物流の2026年問題とは?改正物流効率化法と荷主企業の対応を解説
物流の2026年問題とは?企業の約7割が制度を知らない今、荷主企業に求められる対応
公開日:2026年9月
冒頭要約
「物流の2026年問題」とは、2026年4月に全面施行された改正物流効率化法などにより、物流の効率化が運送会社だけの課題ではなく、荷主企業や元請事業者を含むサプライチェーン全体の責任として明確になった制度上の転換点を指す言葉です。
帝国データバンクの調査では、改正物流効率化法について「内容を知らない」と回答した企業が69.7%に達しました。一方で、制度を知らない企業にも、運送料金の見直し、納品条件の変更、荷待ち時間の短縮、早めのトラック手配など、実務上の変化は及びます。
1982年の創業以来、荷主企業と運送会社の間で配車を支えてきた丸共協同株式会社が、2024年問題との違いと、今から取り組みたい実務対応を現場の視点から解説します。
目次
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物流の2026年問題とは
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2024年問題と2026年問題の違い
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なぜ企業の約7割が制度内容を知らないのか
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改正物流効率化法で変わったこと
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トラック適正化二法で変わったこと
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なぜ2026年問題は大きな話題になりにくいのか
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荷主企業のトラック手配に起こる変化
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荷主企業が今から確認したい7項目
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丸共協同株式会社が考える持続可能な物流
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よくある質問
1.物流の2026年問題とは
「物流の2026年問題」は、法律上の正式名称ではありません。
一般には、2026年4月に本格化した改正物流効率化法やトラック適正化二法への対応によって、荷主企業、元請事業者、運送会社、貨物利用運送事業者などに生じる課題をまとめた呼び方として使われています。
これまでの物流政策では、ドライバーの労働時間、安全運行、車両管理など、主に運送会社側へ責任を求める制度が中心でした。しかし、荷待ち時間、荷役作業、短い納期、細かな時間指定、少量多頻度の出荷といった条件は、運送会社だけでは変えられません。
そこで国は、発荷主と着荷主を含む荷主企業にも物流効率化への取り組みを求める方向へ政策を転換しました。2026年問題の本質は、物流を「運送会社へ任せる業務」から「荷主企業も経営課題として管理する業務」へ変えることにあります。
2.2024年問題と2026年問題の違い
2024年4月、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、年間の時間外労働は原則960時間以内となりました。これが物流の2024年問題です。
一方、物流の2026年問題は、限られた労働時間の中でも荷物を安定して運ぶため、荷主企業や元請事業者を含む関係者全体に物流改善を求める制度への対応を指します。
| 比較項目 | 物流の2024年問題 | 物流の2026年問題 |
|---|---|---|
| 主なきっかけ | ドライバーへの時間外労働上限規制 | 改正物流効率化法などの本格施行 |
| 主な焦点 | 労働時間と輸送力 | 荷待ち、荷役、積載効率、管理体制、取引の適正化 |
| 主な当事者 | 運送会社、ドライバー | 発荷主、着荷主、元請事業者、運送会社、倉庫事業者など |
| 企業に求められること | 適正な運行計画と労務管理 | 物流条件の把握、改善計画、データ管理、関係者間の連携 |
つまり、2024年問題で明らかになった輸送力不足を、物流現場だけに負担させず、荷主企業を含めて改善しようとするのが2026年の制度改革です。
3.なぜ企業の約7割が制度内容を知らないのか
帝国データバンクが2026年4月16日から30日に実施した調査では、全国1万538社から回答がありました。
改正物流効率化法の認知状況は、次のとおりです。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 制度の内容を含めてよく知っている | 2.8% |
| 制度の内容を含めてある程度知っている | 14.0% |
| 名前は聞いたことがあるが、内容は知らない | 33.7% |
| 名前も聞いたことがない | 35.9% |
「名前は聞いたことがあるが内容は知らない」と「名前も聞いたことがない」を合計すると69.7%です。
ここで注意したいのは、「物流の2026年問題という言葉を知らない企業が約7割」という調査ではないことです。正確には、「改正物流効率化法の内容を知らない企業が69.7%」という結果です。
業種別に制度内容を知っている企業の割合を見ると、運輸・倉庫は61.8%ですが、製造は20.2%、卸売は18.7%、小売は9.2%でした。物流を実際に担う側と、物流を利用する荷主側との間に大きな認識差があります。
また、同調査の回答企業の約85%は中小企業です。一定規模以上の特定荷主に該当しない企業が多いため、「自社は直接の義務化対象ではない」と考え、制度への関心が高まりにくいことも一因と考えられます。
