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建設需要は運賃を押し上げるのか 今後2年の物流を解説

2026.09.18 コラム
データセンターや物流倉庫などの大型施設建設を背景に建設資材と設備機器を運ぶ大型トラックのイメージ

データセンターや物流倉庫の建設需要と今後2年の物流運賃

トラック手配と実運送会社への還元を考える

 

冒頭要約

結論から言うと、データセンター、物流倉庫、大型施設の建設需要は、2027年度までトラック手配と一部の輸送区間に需要増加の圧力をかける可能性があります。電気設備や空調設備などを担う設備工事会社にも仕事が波及しやすく、資材や機器を運ぶチャーター便、貸切便、スポット便の需要も増える場面が考えられます。

ただし、建設需要が増えれば運賃が自動的に上がり、実際に荷物を運ぶ実運送会社の利益まで改善するとは限りません。運賃と荷待ち、荷役、附帯作業、燃料費、高速道路料金を分けて協議し、委託の段階と実運送会社を見える化することが必要です。

本稿では、公表資料から確認できる建設市場の見通しと、そこから物流へ波及し得る変化を分けて整理します。将来予測は確定事項ではなく、地域、工事工程、車種、荷姿、時間指定によって需給が変わる点にも注意が必要です。

目次

1 建設業の回復と2027年度までの見通し

2 設備工事会社にも需要が波及しやすい理由

3 大型施設別に見た輸送需要

4 建設需要だけでは運賃アップが決まらない理由

5 実運送会社の改善につなげる条件

6 荷主企業がトラック手配で確認したいこと

7 運送会社が収益改善のために確認したいこと

8 丸共協同株式会社の考察

9 よくある質問

10 まとめ

11 丸共協同株式会社ホームページのご案内


1 建設業の回復と2027年度までの見通し

公表事実

主要建設会社40社を集計した2025年度の決算分析では、受注高が前年度比15.9パーセント増となり、過去5年間で最も高い水準でした。売上総利益は同27.9パーセント増、営業利益は同47.5パーセント増で、工事採算の改善が集計値に表れています。

一方、2026年7月に公表された建設投資予測では、建設投資全体が2026年度83兆2,600億円、2027年度86兆3,500億円とされています。とくに民間非住宅建設投資は2026年度22兆6,200億円、2027年度24兆1,000億円の見通しで、両年度とも名目、実質で増加予測です。

指標

  2026年度

  2027年度

  前年度比

建設投資全体 名目値

  83兆2,600億円

  86兆3,500億円

  2026年度 6.3%増
  2027年度 3.7%増

民間非住宅建設投資 名目値

  22兆6,200億円

  24兆1,000億円

  2026年度 7.1%増
  2027年度 6.5%増

民間非住宅建設投資 実質値

  16兆4,378億円

  17兆679億円

  2026年度 3.0%増
  2027年度 3.8%増

 


注記 2026年度と2027年度の数値は2026年7月時点の予測です。名目値には価格上昇の影響が含まれます。予測の前提や個別案件の延期、中止、地域差によって実績は変わります。

二年間は堅調でも一直線の拡大ではない

公表資料は2027年度まで民間非住宅分野が堅調に推移する見通しを示しています。このため、今後2年間という見方には一定の根拠があります。ただし、主要建設会社の2026年度受注予想には反動減を見込む区分もあります。業界全体の投資額が伸びても、すべての企業、工種、地域の受注や利益が同じように増えるわけではありません。


2 設備工事会社にも需要が波及しやすい理由

丸共協同株式会社の分析

データセンターや高機能工場、大型施設は、建物の躯体だけで完成しません。受変電設備、非常用電源、無停電電源装置、冷却設備、配管、監視制御、防災設備などの比重が大きく、電気工事や空調衛生工事を担う設備工事会社が工程の中心になります。

そのため、総合建設会社の受注回復は設備工事会社にも波及しやすいと考えられます。とくにデータセンターでは電力と冷却が施設性能を左右するため、設備分野の仕事量が増えやすい構造です。反対に、一般的な倉庫は設備密度が相対的に低く、自動化設備や冷凍冷蔵設備を備える倉庫ほど設備工事への波及が強くなります。

ただし、設備工事会社の業績は受注量だけでは決まりません。技能者の確保、資材価格、外注費、工期、追加変更契約の条件で採算が変わります。二次、三次の協力会社まで一律に利益が改善すると断定することはできません。


3 大型施設別に見た輸送需要

建設需要が物流へ波及するタイミングは一度ではありません。着工前の仮設資材、躯体工事の建材、設備工事の機器、内装や什器、竣工前後の備品と在庫など、工程ごとに必要な車種と物量が変わります。

施設

増えやすい輸送

手配上の特徴

データセンター

受変電機器 発電機 冷却設備 配管 制御盤 精密機器

重量物や高額品 時間指定 搬入予約 現場待機への配慮

物流倉庫

鉄骨 建材 ラック 搬送設備 冷凍冷蔵設備 開業時在庫

建設中と稼働開始前で物量が変化 自動化倉庫は設備輸送が増えやすい

大型商業施設や工場

建材 空調電気設備 生産設備 什器 消耗品

複数業者の搬入が集中 工程変更や夜間搬入が起こりやすい

 


