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事例紹介 WORK

JR貨物8月輸送量6.8%減の理由と今後の物流予想

2026.09.29 コラム
JR貨物の8月輸送量が前年同月比6.8%減少した背景と今後の物流の荷動きを表した貨物列車のイメージ

JR貨物の8月輸送量が6.8%減 荷動き悪化の理由と今後の見通し

飲料 米 建設発生土 セメントが減少 年度計画達成に必要な回復幅を試算

 

冒頭要約

JR貨物が2026年9月16日に公表した8月の輸送量は185万8,000トンで、前年同月比6.8%減となりました。7月は前年同月比2.9%減だったため、前年との差は1か月で3.9ポイント拡大しています。コンテナは7.8%減、車扱は4.7%減となり、両方が前年を下回りました。

減少の直接的な理由は、中央新幹線建設工事に伴う発生土、清涼飲料水やビール類、米を含む農産品、セメント・石灰石などの輸送減少です。特に8月は、7月に前年を上回っていた自動車部品、家電・情報機器、化学薬品も前年割れへ転じ、荷動きの弱さが複数品目へ広がりました。

ただし、8月の数字だけで貨物鉄道の競争力低下や物流需要全体の急落を断定することはできません。前年の特殊需要の反動、工事工程、天候、夏季休暇、品目構成などが重なっており、月間輸送量の前月比較と前年同月比を分けて読む必要があります。

本稿の結論:秋の農産品輸送やモーダルシフト案件によって減少幅が縮小する可能性はありますが、JR貨物の2026年度計画2,745万トンを達成するには、9月から翌年3月までの合計を前年同期より約4.2%増やす必要があります。現時点では、秋以降に前年並みまで回復しても通期計画には届かない可能性があり、品目別・地域別の回復を確認する段階です。

目次

1 JR貨物が公表した2026年8月の輸送実績

2 7月より悪化した数字を比較する

3 輸送量が減少した5つの理由

4 数字を読むときの注意点

5 2026年度後半の輸送量をどう予想するか

6 トラック輸送と物流現場への影響

7 荷主企業が今から確認したいこと

8 運送会社が今から確認したいこと

9 丸共協同株式会社の考察

10 よくある質問とまとめ


1  JR貨物が公表した2026年8月の輸送実績

JR貨物の一次資料によると、2026年8月の輸送量はコンテナ123万トン、車扱62万8,000トン、合計185万8,000トンでした。前年同月と比べると、コンテナは7.8%減、車扱は4.7%減、合計は6.8%減です。

2026年4月から8月までの年度累計は1,025万6,000トンで、前年同期比4.9%減となりました。内訳を見ると、コンテナが6.9%減である一方、車扱は0.2%増です。年度累計の弱さは、主としてコンテナ輸送から生じています。

区分

  2026年7月

  7月前年比

  2026年8月

  8月前年比

  4月から8月累計

  累計前年比

コンテナ

  1,630千トン

  96.0%

  1,230千トン

  92.2%

  7,244千トン

  93.1%

車扱

  672千トン

  99.8%

  628千トン

  95.3%

  3,012千トン

  100.2%

合計

  2,302千トン

  97.1%

  1,858千トン

  93.2%

  10,256千トン

  95.1%

 


注記:月間輸送量は季節性があるため、7月と8月の実数差だけで需要を評価せず、それぞれの前年同月比を併せて確認します。数値はJR貨物の速報値を使用しています。


2  7月より悪化した数字を比較する

合計の前年同月比は7月の97.1%から8月の93.2%へ低下しました。前年割れ幅は2.9%から6.8%へ拡大しています。コンテナだけでなく、7月にはほぼ前年並みだった車扱も8月に4.7%減となったことが、全体の悪化を大きくしました。

品目別では、セメント・石灰石が7月の10.5%増から8月の10.1%減へ反転しました。前年との差は7月のプラス1万4,000トンから8月のマイナス1万4,000トンへ変わり、月ごとの前年差を比べると28,000トン分の悪化です。

品目

  2026年7月前年比

  2026年8月前年比

  読み取り

農産品・青果物

  90.6%

  86.6%

  備蓄米輸送の反動に米の消費減少が加わる

食料工業品

  92.6%

  87.2%

  飲料・ビール類の出荷が伸びず減少幅拡大

紙・パルプ

  111.0%

  105.2%

  前年超えは維持したが増加幅縮小

積合せ貨物

  103.5%

  102.1%

  前年超えを維持

自動車部品

  103.1%

  94.8%

  増加から減少へ転換

家電・情報機器

  103.4%

  94.7%

  増加から減少へ転換

エコ関連物資

  35.6%

  41.6%

  大幅減が継続 ただし減少率は7月より縮小

セメント・石灰石

  110.5%

  89.9%

  前年の生産好調の反動で減少へ反転

 


