ロゴ:丸共協同株式会社

新しい時代が求める物流創造企業 丸共協同株式会社

事例紹介 WORK

しまむらのコラボ戦略に学ぶ企業経営のヒント

2026.10.06
しまむらコラボ戦略から学ぶイメージ

しまむらはなぜ安いだけの店から変わったのか

コラボ戦略と多品種少量の仕組みから考える企業経営のヒント

 

冒頭要約

しまむらの変化を企業経営の視点で見ると、最も重要なのは有名人やキャラクターとのコラボそのものではありません。低価格という従来の強みを残しながら、店舗へ行く理由、発売日に確認する理由、オンラインストアを開く理由を商品に加えたことです。

一部の消費者には、かつてのしまむらを安い一方で目的を持って訪れる魅力が弱い店と見る印象がありました。現在は、共同開発ブランド、キャラクター、アニメ、インフルエンサーとの企画を幅広く展開し、安さに限定性、推し消費、宝探しの楽しさを組み合わせています。

ただし、しまむらは会社として最初のコラボ商品と開始年を公表していません。確認できる流れでは、現代型の共同開発は2010年代前半には存在し、読者参加型企画が2016年、SNSで支持されるインフルエンサーとの企画が2019年ごろから目立ち、2020年のオンラインストア開設後に店舗とネットを組み合わせた販売が本格化しました。

企業が学ぶべき点は、話題の相手を探すことではなく、自社の変わらない強みを守りながら、顧客が選ぶ新しい理由を小さく試し、反応を見て速く広げる経営です。品薄感だけに依存すると信頼を失うため、購入制限、受注販売、再販売などを組み合わせることも重要です。

目次

1 しまむらの会社と事業体制

2 低価格を支える仕組み

3 コラボ販売の発展

4 現在の業績とコラボの位置付け

5 流行を商品にするタイミング

6 安くても購入総額が増える理由

7 コラボ戦略の狙い

8 企業経営に活かせる実践項目

9 物流会社の経営に置き換えて考える

10 リスクと注意点

11 よくある質問

12 まとめ


1 しまむらの会社と事業体制

国内の各店舗ブランドは、別会社を集めた企業グループではなく、株式会社しまむらが運営する事業です。公式の会社概要で関係会社として掲載されているのは、台湾で店舗を展開する思夢樂股份有限公司です。アベイルは1996年に子会社として設立されましたが、2009年に株式会社しまむらへ吸収合併されました。

事業

   主な対象と役割

   2026年2月期末店舗数

しまむら

   20代から60代の女性と家族を中心とする総合衣料

   1,423店

アベイル

   10代から40代向けのカジュアル衣料とキャラクター商品

   323店

バースデイ

   出産前から小学生までの子供と家族向け商品

   343店

シャンブル

   女性向け雑貨 インテリア 衣料

   125店

ディバロ

   女性と家族向けの靴

   19店

思夢樂

   台湾で展開する総合衣料事業

   45店

合計

   国内5事業と台湾事業

   2,278店

 


同じ会社の中で対象顧客を分けることにより、若者向けの企画はアベイル、子供向けはバースデイ、雑貨はシャンブルというように、コラボ相手と商品の置き場所を変えられます。これは一つのブランドですべての客層を追わず、事業ごとに役割を持たせる経営です。


2 低価格を支える仕組み

しまむらのコラボ商品が比較的安いのは、広告の話題性だけでは説明できません。会社の事業モデルには、約600社の仕入先を対象とした中央仕入れ、規模を活かした発注、返品を前提としない完全買取、全国の店舗間で商品を移動する在庫管理があります。

完全買取では、売れ残った商品の責任をしまむら側が負います。その代わり、仕入先は返品リスクを価格へ大きく上乗せする必要がありません。しまむらは多品種少量で商品を投入し、売れ方を確認しながら店舗間移動や値下げで消化します。

この仕組みは低価格と売場の変化を両立させます。同じ商品を大量に並べるより、店舗ごとに異なる商品が見つかるため、来店自体が宝探しになります。コラボは、その売場へ目的を持って訪れるきっかけを加えています。


3 コラボ販売の発展

しまむらの公式沿革には、最初のコラボ商品は記載されていません。キャラクターのライセンス商品、ブランド共同開発、雑誌企画、インフルエンサー企画では性質が異なるため、一つの開始年を断定しないことが適切です。確認できた主な節目を整理すると、次のようになります。

