定期コンテナ航路について、国同士を直接結ぶ航路が減少する一方、トランシップ拠点への依存が高まっていることが説明されています。

同資料では、船社の統合や船舶の大型化などを背景に、ハブ・アンド・スポーク型の海運ネットワークが発達してきたことも示されています。

したがって、トランシップ率が上昇したことだけを理由に、「物流が非効率になった」と判断することはできません。

一方で、トランシップでは積み替え作業や接続便が増えるため、直航便と比較して遅延やリードタイム変動の要因が増える場合があります。

トランシップには、国際海運ネットワークを広くつなぐ役割がある一方、接続管理の重要性が高まるという両面があります。

「8月に効率化が進んだ」とは判断できない

ここは今回の記事で特に重要な点です。

8月の統計から確認できるのは、貨物量と輸送経路の構成が変化したことです。

コンテナ内の積載率、港湾での荷役時間、トラックの待機時間、空コンテナの回送距離などは、この統計からは分かりません。

したがって、「トランシップ率が上昇したため、8月の物流効率が向上した」とは判断できません。

コンテナ輸送の仕組みとして効率化につながる特徴があることと、2026年8月に実際の輸送効率が上がったかどうかは、分けて考える必要があります。

荷主企業が確認したいこと

船積み予定日、港への搬入締切、コンテナの引取可能日をできるだけ早く共有することが重要です。

さらに、品名、重量、荷姿、コンテナ種類、積地、卸地、作業条件を正確に共有することで、国内トラックの手配もしやすくなります。

船の遅延やトランシップ変更が発生する可能性を考え、国内配送日について一定の調整幅を持たせることも重要です。

倉庫の受入時間、荷待ち、荷役、附帯作業についても、見積もり段階から確認しておく必要があります。

運送会社が確認したいこと

港別、品目別、区間別の依頼件数を月ごとに記録し、全国平均だけでなく自社の実際の荷動きを確認することが重要です。

また、船の入港予定と実際にコンテナを搬出できる時間には差が生じる場合があります。

待機時間、荷役時間、空車回送を記録し、基本運賃と附帯作業にかかる費用を分けて確認することが、適正な運賃形成にもつながります。

往路だけでなく帰り荷の候補を早い段階から確認することも、車両の有効活用には重要です。

貨物量が減少した月であっても、原価を下回る値下げ競争へ進むのではなく、自社の原価と輸送条件を確認したうえで判断する必要があります。

丸共協同株式会社の考察

海上輸送の統計は、国内物流にとって一つの早期情報になります。

しかし、数字そのものが答えではありません。

どの品目が、どの港から、いつ動くのかまで分けて見ることで、初めて国内のトラック手配や倉庫の受入計画につながります。

今回の8月分では、貨物総量が前月から減少した一方、トランシップ貨物は増加しました。

これは、「貨物量」と「輸送経路」を分けて管理する必要性を改めて示しています。

船の経路が変われば、港への搬入日、到着予定、コンテナの搬出可能日、国内配送予定も変わる可能性があります。

荷主企業、海貨事業者、倉庫、運送会社が早い段階から情報を共有することが、車両確保や待機時間の削減につながります。

丸共協同株式会社が大切にしている「不易流行」とは、変えてはいけない本質を守りながら、時代に合わせて方法を変えていく考え方です。

安全に荷物を届け、約束を守るという物流の本質は変わりません。

一方で、月次統計、船の到着情報、配車情報などを活用し、変化を早くつかむ方法は進化させていく必要があります。

よくある質問

Q1.8月の日本発米国向け海上コンテナ貨物は減ったのですか?

はい。荷受地ベースで5万3,263TEUとなり、前年同月比2.1%減、前月比6.5%減でした。

ただし、前年同月比の減少幅は7月の9.5%減から縮小しています。

Q2.7月と比べて何が変わりましたか?

総量は3,697TEU減少しました。

一方、トランシップ貨物は2,781TEU増え、トランシップ率は26.8%から33.9%へ7.1ポイント上昇しました。

貨物量だけでなく、輸送経路の構成も変化しています。

Q3.トランシップとは何ですか?

米国向け貨物を日本から目的地まで一つの船で直接運ぶのではなく、韓国、中国、台湾、シンガポールなど第三国・地域の港で別の船へ積み替えて輸送する方法です。

世界の定期コンテナ航路では、船舶の大型化などを背景にハブ・アンド・スポーク型のネットワークが広がっており、トランシップは国際海運ネットワークをつなぐ仕組みの一つとなっています。

Q4.荷受地ベースが前年比2.1%減なのに、母船積みベースが前年比10.3%増なのはなぜですか?

