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大井コンテナふ頭再編でトラック輸送はどう変わる

2026.10.05 コラム
東京港のコンテナターミナルで自動荷役クレーンとコンテナトレーラーが稼働するイメージ

東京港の大井コンテナふ頭再編でトラック輸送はどう変わるのか

2035年に処理能力約1.4倍へ 完全予約制と港湾DXが配車と待機時間に与える影響

 

 

東京都は、東京港の主力である大井コンテナふ頭を2035年に向けて再編し、世界トップクラスの効率性とサステナビリティーを備えたコンテナターミナルへ転換する将来像を公表しました。計画では、年間処理能力を約240万TEUから約330万TEUへ高め、ターミナル面積を約1.4倍に拡張します。

ただし、この計画の重要点は単なる大型化ではありません。自動荷役クレーン、AI、CONPASによる搬出入予約、Cyber Portによる手続きのデジタル化、共同ゲート、トレーラー動線の分離を組み合わせ、港の中とトラックの出入りを一体で見直す構想です。

丸共協同株式会社は、この再編を港湾設備だけの話ではなく、荷主企業の発注方法、運送会社の配車、ドライバーの待機時間、運賃と附帯料金の管理まで変える取り組みと考えます。処理能力が増えるほど、港の外側を担うトラック輸送の事前調整と正確な情報共有が重要になります。

この記事の結論

大井コンテナふ頭は2035年に向け、年間処理能力を約240万TEUから約330万TEUへ引き上げる計画です。

CONPASによる完全予約制、Cyber Port、AI、自動荷役機械などを組み合わせ、搬出入時間と混雑の縮減を目指します。

世界トップクラスとは取扱量の世界順位ではなく、効率性、安全性、労働環境、脱炭素性能で目指す水準を示す表現です。

予約制だけで待機が自動的になくなるわけではありません。荷主企業、港湾事業者、運送会社が予約時刻と貨物情報をそろえて運用することが必要です。

目次

1 東京都が公表した2035年の将来像

2 処理能力と港湾機能はどう変わるのか

3 世界トップクラスという表現の正しい読み方

4 現在の待機時間から見える課題

5 港湾DXでトラック輸送はどう変わるのか

6 荷主企業が準備したいこと

7 運送会社が準備したいこと

8 丸共協同株式会社の考察

9 よくある質問

10 まとめ


1 東京都が公表した2035年の将来像

東京都港湾局は2026年8月7日、大井コンテナふ頭の2035年の具体的な将来像を公表しました。大井コンテナふ頭は東京港のコンテナ貨物のおよそ半数を扱う主力ターミナルです。施設の更新時期、人手不足、物流の2024年問題、船舶の大型化、脱炭素への対応を背景に、既存施設を使いながら段階的に再編します。

再編は、中央防波堤外側コンテナターミナルY3を工事中の移転先として活用しながら進める計画です。東京都が2024年に示した工程では、Y3を2027年度末までに整備し、2028年度に大井コンテナふ頭の再編へ着手する目途が示されています。2035年度の完成は目標であり、具体的な工程は関係者との協議や工事の進捗によって調整される可能性があります。


2 処理能力と港湾機能はどう変わるのか

項目

現在または基準

2035年の将来像

物流上の意味

年間処理能力

約240万TEU

約330万TEU

約90万TEU増。東京港の受入能力を高める

ターミナル面積

現状

約1.4倍

コンテナ保管と荷役配置の余裕を確保する

岸壁

一部水深15m

一部水深16m、延長約2km

15万DWT、約1万4,000TEU級の船舶に対応する

搬出入

時間帯による混雑

CONPASを活用した完全予約制

来場時間の分散と事前荷繰りを進める

荷役

有人作業を含む現行設備

ASCなどの最先端荷役機械

安全性、生産性、労働環境を改善する

情報手続き

複数の連絡手段や書類

Cyber Portによる完全デジタル化

入力や確認の重複を減らす

CO2排出

現状を基準

荷役作業などから9割以上削減

電動荷役機械とグリーン電力を活用する

 


TEUは20フィートコンテナ1個を1単位として数える単位です。約240万TEUから約330万TEUへの増加は約37.5%で、東京都の表現では約1.4倍となります。数値は将来の施設能力であり、実際の取扱実績が直ちに330万TEUになるという意味ではありません。

岸壁延長約2kmと一部岸壁の水深16m化は、国土交通省の検討会で公開された東京都港湾局「東京港の取組状況」(2026年1月21日、資料2-1、PDF表記6ページ)に基づきます。

最先端荷役機械とAI

ASCはAutomated Stacking Craneの略で、ヤード内のコンテナを積み下ろしする自動荷役クレーンです。AIでコンテナの配置や荷役手順を最適化し、必要なコンテナを取り出すための移動回数を抑えることで、船舶荷役とトラック搬出入の両方を効率化します。

ターミナルの一体運営

現在の複数ターミナルを一体的に運営し、外航コンテナ船と内航船などの接続と積み替えを円滑にする構想です。海上での接続が増えれば、港内や港湾間をトラックで移動する横持ち輸送を抑えられる可能性があります。ただし、対象貨物や具体的な運用方法は今後の協議によります。