しかし、企業規模にかかわらず、物流を利用している限り無関係ではありません。
4.改正物流効率化法で変わったこと
2025年度から、すべての荷主・物流事業者には、物流効率化に向けた取り組みが努力義務として課されています。
主な取り組みは次の3点です。
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積載効率の向上
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荷待ち時間の短縮
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荷積み・荷卸しなど荷役等時間の短縮
2026年度からは、一定規模以上の事業者が「特定事業者」に指定され、中長期計画の作成や定期報告などが義務付けられました。
主な指定基準は次のとおりです。
| 区分 | 指定基準 |
|---|---|
| 特定荷主・特定連鎖化事業者 | 年間取扱貨物重量9万トン以上 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両150台以上 |
| 特定倉庫業者 | 年間保管量70万トン以上 |
特定荷主と特定連鎖化事業者には、物流を経営課題として統括する物流統括管理者、いわゆるCLOの選任も求められます。
なお、対象企業が何もしなければ直ちに罰金となるわけではありません。取り組みが著しく不十分な場合には、勧告、公表、命令という段階があり、命令に違反した場合に100万円以下の罰金が科されます。
5.トラック適正化二法で変わったこと
2026年4月には、改正物流効率化法とは別に、トラック適正化二法の一部も施行されました。
主な内容は次のとおりです。
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違法な白トラを利用した荷主等も処罰対象とする
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元請として引き受けた輸送の委託段階を2次以内とする努力義務
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貨物利用運送事業者への書面交付義務
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元請となる貨物利用運送事業者への実運送体制管理簿の作成義務
荷主企業が運送会社を探すときは、料金や対応速度だけでなく、事業許可、緑ナンバー、運送契約の内容、貨物保険、安全管理体制などの確認が一層重要になります。
また、トラック事業者の許可更新制度と、国土交通大臣が定める適正原価を下回る運賃・料金の制限については、2025年6月11日の法律公布から3年以内に施行される予定です。法律はすでに公布されており、2028年6月までの施行に向けて具体的な制度設計が進められています。
6.なぜ2026年問題は大きな話題になりにくいのか
2024年問題は、「ドライバーの残業時間が制限され、荷物を運べなくなる可能性がある」という、社会全体に伝わりやすい問題でした。
これに対して2026年問題は、次の理由から変化が見えにくくなっています。
正式な制度名ではない
「物流の2026年問題」という一つの法律があるわけではありません。改正物流効率化法、改正貨物自動車運送事業法、トラック適正化二法などが重なっているため、全体像が分かりにくくなっています。
制度が段階的に施行されている
制度変更は2025年、2026年、2028年と段階的に進みます。一日にすべてが変わるわけではないため、一般消費者には変化が伝わりにくい状態です。
自社は対象外だと思われやすい
年間9万トン以上という特定荷主の基準だけが注目されると、中小企業は無関係だと考えがちです。しかし、すべての荷主にはすでに努力義務があり、運送料金や納品条件の変化も企業規模を問わず影響します。
問題が表面化するまで気づきにくい
物流は、予定どおり荷物が届いている間は意識されにくい社会インフラです。繁忙期や災害時になって手配できる車両がない、希望時間に届けられない、これまでの運送料金では対応が難しいという状況になって初めて、企業が問題を実感することがあります。
7.荷主企業のトラック手配に起こる変化
物流の2026年問題は、法律の担当部署だけが対応する問題ではありません。日々のトラック手配や運送会社への見積もり依頼にも直結します。
急な手配ほど車両を確保しにくくなる
ドライバーの拘束時間や運行計画が厳格になる中、当日や前日の依頼では、条件に合う車両が見つからない可能性が高まります。スポット便や緊急配送が必要な場合ほど、集荷時間、納品時間、荷物の内容を早く正確に共有することが重要です。
見積もりには運送以外の条件も必要になる
運送会社への見積もり依頼では、出発地と到着地だけでなく、次の情報が必要です。
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荷物の品名、重量、寸法、数量
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希望する2t・4t・10tなどの車種
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パレット積みか手積み・手卸しか
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フォークリフトの有無
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集荷・納品の受付時間
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待機が発生する可能性
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高速道路利用や有料道路料金の扱い
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附帯作業の内容と料金
