国際物流では「つなぐ」が始まっている LogiMeetsから考える物流DXと国内トラック輸送の未来
国際物流では「つなぐ」が始まっている
― LogiMeetsから考える、物流DXと国内トラック輸送の未来 ―
物流DXと聞くと、自動倉庫、物流ロボット、AI、自動運転トラックなど、新しい技術を思い浮かべることが多いかもしれません。
しかし、物流の現場ではもう一つ、大きな変化が進んでいます。
それは、
荷主と物流会社をつなぐこと。
そして、その先にある物流業務そのものをつなぐことです。
2026年9月2日、株式会社テクイットは、国際物流業務を支援する貿易DXプラットフォーム「LogiMeets(ロジミーツ)」について、2026年8月中に累計利用企業数350社を突破し、8月末時点では360社になったと発表しました。
1年前の93社から267社増加しています。
特に、製造業や商社など輸出入を行う荷主企業は56社から283社へ増加し、約5.1倍となりました。
フォワーダーなどの国際物流事業者も37社から77社へ増えています。
今回、私たちが注目したのは360社という数字だけではありません。
LogiMeetsが、
「物流会社を探す場所」
から、
「物流の仕事を進める場所」
へ機能を広げていることです。
今回は、この仕組みをできるだけ分かりやすく紹介しながら、国内トラック輸送にも共通する物流DXの可能性について考えてみたいと思います。
この記事で分かること
・LogiMeetsとはどのようなサービスなのか
・荷主と国際物流会社をどのようにつないでいるのか
・なぜ「港だけのサービス」ではないのか
・見積もり後にどのような業務ができるのか
・なぜ物流プラットフォームが業務管理まで広がっているのか
・国内トラック輸送に置き換えると何が見えてくるのか
・帰り荷、帰り便と情報のつながり
・これからの物流DXに必要なもの
1.LogiMeetsとは何か
LogiMeetsを簡単に説明すると、
「輸出入を行う荷主と、フォワーダーなどの国際物流事業者をつなぎ、その後の物流業務まで支援するプラットフォーム」
です。
対象となる物流企業には、フォワーダーをはじめ、通関、倉庫、ドレー輸送など、国際物流に関わるさまざまな事業者があります。
そのため、
「港関係の物流サービス」
と考えるとイメージは近いのですが、港だけを対象としているわけではありません。
輸出入物流には、
工場・倉庫
↓
国内輸送
↓
港・空港
↓
通関
↓
海上輸送・航空輸送
↓
海外の港・空港
↓
現地輸送
という長い物流の流れがあります。
LogiMeetsは、その物流を手配する荷主と、国際物流を支える企業を情報でつなぎ、見積もりや輸送管理、書類管理などを効率化していく仕組みです。
2.まず「物流会社を探す」を変える
例えば、日本のメーカーが海外へ製品を輸出するとします。
物流会社へ依頼するためには、
どこから
どこまで
何を
どのくらい
いつ運びたいのか
といった条件を伝え、見積もりを取る必要があります。
複数社を比較する場合、従来であれば同じような内容を電話やメールなどで何社にも問い合わせることがあります。
LogiMeetsでは、輸送条件を登録し、複数の物流会社から提案を受け、比較することができます。
匿名での見積もり依頼や、特定の物流会社を指名した依頼にも対応しています。
つまり、
物流会社を探す
↓
問い合わせる
↓
条件を伝える
↓
見積もりを受け取る
↓
比較する
という仕事を、一つの仕組みの中で進められるようにしているのです。
3.物流会社側から見ると、新しい営業の形になる
この仕組みは、荷主だけにメリットがあるわけではありません。
物流会社側から見ると、新しい荷主と出会う入口にもなります。
物流会社には、それぞれ得意分野があります。
例えば、
中国航路に強い
食品輸送の経験が豊富
特定の国への輸送に強い
海上輸送を得意としている
通関から倉庫まで対応できる
などです。
従来、新しい荷主を獲得するには、自社から営業活動を行う必要がありました。
ところが、荷主側から具体的な輸送案件が出てくれば、
「自社が対応できる案件に提案する」
という営業方法も可能になります。
荷主は、運んでくれる物流会社を探している。
物流会社は、自社の強みを生かせる仕事を探している。
その両者を情報によってつなぐ。
これがマッチング機能の基本的な役割です。
4.重要なのは「つながった後」