集計範囲が異なるためです。

日本発母船積みベースには、アジア域内から日本港へ集荷され、日本で米国向け母船へ積み替えられる貨物が含まれます。

日本で受け付けられた貨物を示す荷受地ベースとは同じ対象ではないため、増減の方向が異なる場合があります。

Q5.国内のトラック需要も2.1%減りますか?

同じ割合で減るとは限りません。

TEUは重量や配送件数ではなく、コンテナの大きさを20フィート換算した単位です。

国内輸送の業務量は、港、品目、距離、納品先、積卸条件、空コンテナ返却などによって変わります。

Q6.海上コンテナに関連するトラックの見積もりには何が必要ですか?

積地、卸地、希望日時、品名、重量、荷姿、コンテナ種類、作業内容、港への搬入締切または搬出可能日などをご準備ください。

前日や当日の急ぎの手配では、代替日や時間幅があると手配できる車両を探しやすくなります。

Q7.コンテナ輸送は物流を効率化できますか?

規格化されたコンテナを使うことで、貨物を船、トラック、鉄道など異なる輸送手段の間で受け渡しやすくなります。

コンテナ化は、輸送設備の標準化や大量輸送、港湾・ターミナルでの処理効率向上につながってきました。

ただし、港湾で長時間の待機が発生したり、空コンテナの回送が増えたり、車両やコンテナの積載率が低い状態が続けば、物流全体が効率化するとは限りません。

また、今回の8月統計だけから「8月に輸送効率が向上した」と判断することはできません。

まとめ

2026年8月の日本発米国向け海上コンテナ貨物量は5万3,263TEUで、前年同月比2.1%減、前月比6.5%減でした。

7月から総量は減少しましたが、前年との差は縮小しています。

一方、トランシップ率は26.8%から33.9%へ上昇し、品目別でも増減の方向が分かれました。

そのため、8月の数字を「物流全体の急激な悪化」と単純に読むのではなく、月別、品目別、輸送経路別に確認する必要があります。

また、コンテナ輸送には標準化や海陸一貫輸送による構造的な効率性がありますが、それは「2026年8月に物流効率が上がった」という意味ではありません。

物流を実際に効率化するためには、船積み情報、入出港情報、国内配送条件を早い段階から共有し、待機時間、空車回送、不要な手戻りを減らしていくことが重要です。

貨物量を見る。
輸送経路を見る。
そして、その先の国内物流を見る。

国際海上コンテナの数字を国内のトラック手配へつなげて考えることが、これからの物流には求められます。

丸共協同株式会社へのご相談

全国のトラック手配、チャーター便、混載便、帰り便については、丸共協同株式会社へご相談ください。

前日・当日の急ぎのトラック手配についても、積地、卸地、日時、品名、重量、荷姿、希望車種などを確認したうえで、対応可能な方法を検討します。


丸共協同株式会社 公式ホームページ
https://www.marukyo-group.co.jp/

トラック手配・お問い合わせ
https://www.marukyo-group.co.jp/ninushi/request/

参考資料

デカルト・データマイン
米国税関・船荷証券データを基にした海上コンテナ統計
https://www.datamyne.ne.jp/

LNEWS
「米国向け海上コンテナ貨物量/8月は2.1%減、前月比では6.5%減」
https://www.lnews.jp/2026/09/s0925604.html

「米国向け海上コンテナ貨物量/7月は9.5%減、前月比では11.0%増」
https://www.lnews.jp/2026/08/s0826702.html

「アジア発米国向け海上コンテナ輸送/8月の輸送量2.0%増」
https://www.lnews.jp/2026/09/s0916504.html

国土交通省
「第16回国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議の開催」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000744.html

※国際海上コンテナによる効率的な海陸複合一貫輸送についての説明を確認するための資料として参照。

国際海事機関(IMO)
「Safety in the Intermodal Supply Chain」
https://www.imo.org/en/mediacentre/secretarygeneral/pages/esw-intermodal-supply-chain-.aspx

※2017年に公表されたIMO事務局長のスピーチ。正式な調査報告書ではありません。コンテナ化による規模の経済、設備の標準化、港湾・ターミナルの効率化に関する背景資料として参照。

World Bank
「Mapping 20 years of change in the global liner shipping network」
https://blogs.worldbank.org/en/opendata/mapping-20-years-of-change-in-the-global-liner-shipping-network

※世界の定期コンテナ航路における直接航路とトランシップ、ハブ・アンド・スポーク型ネットワークの変化を確認するための資料として参照。

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