3  輸送量が減少した5つの理由

理由1 建設発生土という大型案件の減少

エコ関連物資は2万6,000トンで、前年同月比58.4%減でした。JR貨物は、中央新幹線建設工事に伴う発生土の減少を理由に挙げています。発生土のような大量輸送は、工事の進捗や輸送工程によって月次実績を大きく動かします。これは一般貨物全体の需要低下とは性質が異なる、プロジェクト貨物の変動です。

理由2 気温差による飲料とビール類の出荷減

食料工業品は19万6,000トンで、前年同月比12.8%減でした。JR貨物は、全国的に前年より気温が低く、清涼飲料水とビール類の出荷が伸びなかったと説明しています。食品物流は生活に不可欠ですが、飲料などは気温や販売計画の影響を強く受けます。

理由3 前年の備蓄米輸送の反動と米の消費減少

農産品・青果物は7万7,000トンで、前年同月比13.4%減でした。前年に備蓄米の輸送があった反動だけでなく、2026年8月資料では米の消費減少も理由として記載されています。前年に一時的な輸送があった品目は、当年の数字が実態以上に悪く見える場合があります。

理由4 セメント・石灰石の前年反動

セメント・石灰石は12万6,000トンで、前年同月比10.1%減でした。JR貨物は、前年の生産が好調だった反動と説明しています。建設需要そのものの急減を示す資料ではなく、前年の高い基準との比較である点に注意が必要です。

理由5 複数の工業品が増加から減少へ転じた

8月は、自動車部品、家電・情報機器、化学薬品、他工業品なども前年を下回りました。発生土や飲料だけでなく、製造業に関係する複数品目へ弱さが広がったことが、7月より悪く見える重要な理由です。一方、紙・パルプは5.2%増、積合せ貨物は2.1%増であり、すべての品目が減っているわけではありません。

4 数字を読むときの注意点

前月比と前年同月比を混同しない。8月は夏季休暇などの季節性があるため、7月からの実数減少だけでは判断できません。

鉄道貨物の減少を、鉄道からトラックへ貨物が移った証拠と決めつけない。今回の公表資料だけでは輸送手段別のシェア移動は確認できません。

輸送量が減っても、必要な地域・日付・車種でトラックを手配しやすくなるとは限りません。物量の平均値と、区間別・時間帯別の輸送力は別の問題です。

発生土や備蓄米のような特殊要因を、日常的な一般貨物と分けて見る必要があります。

速報値には後日の修正可能性があります。単月で結論を出さず、9月以降と年度累計を継続して確認します。


5  2026年度後半の輸送量をどう予想するか

短期では秋の農産品輸送が下支えする可能性

JR貨物は、北海道の馬鈴薯収穫期に合わせ、2026年9月10日から10月9日までのうち29日間、帯広貨物駅から熊谷貨物ターミナル駅まで専用列車を運転します。輸送予定は12フィートコンテナ2,900個で、2025年度実績の2,600個を上回る計画です。秋の農産品輸送は、8月に落ち込んだ農産品・青果物を一定程度下支えする可能性があります。

一方で年度計画の達成には強い回復が必要

JR貨物の2026年度事業計画は、年間輸送量をコンテナ1,945万トン、車扱800万トン、合計2,745万トンと見込んでいます。2025年度実績と2026年4月から8月の累計を基に単純計算すると、計画達成に必要な残り7か月の合計輸送量は1,719万4,000トンです。これは前年の同期間を約4.2%上回る水準です。

区分

  2025年度実績

  2026年度計画

  4月から8月実績

  計画までの残り

  前年9月から3月

  必要な前年比

コンテナ

  18,918千トン

  19,450千トン

  7,244千トン

  12,206千トン

  11,135千トン

  約109.6%

車扱

  8,368千トン

  8,000千トン

  3,012千トン

  4,988千トン

  5,363千トン

  約93.0%

合計

  27,287千トン

  27,450千トン

  10,256千トン

  17,194千トン

  16,499千トン

  約104.2%



注記:前年9月から3月は、2025年度年間実績から2025年4月から8月の実績を差し引いた概算です。公表値が千トン単位で丸められているため、必要な前年比も概算です。これは丸共協同株式会社による単純試算であり、JR貨物の業績予想ではありません。