時期

  確認できる動き

経営上の意味

2002年

  ストアブランドを開始

価格だけでなく独自商品を持つ基盤を整備

2010年ごろ

  HK WORKS LONDONが始動したと確認できる

外部の企画力を活かす共同開発ブランドを継続

2016年

  雑誌merとコーデ投稿サービスを交えたしまめるコーデを展開

読者や利用者の意見を商品へ反映

2019年

  MUMUなどSNS発の企画が注目を集める

フォロワーを持つ個人が集客媒体と商品企画者を兼ねる

2020年

  10月にオンラインストアを開設

店舗発売とネット販売を組み合わせる

2025年以降

  グループECをしまむらパークへ統合

複数事業を横断して顧客接点をまとめる

 


HK WORKS LONDONについては、2025年に15周年企画が行われたことから、開始を2010年ごろと判断できます。これは公表された周年情報からの逆算です。また、2016年のしまめるコーデ第1弾は外部発表で発売約1か月に約2万5,000着、2019年のMUMU企画は当時50万人を超えるSNSフォロワーを背景に売り切れが伝えられました。これらは現代型コラボの発展を示す事例であり、会社全体の第1号を示すものではありません。


4 現在の業績とコラボの位置付け

2026年2月期の連結売上高は7,000億3,400万円、営業利益は614億8,300万円となり、売上高と営業利益は5期連続で過去最高を更新しました。しまむら事業の客数は前期比4.1パーセント増、アベイルは5.8パーセント増、バースデイは7.1パーセント増でした。

指標

  2026年2月期

  読み取れること

連結売上高

  7,000億3,400万円

  5期連続で過去最高

連結営業利益

  614億8,300万円

  5期連続で過去最高

しまむら事業客数

  前期比4.1パーセント増

  客数増加が売上を支える

アベイル事業客数

  前期比5.8パーセント増

  若年層向け企画と集客が寄与

バースデイ事業客数

  前期比7.1パーセント増

  子供用品でも共同企画を展開

 


統合報告書では、人気キャラクターやインフルエンサーとの企画が集客に寄与したと説明されています。店舗限定のコラボ商品は、推しを応援する消費に対応し、気温に左右されにくい販売企画としても位置付けられています。2026年の公式キャンペーンにも、人気キャラクター、インフルエンサー、2.5次元アイドル、SHIBUYA109関連などの企画が継続的に掲載されています。

一方、好業績をコラボだけの成果と見ることはできません。しまむら事業ではPB比率が25.1パーセント、JB比率が7.8パーセントです。アベイルのJB比率は42.0パーセント、バースデイは21.6パーセントです。JBは仕入先と共同で開発するブランドを指し、キャラクターなどのコラボ売上比率そのものではありません。会社はコラボ商品の売上額や購入者の平均購入額を個別に開示していません。


5 流行を商品にするタイミング

しまむらが採用する企画は、すべて流行する前のものではありません。服の形や着こなしは兆しを早く捉え、インフルエンサーやネット発のコンテンツは一定の人気を確認してから採用し、長く支持されるキャラクターは定番または再流行のタイミングで展開しています。

商品タイプ

  選定する主な段階

  判断の考え方

服の形 色 着こなし

  一部地域や特定層で増え始めた段階

  大衆化する前の着用率と組み合わせ方を観察

インフルエンサー

  フォロワーと反応が確認できる上昇期

  既存ファンと商品との相性を確認

アニメ ゲーム

  放送 新作 周年など関心が高まる時期

  現在の話題性とファンの継続性を組み合わせる

定番キャラクター

  年間を通じた需要または再流行期

  短期の流行だけに依存しない

レトロ作品

  再評価の兆候が確認された段階

  既存ファンと若い層の両方を狙う

 


公式のバイヤーインタビューには、ある地域と客層でスカートの着用が増え始めたことを確認し、仕入先と協力して約1か月で商品化し、発売後1週間で売り切れた事例があります。これは何も兆候がない段階で賭けたのではなく、小さな広がりを確認した後、全国的な普及前に動いた事例です。

ただし、同じ1か月という期間をアニメやキャラクターのコラボへ当てはめることはできません。権利者の許諾や監修が必要な企画を含め、採用基準と開発期間は公表されていません。企業経営の参考にするなら、流行前を当て続けることより、兆しを確認して判断から実行までの時間を短くする仕組みに注目すべきです。


6 安くても購入総額が増える理由

コラボ商品の単価が低くても、一度の会計や一定期間の購入総額が増える可能性があります。低価格で最初の購入判断がしやすく、店舗限定や発売日指定が逃したくない気持ちを生み、色違い、キャラクター違い、家族分、関連雑貨へ購入が広がるためです。次の発売企画が続けば、再来店も増えます。