3 世界トップクラスという表現の正しい読み方

日本経済新聞の記事見出しには「世界トップ級のコンテナターミナル」とありますが、コンテナ取扱個数で世界一になるという意味ではありません。東京都が掲げるのは、効率性、安全性、働きやすさ、デジタル化、脱炭素性能を世界トップクラスへ高める目標です。

また、大水深バースの対象は東京都の公表で15万DWT級、東京港埠頭株式会社「第6期中期経営計画 2024-2028」のPDF表記10ページでは15万DWT(14,000TEU)級です。したがって「世界最大級のあらゆるコンテナ船に対応する」と広げて説明するのは正確ではありません。公表された船型と水深の範囲で説明する必要があります。


4 現在の待機時間から見える課題

東京都トラック協会は2026年5月7日から28日まで、関東各県などの海上コンテナ部会に所属する18店社を対象に、第28回待機時間調査を実施しました。大井コンテナふ頭では、並び始めからゲートアウトまでの平均待機時間がターミナルによって1時間から1時間54分となっています。

大井コンテナターミナル

  調査件数

  平均待機時間

  最大待機時間

大井2号

  441件

  1時間54分

  4時間30分

大井4号

  224件

  1時間03分

  4時間49分

大井5号

  224件

  1時間08分

  3時間41分

大井7号

  264件

  1時間00分

  4時間12分

 


この調査は参加事業者の記録を集計したもので、東京港を利用する全車両の平均ではありません。また、午前7時30分以前の並び始めは一律7時30分として扱い、同じ車両が搬入後に別のコンテナを搬出する「降ろし取り」は上表の平均から除かれています。

大井2号・4号・5号・7号の調査件数、平均待機時間、最大待機時間は、東京都トラック協会の調査結果PDF冒頭1ページから4ページで確認しています。

大井1・2号では2025年8月20日からCONPASを活用した予約制の常時運用が始まっています。それでも2026年5月調査では大井2号の平均が1時間54分でした。予約システムの導入は重要ですが、予約枠の設計、利用率、荷役準備、ゲート処理、貨物情報の精度までそろわなければ、待機時間が直ちに解消するとは限りません。


5 港湾DXでトラック輸送はどう変わるのか

現場項目

期待される変化

確認したい課題

配車計画

予約枠を基準に運行時刻を組みやすくなる

前後の集荷・納品と予約枠を無理なく接続できるか

ドライバー待機

来場の集中を抑え、拘束時間を短縮する

予約外車両、船の遅延、検査時の扱いが明確か

荷役準備

予約情報を基に事前荷繰りを進められる

コンテナ番号や搬出可否情報が正確に連携されるか

安全管理

外来車両と構内車両の動線を分離する

共同ゲート周辺や港外道路に新たな滞留が生じないか

料金管理

待機時間を記録し、条件を協議しやすくなる

待機・附帯作業の発生条件と請求方法を事前に決めているか

デジタル対応

Cyber PortやCONPASで情報を共有する

車両情報、PSカード、担当者権限を最新に保てるか

 


処理能力が約90万TEU増えても、港外の道路、デポ、倉庫、トラック輸送力が同じままであれば、混雑が港の外側へ移る可能性があります。そのため、評価すべき指標は船舶の荷役量だけではありません。ゲート前待機時間、ターミナル滞在時間、予約枠の利用率、時間帯別の車両集中、ドライバー1人当たりの運行回数まで継続して確認する必要があります。


6 荷主企業が準備したいこと

船の入港予定だけでなく、コンテナの搬出可能日と無料保管期間を早めに確認する。

コンテナ番号、搬出入区分、積み地、卸し地、納品可能時間、荷役条件を正確に共有する。

朝一番や特定時間への納品集中を見直し、予約枠に合わせた納品時間の調整余地を持つ。

海上運賃と国内輸送費を混同せず、基本運賃、待機時間、荷役、附帯作業の料金を分けて確認する。

港湾混雑や船の遅延が生じた場合の連絡先、判断者、納品先との調整手順を決めておく。


7 運送会社が準備したいこと

CONPASの利用登録、車両情報、PSカード情報、配車担当者の権限を定期的に確認する。

予約時刻、並び始め、ゲートイン、ゲートアウト、納品完了の時刻を記録する。

待機時間を便別原価に反映し、基本運賃と待機・附帯作業料金を分けて説明できるようにする。

予約変更、船の遅延、検査、コンテナ搬出不可が発生した場合の配車変更手順を標準化する。

デジタル化で生まれた時間を単純な値下げに置き換えず、安全、人材、車両、教育へ再投資する。


8 丸共協同株式会社の考察

設備の大型化より情報の正確さが成否を分ける

大井コンテナふ頭の再編は、港の処理能力を増やすだけでは成功しません。予約情報と実際の到着時刻がずれ、貨物情報が不足し、納品先の受入時間が変わらなければ、トラックの待機場所が移るだけになる可能性があります。港、荷主企業、海貨事業者、倉庫、運送会社が同じ情報を早い段階で共有することが重要です。