ここからが、今回特に注目したいところです。
LogiMeetsは2025年3月の正式リリース以降、一括見積もりやフォワーダーマッチングだけでなく、機能を広げてきました。
現在は、
シップメント管理
書類管理
AIによる書類解析
コンテナ追跡
インボイス・パッキングリスト作成
チャットや情報共有
など、日々の国際物流実務を支援する機能も提供しています。
つまり、
荷主と物流会社を出会わせて終わり
ではありません。
見つける
↓
比較する
↓
相談する
↓
依頼する
↓
輸送する
↓
進捗を確認する
↓
書類を管理する
↓
情報を共有する
という物流業務の流れそのものを、できるだけ一つにつなごうとしているのです。
ここに、単なる物流マッチングサイトとは違う方向性が見えてきます。
5.新規取引だけではなく、既存取引にも使える
もう一つ興味深い点があります。
LogiMeetsは、新しい物流会社を探すためだけのサービスではありません。
現在取引している物流会社との案件についても、輸送や書類管理などに利用できます。
これは物流プラットフォームを考えるうえで重要なポイントではないでしょうか。
新しい物流会社を探すことは、毎日発生する仕事ではありません。
一方、
輸送状況を確認する
担当者と連絡する
書類を確認する
案件を管理する
情報を社内で共有する
といった作業は、物流が動いている限り発生します。
「仕事を探す場所」だけであれば、必要なときにしか利用されません。
しかし、
「日々の物流業務を行う場所」
になれば、その意味は大きく変わります。
物流DXは、マッチングだけで完成するのではなく、その後の日常業務までつながることで、さらに価値が生まれてくるのかもしれません。
6.350社と360社、数字をどう見るか
今回の発表について、一つ注意したい点があります。
株式会社テクイットの2026年9月2日付プレスリリースのタイトルは、
「利用企業数350社を突破」
となっています。
一方、発表本文では、
2026年8月中に350社を突破し、8月末時点では360社
と説明されています。
つまり、
350社と360社のどちらかが間違っているわけではありません。
8月中に350社を突破し、その後も利用企業が増え、8月末時点では360社になったということです。
内訳を見ると、
1年前
荷主企業 56社
国際物流事業者 37社
合計 93社
2026年8月末
荷主企業 283社
国際物流事業者 77社
合計 360社
となっています。
360社-93社=267社ですので、
「直近1年間で267社増」
という発表とも一致します。
また荷主企業は、
56社から283社
となり、約5.1倍に増加しています。
ただし、この数字も正確に理解する必要があります。
360社とは、運営会社が公表した累計利用企業数です。
360社すべてが毎月継続的に利用しているという意味でも、360社すべてで取引が成立したという意味でもありません。
現時点で公表情報から確認できるのは、
「2026年8月末時点で累計利用企業数が360社になった」
という事実です。
それでも、物流会社を探す機能と日常業務を支援する機能を組み合わせたサービスに、利用企業が増えている一つの事例として参考になります。
7.では、国内トラック輸送に置き換えるとどうなるのか
ここからは、今回の国際物流の事例を国内トラック輸送に置き換えて考えてみます。
国内物流にも、
運送会社を探す
チャーター便を探す
スポット便を依頼する
見積もりを取る
配送条件を伝える
配車情報を共有する
車番を連絡する
荷卸し完了を確認する
必要書類を共有する
といった多くの仕事があります。
そして現在も、その一つひとつを、
電話
FAX
メール
Excel
紙
など、さまざまな方法を組み合わせながら行っている企業は少なくありません。
もちろん、それぞれの方法には良いところがあります。
長年の取引関係だからこそ、一本の電話で話が通じることもあります。
FAXだから使いやすい現場もあります。
デジタル化すれば、すべて良くなるわけではありません。
大切なのは、今ある仕事を否定することではなく、
「どこをつなげれば、現場が少し楽になるのか」
を考えることではないでしょうか。
8.帰り荷と帰り便も「情報」がつながれば変わる
国内トラック輸送には、国際物流とは少し違う特徴があります。
その一つが、帰り荷と帰り便です。
例えば、大阪から名古屋へ荷物を運んだトラックがあるとします。