店頭の行列、オンラインの売り切れ、SNSの購入報告は需要を目に見える形にします。人は他の購入者の反応を見て、商品の価値や希少性を判断しやすくなります。ただし、しまむらが消費者の不安を意図的にあおっていると断定できる資料はありません。多品種少量と完全買取は、売れ残りを抑える実務上の仕組みでもあります。

重要なのは、高額商品を一つ販売する仕組みではなく、買いやすい単価の商品を複数のカテゴリーへ展開し、購入点数と来店回数を増やす仕組みです。なお、コラボ購入者の平均購入額は公表されていないため、実際に全顧客の購入総額が大きくなったと数値で断定することはできません。


7 コラボ戦略の狙い

しまむらの公開資料から、コラボ戦略には次の目的があると考えられます。

価格以外の来店理由をつくる。安いから立ち寄る店から、目的の商品を確認しに行く店へ変える。

天候に左右されにくい需要を持つ。気温と通常衣料の動きが合わない時期でも、推しやキャラクターを目的とする需要を取り込む。

新しい顧客を既存の売場へ呼ぶ。コラボ相手のファンに店舗やオンラインストアを知ってもらう。

コラボ相手の発信力を活用する。発売情報、着用例、購入報告がSNSで広がる。

衣料からバッグ、靴下、寝具、雑貨へ購入範囲を広げる。

グループ内の事業を使い分ける。年齢、生活場面、商品カテゴリーに応じて適切な売場へ配置する。

コラボは広告、商品開発、顧客獲得を一つの企画で進められる点に強みがあります。しかし、その効果を支えているのは、低コスト運営、仕入先との関係、物流網、在庫移動、店舗数です。話題性だけを模倣しても、同じ結果にはなりません。


8 企業経営に活かせる実践項目

経営テーマ

しまむらの考え方

他社が実行できること

選ばれる理由

低価格へ限定性と独自商品を加える

顧客が自社を選ぶ理由を価格以外で一つ明文化する

顧客区分

事業ごとに対象年齢と商品を分ける

全顧客へ同じ提案をせず 用途別に商品や窓口を分ける

商品開発

小さな流行の兆しを見て短期間で投入する

小規模な試験販売や試験運用で反応を測る

データ活用

毎週の販売結果と着用傾向を確認する

問い合わせ 成約 継続利用の理由を定期的に分析する

販売経路

店舗とネットを組み合わせる

対面の安心とデジタルの速さを役割分担する

希少性

多品種少量で在庫リスクを抑える

数量や受付条件を明確にし 受注や再提供で不満を抑える

会社基盤

仕入れ 物流 在庫移動が企画を支える

話題づくりより先に納期 品質 原価管理を整える

 


経営者が最初に確認したいのは、コラボ相手の候補ではありません。既存顧客が自社を選ぶ理由、利用をやめる理由、初めての顧客が試しやすい入口、繰り返し利用する理由を整理することです。その上で、小さく試し、反応の良い企画だけを広げます。

発売日の注目だけを成果にすると、行列やアクセス数は増えても利益や継続利用につながらないことがあります。売上だけでなく、粗利益、購入点数、新規顧客比率、再購入率、問い合わせ対応時間、売れ残りを同時に確認する必要があります。


9 物流会社の経営に置き換えて考える

物流会社が学ぶべきなのは、キャラクター商品を作ることではありません。運賃の安さだけで比較される状態から抜け出し、荷主企業が依頼する理由を具体化することです。得意な車種や区間、連絡の速さ、必要書類の正確さ、車番連絡、荷卸し報告、事故時の対応、継続的な輸送体制などは、価格以外の判断材料になります。

最初から全国すべての荷物へ対応しようとせず、得意な地域、車種、品目、時間帯から小さく試す方法も有効です。問い合わせ件数だけではなく、見積もりから依頼へ進んだ割合、継続依頼、断った理由、手配に要した時間を確認すれば、どこへ経営資源を投入すべきか判断しやすくなります。

荷主企業側も、最安値だけで運送会社を選ぶと、必要な日に車両を確保できない、連絡や書類に時間がかかる、輸送品質が安定しないといった別の費用が発生します。運賃、荷待ち、荷役、附帯作業を分け、安全、品質、対応力、継続性を含めて総合的に判断する必要があります。

丸共協同株式会社が大切にする不易流行(ふえきりゅうこう)に置き換えると、変えてはいけないのは安全、責任、約束、信頼です。一方、情報共有、見積もり、連絡、顧客への伝え方は時代に合わせて変える必要があります。利他(りた)、敬天愛人(けいてんあいじん)、三方よし、未来よしの考え方は、荷主企業、運送会社、実際に輸送する現場のいずれかへ負担を押し付けず、継続できる取引をつくる基準になります。