効率化は値下げではなく一便の価値を高めること

待機時間が短くなれば、同じ労働時間の中で安全に運べる範囲が広がり、急な配車変更も減らせます。その効果は運賃の引下げだけで評価するものではありません。ドライバーの拘束時間、安全性、納品の安定、車両の稼働率を改善し、持続可能な輸送体制へつなげることが本来の価値です。

不易流行の視点でデジタル化を使う

不易流行(ふえきりゅうこう)とは、変えてはいけない本質を守りながら、時代に合わせて方法を変える考え方です。安全に荷物を届け、約束を守り、関係者へ正確に伝えるという物流の本質は変わりません。一方で、予約、書類、配車、待機時間の把握はデジタルで改善できます。新しい設備やシステムを導入する目的は、人を急がせることではなく、無駄な待機と不確実な連絡を減らすことにあります。


9 よくある質問

Q1 大井コンテナふ頭はいつ再編されますか

東京都が示した目途では2028年度に再編整備へ着手し、2035年度の完成を目指します。ただし、具体的な工程は関係者との協議や工事の進捗によって変更される可能性があります。

Q2 処理能力はどのくらい増えますか

年間処理能力を約240万TEUから約330万TEUへ引き上げる計画です。約90万TEU、率にすると約37.5%の増加で、東京都は約1.4倍と説明しています。これは施設能力であり、実際の取扱個数を保証する数字ではありません。

Q3 世界トップクラスとは世界一の取扱量になることですか

いいえ。東京都が目指しているのは、効率性、安全性、働きやすさ、デジタル化、脱炭素性能で世界トップクラスの水準を実現することです。取扱量の世界順位を示す表現ではありません。

Q4 完全予約制になればトラックの待機時間はなくなりますか

待機時間の縮減は期待できますが、ゼロになるとは限りません。船の遅延、検査、予約枠の集中、荷役準備、貨物情報の不備などでも待機は発生するため、実績データを継続して確認する必要があります。

Q5 CONPASとは何ですか

コンテナターミナルのゲート前混雑の解消とトレーラーの滞在時間短縮を目的とした搬出入予約システムです。大井1・2号では2025年8月20日から常時運用が始まっています。2035年の将来像では、これを活用した完全予約制が掲げられています。

Q6 荷主企業は何を早く伝える必要がありますか

コンテナ番号、搬出可能日、積み地と卸し地、納品可能時間、荷物の内容、重量、荷役条件、希望車種をできるだけ早く共有することが重要です。情報がそろうほど、予約とトラック手配を調整しやすくなります。

Q7 東京港を起点または終点とするトラック手配を相談できますか

輸送区間、荷物、重量、荷姿、希望日時、必要車種をご共有ください。丸共協同株式会社が条件を確認し、チャーター便やスポット便を含めて対応可否をご案内します。海上コンテナそのものの輸送か、港湾周辺からの一般貨物輸送かも明記してください。


10 まとめ

大井コンテナふ頭の再編では、2035年に向けて年間処理能力を約240万TEUから約330万TEUへ高め、ターミナル面積を約1.4倍に拡張する計画です。自動荷役機械、AI、CONPAS、Cyber Port、共同ゲート、車両動線の分離、荷役機械の電動化を一体で進めます。

この計画が物流現場にもたらす最大の効果は、港湾処理量の増加だけでなく、待機時間と情報の不確実性を減らせる可能性にあります。一方、港外道路や倉庫、納品先、トラック手配が連動しなければ、混雑が別の場所へ移るおそれがあります。

荷主企業には早期で正確な輸送情報の共有が、運送会社には予約対応、時間記録、原価管理が求められます。港湾DXを値下げの道具ではなく、安全と継続性を高める仕組みとして使うことが、持続可能なコンテナ輸送につながります。

トラック手配と見積もりのご相談

丸共協同株式会社では、全国のチャーター便、スポット便、帰り便を活用したトラック手配のご相談を受け付けています。積み地、卸し地、希望日時、荷物の種類、寸法、重量、個数、希望車種をお知らせいただくと、条件確認がスムーズです。

トラック手配依頼フォーム https://www.marukyo-group.co.jp/ninushi/request/

丸共協同株式会社ホームページ https://www.marukyo-group.co.jp/


参考資料

東京都港湾局「大井コンテナふ頭の将来像を公表します」2026年8月7日

東京都港湾局「Tokyo Container Vision 2050」2025年3月28日

東京都「大井コンテナふ頭の再編整備について、検討を進めていきます」2024年3月27日

東京都港湾局「東京港の取組状況」2026年1月21日、国土交通省検討会資料2-1、PDF表記6ページ

国土交通省港湾局 Cyber Port・CONPAS「大井1・2号でコンテナ搬出入予約制の常時運用を開始」

東京都トラック協会「第28回東京港各コンテナターミナルにおける海上コンテナ車両待機時間調査」2026年9月3日、調査結果PDF冒頭1-4ページ

東京港埠頭株式会社「第6期中期経営計画 2024-2028」PDF表記10ページ

日本経済新聞「東京港に世界トップ級のコンテナターミナル 都の大井埠頭改造大作戦」2026年9月24日

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