トラック手配への具体的な影響

4tや10tの貸切便、平ボディ、ウイング車など、案件に合う車種を必要日に確保しにくくなる地域や時間帯が生じる可能性があります。

現場の搬入予約、ゲート制限、誘導員、揚重設備、荷下ろし方法の確認が不足すると、荷待ちや再配達が増えます。

工期変更や追加工事ではスポット便や緊急配送が必要になり、通常便より手配条件が厳しくなります。

荷主企業にとっては帰り便を活用できる区間、運送会社にとっては帰り荷を確保できる区間を早く共有することが、空車回送の削減につながります。


4 建設需要だけでは運賃アップが決まらない理由

需要が供給を上回る区間では、運賃に上昇圧力がかかります。しかし、見積もりの内訳が曖昧なままでは、増えた売上が実運送会社の人件費、車両費、整備費、安全投資に残らないことがあります。運賃アップを持続的な改善にするには、輸送の原価と輸送以外の作業を分ける必要があります。

見積項目

  確認する内容

運賃

  車種 距離 拘束時間 片道か往復か 空車回送の範囲

荷待ち時間

  受付から積み下ろし開始までの時間と課金条件

荷役と附帯作業

  積み込み 荷下ろし 検品 養生 仕分け 作業者の有無

実費

  高速道路料金 フェリー 駐車 誘導 燃料サーチャージ

特殊条件

  夜間 休日 時間指定 キャンセル 再配達 重量物 高額品

 


標準的運賃の調査が示す現在地

2026年8月に公表された調査では、運賃交渉を行ったトラック事業者は約90パーセントで、そのうち荷主企業から一定の理解を得た事業者は約78パーセントでした。事業者全体では約70パーセントに相当します。

一方、2024年3月に告示された標準的運賃と比べ、8割以上を収受できた事業者は約35パーセントでした。交渉の機会は増えていても、原価を反映した運賃が広く定着したとは言い切れません。

標準的運賃は2024年3月の見直しで、運賃水準が平均8パーセント引き上げられ、燃料サーチャージも盛り込まれました。荷待ちや荷役など輸送以外のサービスの対価も、運賃と分けて協議する考え方が示されています。


5 実運送会社の改善につなげる条件

実運送会社とは、契約の名義だけを持つ事業者ではなく、実際に車両とドライバーを手配して貨物を運ぶ会社です。建設需要の増加を現場の改善につなげるには、次の条件が重要です。

誰が実際に運ぶのかを把握し、必要な情報を早い段階で共有する。

委託の段階を必要以上に重ねず、中間で差し引かれる費用と役割を明確にする。

便別、区間別、車種別の原価を基に、運賃と料金を協議する。

急な工程変更、長い荷待ち、追加荷役が発生した場合の負担を事前に決める。

改善分をドライバーの処遇、安全教育、車両更新、整備へ再投資できる水準を確保する。

制度は多重構造の見える化を進めている

2026年4月1日から、貨物自動車運送事業者と貨物利用運送事業者には、委託段階を2次までに制限する努力義務が課されています。また、元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも、実運送体制管理簿の作成義務が広がりました。

2025年6月11日に公布された法律では、国が定める適正原価を下回る運賃や料金を制限する仕組みも盛り込まれています。ただし、2026年9月16日時点では、適正原価に関する部分は公布後3年以内の施行に向けて制度設計が進められている段階です。すでに施行された制度と、今後施行される制度を分けて理解する必要があります。


6 荷主企業がトラック手配で確認したいこと

チャーター便、貸切便、スポット便の見積もりでは、価格を尋ねる前に輸送条件を揃えると、手配の精度が上がります。とくに建設現場への配送は、住所だけでは判断できない条件が多くあります。

積地と卸地の正確な住所、現場名、搬入口、連絡先

集荷日と納品日、受付時間、時間指定、搬入予約の有無

品名、個数、重量、寸法、荷姿、重ね置きの可否

2t、4t、10tなどの希望車種と、車高、車幅、道路制限

フォークリフト、クレーン、パワーゲート、手積み手下ろしの有無

待機、検品、養生、仕分け、指定場所への横持ちなどの附帯作業

高額品、精密機器、温度管理、貨物保険などの特別条件

工程変更やキャンセルが発生した場合の連絡期限と料金

早い情報共有は、必要な日に必要な車種を確保しやすくするだけでなく、運送会社が帰り荷を探す時間を確保し、荷主企業が帰り便を活用できる可能性も高めます。


7 運送会社が収益改善のために確認したいこと

燃料、人件費、車両費、保険、整備、高速道路料金を便別に把握する。

荷待ちと荷役の時間を記録し、無償作業として埋もれさせない。

緊急配送や時間指定の追加負担を見積条件に反映する。

帰り荷の確保を値下げと混同せず、空車回送の削減分を適正に分配する。

再委託先の名称、区間、委託段階を把握し、書面と実態を一致させる。

建設関連の輸送は、短期間に物量が集中する一方、工程変更も起こります。売上額だけで判断せず、拘束時間、荷役負担、空車回送、キャンセルリスクを含めた採算管理が欠かせません。