条件が曖昧なままでは、運送会社が正確な運行計画と見積もりを作れません。書面で条件を共有することが、荷主企業と運送会社の双方を守ります。
価格だけでは安定輸送を判断できない
最も安い見積もりを選ぶことが、必ずしも安定した輸送につながるとは限りません。安全運行、ドライバーの労働時間、貨物保険、荷待ち、附帯作業まで含めて、継続可能な条件かを確認する必要があります。
8.荷主企業が今から確認したい7項目
特定荷主に該当するかどうかにかかわらず、次の項目は早めに確認しておくことをおすすめします。
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自社の年間取扱貨物重量を把握しているか
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荷待ち時間と荷役等時間を計測できているか
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手積み・手卸しや検品などの附帯作業を整理しているか
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運送条件と料金を書面で確認しているか
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短すぎる納期や細かな時間指定を見直せないか
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繁忙期のトラック手配を早めに相談できているか
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一社だけに依存せず、信頼できる運送会社とのつながりを確保しているか
特に、スポット便、緊急配送、全国チャーター便・貸切便では、必要になってから運送会社を探すだけでは、空き車両が見つからないことがあります。
平時から輸送条件を整理し、複数の運送会社と連携できる体制をつくることが、事業継続にもつながります。
9.丸共協同株式会社が考える持続可能な物流
物流の2026年問題は、荷主企業と運送会社のどちらか一方に負担を移せば解決する問題ではありません。
荷主企業には、必要な車両を適切な条件で確保し、納品先との約束を守る責任があります。運送会社には、安全を守りながらドライバーが働き続けられる運行と、事業を継続できる適正な取引が必要です。そして、その先には商品を待つ消費者がいます。
丸共協同株式会社は1982年の創業以来、荷主企業のトラック手配と、運送会社の配車をつなぐ業務に携わってきました。事業者として安全を大切にしながら、2t・4t・10tトラック、チャーター便・貸切便、スポット便など、輸送条件に応じた相談に対応しています。
荷主企業にとって活用しやすい帰り便の情報と、運送会社にとって必要な帰り荷の情報が適切につながれば、不要な空車回送を減らし、車両の稼働率向上にもつながります。ただし、単に荷物情報と車両情報を掲載するだけでは十分ではありません。
荷物、車種、日時、荷役、運賃、安全、責任の所在まで正確に共有し、双方が納得できる条件を整えることが重要です。
物流のデジタル化も、現場の対話をなくすためではなく、必要な情報を早く正確につなぐために活用するべきだと私たちは考えています。
荷主企業、運送会社、消費者の三方よしに、将来の物流を残す未来よしを加えること。それが、物流の2026年問題を一時的な法令対応で終わらせず、持続可能な物流へつなげる道ではないでしょうか。
10.よくある質問
Q1.物流の2026年問題とは何ですか?
2026年4月に全面施行された改正物流効率化法などにより、荷主企業や元請事業者にも物流効率化、管理体制、取引適正化への対応が求められるようになった制度上の変化を表す通称です。正式な法律用語ではありません。
Q2.年間取扱貨物重量が9万トン未満なら関係ありませんか?
いいえ。中長期計画や定期報告などの義務化は一定規模以上の特定事業者が中心ですが、すべての荷主に積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に取り組む努力義務があります。運送料金や納品条件の変化も企業規模を問わず影響します。
Q3.対応しなければすぐに罰金になりますか?
改正物流効率化法では、対象事業者の取り組みが著しく不十分な場合、勧告、公表、命令という段階を経て、命令違反に100万円以下の罰金が科されます。すべての荷主が直ちに罰金の対象になるわけではありません。一方、違法な白トラへの運送委託は、荷主等も処罰対象となるため注意が必要です。
Q4.2024年問題との違いは何ですか?
2024年問題は、主にドライバーの時間外労働上限規制による輸送力への影響です。2026年問題は、荷待ち、荷役、積載効率、契約、管理体制などを荷主企業と物流事業者が一緒に改善する制度への対応です。
Q5.車両を確保しやすくするには何が必要ですか?
早めの相談と、正確な輸送条件の共有が重要です。荷物の重量・寸法・数量、集荷地、納品先、希望時間、車種、荷役方法、附帯作業を整理して見積もりを依頼すると、運送会社が対応可否を判断しやすくなります。
Q6.運送会社を探すときに何を確認すべきですか?
事業許可、緑ナンバー、貨物保険、安全管理体制、運送条件を書面で確認できるかを確認します。料金だけでなく、安全性、対応車種、得意な輸送地域、連絡体制も比較することが大切です。
まとめ
物流の2026年問題が話題になりにくいからといって、問題が小さいわけではありません。
改正物流効率化法の内容を知らない企業が69.7%に達したという調査結果は、運送会社と荷主企業との認識差がまだ大きいことを示しています。
荷物を安定して運ぶために必要なのは、制度の対象かどうかを確認するだけではありません。荷待ち、荷役、納期、運送条件、見積もり、配車依頼など、日々の実務を一つずつ見直すことです。
物流は、運送会社だけで守るものではありません。荷主企業、運送会社、そして商品を受け取る側が情報を共有し、無理のない条件をつくることが、これからの安定輸送につながります。