10 リスクと注意点

コラボを増やしすぎると、新鮮さが薄れ、発売情報が顧客に届きにくくなる。

販売数量が少なすぎると、購入できなかった顧客の不満や転売を招く。

相手の人気が下がった場合、自社の商品や在庫にも影響する。

話題性を優先して品質が期待を下回ると、低価格への安心まで失う。

権利処理、監修、製造、物流が複雑になり、発売時期が遅れる可能性がある。

コラボへ依存すると、自社独自の商品や顧客との関係が育たない。

購入点数制限、オンライン受注、再販売、在庫情報の案内は、短期的な販売機会を一部減らしても長期的な信頼を守ります。希少性は結果として生まれることがありますが、顧客を急がせること自体を目的にすると、ブランドの継続性を損ないます。


11 よくある質問

Q1 しまむらがコラボ販売を始めた年

会社は最初のコラボ商品と開始年を公式沿革で公表していません。共同開発型の取り組みは少なくとも2010年代前半には確認でき、読者参加型が2016年、現在につながるSNS型は2019年ごろから目立ちます。

Q2 流行する前の商品を選んでいるのか

服の形や着こなしは、一部の地域や客層で広がり始めた兆しを捉えて大衆化前に商品化する事例があります。一方、インフルエンサーやアニメは、すでに一定の人気を確認してから採用する場合が多く、すべてが流行前ではありません。

Q3 コラボが現在の好業績の最大要因なのか

公式資料はキャラクターやインフルエンサー企画による集客効果を説明していますが、コラボだけの売上と利益は開示していません。PB、共同開発ブランド、仕入れ、在庫管理、物流、店舗戦略を含む総合的な成果です。

Q4 コラボ商品を安く販売できる理由

中央仕入れ、規模を活かした発注、完全買取、多品種少量、全国の在庫移動などが低価格を支えます。コラボ相手の知名度だけで価格が決まっているわけではありません。

Q5 安いのに購入額が増える理由

一つの商品が高額なのではなく、色違い、キャラクター違い、関連雑貨、家族分へ購入点数が広がり、発売企画ごとの再来店が増えるためです。ただし、コラボ購入者の平均購入額は公表されていません。

Q6 中小企業が最初に取り組むこと

価格以外で選ばれている理由を一つ決め、小規模な商品やサービスで試します。売上だけでなく、粗利益、継続利用、顧客の反応、提供に必要な手間を確認し、効果がある範囲だけを広げます。


12 まとめ

しまむらは、低価格を捨てずに、共同開発、キャラクター、インフルエンサー、オンライン販売を加え、顧客が店舗やネットを確認する理由を増やしました。流行の採用時期は一律ではなく、服の形は小さな兆しの段階、SNS企画は人気の上昇を確認した段階、定番キャラクターは継続需要や再流行の段階で使い分けています。

企業経営で重要なのは、話題の商品を追うことではありません。自社の強みを明確にし、顧客の小さな変化を早く把握し、小規模に試し、供給できる仕組みを整えてから広げることです。希少性で急がせる場合も、受注や再提供の選択肢を用意し、短期の売上より長期の信頼を優先する必要があります。

物流業界も同じです。安い運賃だけで比較される状態から、安全、対応、情報、専門性、継続性を含む選ばれる理由へ変えていくことが、価格競争から抜け出す第一歩になります。

 

参考資料

株式会社しまむら「会社概要」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/company/profile/

株式会社しまむら「事業内容」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/company/business/business.html

株式会社しまむら「事業モデル」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/company/business/model.html

株式会社しまむら「沿革」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/company/history/

株式会社しまむら「統合報告書2026」 2026年公表 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/assets-c/uploads/integratedreport2026.pdf

株式会社しまむら「バイヤーインタビュー」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/recruit/shinsotsu/style/ht.html

株式会社しまむら「2026年キャンペーン一覧」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/news/campaign/2026/

株式会社しまむら「インフルエンサー企画一覧」 2026年9月13日閲覧 一次資料 https://www.shimamura.gr.jp/shimamura/sp/cont/influencer/

folk「しまむらとMUMUの初回コラボに関する記事」 2019年6月15日 参考報道 https://folk-media.com/1750090

Licensing International Japan「アベイルのコラボ戦略に関する取材」 2021年9月16日 参考報道 https://www.licensing-x.com/20210916availcollabo/

キーワード

カレンダー

2026年10月
月 火 水 木 金 土 日
« 9月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
バナー:コーポレートサイトはこちら