8 丸共協同株式会社の考察

私たちは、今後2年間の建設需要は物流業界に新しい仕事を生む可能性があると考えています。データセンター、物流倉庫、大型施設の工事では、資材から設備機器、竣工前後の備品まで輸送が段階的に発生するからです。設備工事会社への需要波及も、輸送案件の広がりを支える要因になります。

ただし、本当の改善は運賃の表面上の上昇だけでは測れません。実運送会社に残る金額が増え、ドライバーの処遇、安全、車両整備に回せて初めて、持続できる改善になります。荷主企業には不利な条件も含めた正確な情報提供を、運送会社には原価に基づく説明を求め、双方が納得できる条件を整えることが重要です。

不易流行(ふえきりゅうこう)の考え方で、安全と約束を守る基本は変えず、情報共有や配車の方法は時代に合わせて変えていく。利他(りた)の視点で、一方だけが利益を得る取引ではなく、荷主企業、元請事業者、実運送会社、ドライバーに改善が届く仕組みを目指すことが、物流を止めない力になると考えています。


9 よくある質問

Q1 建設需要が増えるとトラック運賃は上がりますか

需要が集中する地域、時期、車種では上昇圧力がかかる可能性があります。ただし、需要増だけで一律に上がるわけではありません。距離、拘束時間、荷待ち、荷役、空車回送、燃料費などを基に個別に協議する必要があります。

Q2 データセンター建設ではどのような輸送が増えますか

受変電機器、非常用電源、冷却設備、配管、制御盤、精密機器などの輸送が想定されます。重量、価格、搬入時間、現場の揚重方法を事前に確認し、貨物に合う車種を選ぶことが重要です。

Q3 物流倉庫の建設は運送会社にも影響しますか

建設中は鉄骨、建材、ラック、搬送設備などの輸送が発生し、稼働前には什器や在庫の搬入が増えます。自動化倉庫や冷凍冷蔵倉庫は設備が多いため、一般倉庫より設備輸送が増えやすい傾向があります。

Q4 設備工事会社やサブコンも建設需要の恩恵を受けますか

電気、空調、給排水などの設備比重が高い施設では、設備工事会社にも需要が波及しやすいと考えられます。ただし、受注量、資材価格、技能者不足、外注条件により採算は異なり、すべての会社が同じように改善するとは限りません。

Q5 実運送会社に適正な運賃を届けるには何が必要ですか

実際に運ぶ会社と委託段階を把握し、運賃、荷待ち、荷役、附帯作業、実費を分けて契約することが基本です。再委託を必要以上に重ねず、急な条件変更の負担も事前に決めることで、現場に対価が届きやすくなります。

Q6 急ぎのトラック手配では何を伝えればよいですか

積地、卸地、日時、品名、個数、重量、寸法、荷姿、希望車種、荷役方法、時間指定、連絡先をまとめてください。2t、4t、10tのどれが必要か不明な場合も、貨物の寸法と重量が分かれば運送会社が判断しやすくなります。

Q7 全国のチャーター便や貸切便はいつ相談すべきですか

予定が決まった時点で早めに相談するほど、条件に合う車両を探しやすくなります。建設現場は工程変更があるため、確定事項と未確定事項を分け、更新があればすぐ共有することが重要です。


10 まとめ

主要建設会社の2025年度集計は受注と利益の回復を示し、2026年度と2027年度の建設投資予測も民間非住宅分野の増加を見込んでいます。データセンター、物流倉庫、大型施設の建設が続けば、設備工事会社に加え、資材や機器を運ぶ物流にも需要が波及する可能性があります。

一方、運賃アップと実運送会社の改善は自動的には起こりません。荷主企業は輸送条件を早く正確に伝え、運送会社は原価と作業時間を記録し、運賃と料金を分けて協議する必要があります。委託の見える化と適正な対価を両立できれば、増加する建設需要を物流の持続性につなげられます。


11 丸共協同株式会社ホームページのご案内

全国のトラック手配、チャーター便、貸切便、スポット便、帰り便に関するご相談は、丸共協同株式会社の公式ホームページをご覧ください。積地、卸地、日時、品名、個数、重量、寸法、荷姿など、分かる範囲の輸送条件をお知らせいただくと確認がスムーズです。

丸共協同株式会社 公式ホームページ荷物を送りたい荷主様へチャーター便のご案内帰り便のご案内お問い合わせフォーム

参考資料

建設経済研究所 建設経済モデルによる建設投資の見通し 2026年7月27日 https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/20260727-model.pdf

建設経済研究所 2026年3月期 2025年度 主要建設会社決算分析 2026年6月1日 https://www.rice.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/kessan20260601.pdf

国土交通省 令和8年度 2026年度 建設投資見通し 2026年8月31日 https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001389.html

国土交通省 標準的運賃に係る実態調査結果 2026年8月26日 https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000361.html

国土交通省 トラック適正化二法について 2026年9月16日閲覧 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000019.html

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