丸共協同株式会社による3つの見通し

シナリオ

想定

年度全体の見え方

確認したい指標

回復が強い場合

農産品・積合せ貨物に加え、工業品とモーダルシフト案件が増える

残り7か月が前年比約4.2%増以上なら計画到達が視野

コンテナ月次前年比と新規大型案件

基本シナリオ

秋に減少幅は縮むが、発生土・食料工業品の弱さが一部残る

残り7か月が前年並みなら年間約2,675万5,000トンで、前年を約2.0%下回る単純試算

農産品回復と工業品の底入れ

下振れする場合

個人消費・生産活動の弱さ、災害、工事工程変更が重なる

年度累計の減少幅が再び拡大

食料工業品・自動車部品・セメント

 


現時点で丸共協同株式会社が最も現実的と考えるのは、秋の農産品輸送などで単月の減少幅は縮小する一方、年度計画の達成には届かない可能性が残る基本シナリオです。特にコンテナは、計画達成に残り7か月で前年同期比約9.6%増が必要なため、通常の季節回復だけではなく、新規案件やモーダルシフトの積み上げが必要です。

中期ではモーダルシフトが回復要因になり得る

2026年9月には、31フィート冷凍コンテナを使った関東・九州間の低温物流や、北海道内で多品種・小ロットの生活必需品を鉄道とトラックでつなぐ実証が公表されました。2026年4月施行の改正物流効率化法、ドライバー不足、CO2削減の要請は、鉄道利用を後押しする構造要因です。

ただし、モーダルシフトは公表しただけで直ちに大量の輸送量へ変わるものではありません。発着駅までの集荷・配送、積替え、ダイヤ、受入時間、責任分界、費用を一体で設計し、継続利用へ移行できるかが重要です。


6  トラック輸送と物流現場への影響

鉄道貨物とトラック輸送は、単純な競合関係だけではありません。鉄道が長距離幹線を担い、トラックが発駅までの集荷と着駅からの配送を担う組み合わせが増えれば、トラックは地域配送や時間指定への対応に輸送力を振り向けられます。

現場項目

起こり得る変化

確認事項

トラック手配

総物量が減っても地域・日付・車種によって需給差が残る

積地・卸地・日時・荷姿・重量を早期共有

運賃・料金

物量減少と人件費・燃料費・設備費上昇が同時に起こる

基本運賃と荷待ち・荷役・附帯作業を分けて協議

長距離輸送

鉄道・内航海運・中継輸送との組み合わせが増える

リードタイムと集配条件を含めて比較

配車業務

品目ごとの繁閑差が大きくなり、固定的な経験則が外れやすい

週次・月次の物量予測と実績差を記録

帰り便・帰り荷

往復の物量差により空車回送が発生しやすい区間が変わる

値下げではなく往復条件と原価で判断

 

 輸送量が減ったという理由だけで運賃が下がるとは限りません。物流サービスを維持する費用は、物量とは別に発生します。むしろ物量が不安定になると、車両・人員・列車・倉庫の固定費を少ない輸送量で支える必要があり、採算管理は難しくなります。

 7  荷主企業が今から確認したいこと

月間総量だけでなく、日別・区間別・車種別の出荷予定を早めに共有する。

気温や販促によって変動する飲料・食品は、通常想定と上振れ・下振れの幅を運送会社へ伝える。

長距離輸送はトラック、鉄道、内航海運、中継輸送を、運賃だけでなくリードタイムと災害時の代替性も含めて比較する。

トラックの見積もりでは、積地、卸地、希望日時、荷物の種類、荷姿、重量、個数、作業内容を正確に伝える。

急ぎの手配が必要になる前に、通常便と緊急便の連絡方法、責任者、判断基準を決めておく。


8  運送会社が今から確認したいこと

売上総額だけでなく、品目・荷主企業・区間ごとの輸送量変化を確認する。

一つの大型案件や季節品への依存度を把握し、終了・減送時の影響を試算する。

帰り荷の確保は、運賃を下げることではなく、往復原価と稼働率を改善できる条件で判断する。

鉄道コンテナの集配、中継輸送、共同配送など、自社車両を長距離区間だけに固定しない選択肢を検討する。

荷待ち・荷役・空車回送・高速道路・燃料・人件費を記録し、物量減少局面でも採算を説明できるようにする。


9  丸共協同株式会社の考察

今回の6.8%減で重要なのは、物流需要が一方向に減っていると見ることではありません。発生土のようなプロジェクト貨物、飲料のような天候連動品、農産品のような季節品、工業品のような景気連動品が、同じ月に異なる理由で動いています。平均値だけを見るより、何が、どこからどこへ、いつ動くのかを分けて考える必要があります。

物量が減る局面では、荷主企業は輸送価格の引下げを求めやすく、運送会社は車両を動かすために条件を下げやすくなります。しかし、人件費、安全対策費、燃料費、車両費まで下がるわけではありません。短期の受注確保と、継続できる適正な取引条件を分けて考えることが重要です。

物流の不易流行(ふえきりゅうこう)とは、変わらない責任と、変えるべき方法を見極めることだと考えます。安全に荷物を届ける責任は変えず、トラックだけに頼る区間、連絡方法、待ち時間、往復の組み方は見直す。荷主企業、運送会社、地域社会にとっての三方よしに、次世代へ物流を残す未来よしを加える視点が必要です。

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丸共協同株式会社では、全国のチャーター便・貸切便、スポット便、急ぎのトラック手配、帰り便の活用についてご相談を受け付けています。物量の増減だけでなく、積地、卸地、日時、車種、荷姿、重量などの条件を整理し、輸送方法を検討します。

丸共協同株式会社ホームページ:https://www.marukyo-group.co.jp/

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お問い合わせ:https://www.marukyo-group.co.jp/contact/


10  よくある質問

Q1 JR貨物の2026年8月輸送量はなぜ減ったのですか

中央新幹線建設工事に伴う発生土、清涼飲料水・ビール類、農産品・青果物、セメント・石灰石などが前年を下回ったためです。自動車部品や家電・情報機器も7月の前年超えから8月は前年割れへ転じました。

Q2 7月より本当に悪化していますか

前年同月比で見ると、合計は7月の2.9%減から8月の6.8%減へ悪化しました。特に車扱が0.2%減から4.7%減へ広がり、セメント・石灰石の反転が影響しました。

Q3 今後も輸送量の減少は続きますか

秋の農産品輸送やモーダルシフト案件が下支えする可能性があります。ただし、8月までの累計は4.9%減で、年度計画達成には残り7か月で前年同期比約4.2%増が必要です。現時点では回復幅を継続確認する必要があります。

Q4 鉄道貨物が減るとトラック運賃も下がりますか

必ずしも下がりません。輸送量が減っても、人件費、燃料費、車両費、安全対策費は必要です。地域、日付、車種による輸送力不足も残るため、原価と条件を分けて判断する必要があります。

Q5 モーダルシフトが進んでいるのに鉄道貨物が減るのは矛盾しませんか

矛盾とは限りません。新規のモーダルシフトが増えても、発生土のような大型案件が減れば全体数量は下がります。既存貨物の減少と新規案件の増加を分けて確認する必要があります。

Q6 トラックの見積もりには何が必要ですか

積地、卸地、希望日時、荷物の種類、荷姿、重量、個数、希望車種、荷役や待機の条件が必要です。前日・当日の急ぎの手配では、分かる範囲を先に共有すると確認が進めやすくなります。


まとめ

JR貨物の2026年8月輸送量は前年同月比6.8%減となり、7月の2.9%減から悪化しました。主因は、建設発生土、飲料・ビール類、農産品、セメント・石灰石の減少に加え、自動車部品や家電・情報機器など複数品目が前年割れへ転じたことです。

秋の農産品輸送とモーダルシフトは回復要因になりますが、年度計画達成のハードルは低くありません。荷主企業と運送会社は、全国平均の物量だけで判断せず、品目・地域・区間・時期ごとの動きを共有し、早めのトラック手配、複数輸送手段の比較、適正な原価確認を進めることが重要です。

参考資料

日本貨物鉄道株式会社『輸送動向について 2026年8月分』2026年9月16日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260916_01.pdf

日本貨物鉄道株式会社『輸送動向について 2026年7月分』2026年8月21日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260821_01.pdf

日本貨物鉄道株式会社『2025年度 輸送実績 速報』2026年4月15日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260415_02.pdf

日本貨物鉄道株式会社『2026年度 事業計画』2026年3月31日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260331_02.pdf

日本貨物鉄道株式会社『馬鈴薯輸送専用列車の運転について』2026年9月8日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260908_02.pdf

日本貨物鉄道株式会社ほか『4社のパートナーシップにより低温物流の鉄道モーダルシフトを推進』2026年9月15日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260915_01.pdf

日本貨物鉄道株式会社ほか『道内生産地域への生活必需品の安定供給に向けた新モーダルシフトの実証事業』2026年9月18日 https://www.jrfreight.co.jp/info/2026/files/20260918_01.pdf

LOGISTICS TODAY『JR貨物8月輸送6.8%減 発生土や飲料が落ち込む』2026年9月17日 https://www.logi-today.com/1001819

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