荷卸し後、大阪方面へ戻る荷物が見つからなければ、そのトラックは空車で戻ることになります。
しかし同じ時間に、
「名古屋から大阪へ荷物を運んでほしい」
という荷主がいるかもしれません。
トラックはある。
荷物もある。
それでも両者がお互いを知らなければ、仕事にはなりません。
荷主側から見れば「帰り便」。
運送会社側から見れば「帰り荷」。
ここで考えたいのは、
本当にトラックが足りないのか。
本当に荷物がないのか。
それとも、
情報がつながっていないのか。
ということです。
もちろん、すべての空車をなくすことは現実的ではありません。
時間、車種、積載量、距離、運転時間、荷物の条件などが一致する必要があるからです。
それでも、条件の合う荷物と車両を今より早く見つけることができれば、空車回送を減らせる可能性があります。
物流DXには、事務作業をデジタル化するだけではなく、
今まで見えていなかった荷物とトラックを見えるようにする
という役割もあるのではないでしょうか。
9.物流プラットフォームは「紹介する場所」から変わっていく
今回のLogiMeetsの事例から見えてくるのは、
物流プラットフォームが「会社を紹介する場所」だけではなくなり始めていることです。
最初は、
物流会社を探す。
次に、
見積もりを比較する。
さらに、
連絡する
依頼する
輸送を確認する
書類を管理する
情報を共有する
ところまでつながっていく。
つまり、
「マッチングする場所」
から、
「物流の仕事を進める場所」
へ変わっていく可能性があります。
国際物流と国内トラック輸送では、業務内容も必要な機能も違います。
しかし、
必要としている荷主と
運ぶことのできる物流会社を
必要なタイミングで
正しい情報によってつなぐ
という基本的な考え方には、多くの共通点があります。
10.小さくても、協力しあうことでできることがある
物流業界には、多くの企業があります。
大企業もあれば、中小企業もあります。
そして、それぞれの会社に、
得意な地域
得意な車両
得意な荷物
得意な輸送方法
長年築いてきた取引関係
があります。
一社ですべての物流を担う必要はありません。
自社だけでは対応できない仕事でも、別の会社なら得意かもしれません。
一台だけ空いているトラックでも、その一台を必要としている荷主がいるかもしれません。
大切なのは、
大きな会社になることだけではなく、
それぞれが持っている力をつなぐこと。
なのではないでしょうか。
企業同士が情報を共有し、それぞれの強みを生かして協力できれば、小さな会社でも大きな物流ネットワークの一部になることができます。
物流DXというと、AIや最新システムに目が向きがちです。
しかし、その技術の先にある本当の目的は、
人を減らすことではなく、
人と企業が持っている力を、もっと生かせるようにすること。
なのかもしれません。
まとめ
2026年9月2日、株式会社テクイットは、国際物流業務を支援する貿易DXプラットフォームLogiMeetsについて、2026年8月中に累計利用企業数350社を突破し、8月末時点では360社になったと発表しました。
1年前の93社から267社増加し、輸出入を行う荷主企業は56社から283社へ約5.1倍に増えています。
ただし、360社は累計利用企業数であり、継続利用企業数や成約企業数を示すものではありません。
今回私たちが注目したいのは、この数字だけではありません。
LogiMeetsが、
物流会社を探す
↓
見積もりを取る
↓
比較する
↓
依頼する
↓
輸送を管理する
↓
書類を管理する
↓
情報を共有する
という方向へ機能を広げていることです。
これは国際物流だけの話ではありません。
国内トラック輸送にも、
荷主と運送会社
荷物とトラック
帰り荷と帰り便
依頼と配車
輸送と情報
を、今よりうまくつなげられる余地があります。
物流の未来は、すべてを一社で抱えることではなく、
それぞれの会社が持っている強みを、情報によってつなぐこと。
そこから生まれてくるのかもしれません。
丸共協同株式会社は、これからも国内外の新しい物流の動きを学びながら、今の物流現場に何が生かせるのか、そしてこれからの物流はどうあるべきなのかを考えていきます。
参考資料
株式会社テクイット
「貿易DX『ロジミーツ』、利用企業数350社を突破 ― 正式リリースから約1年半」
2026年9月2日発表
PR TIMES掲載の株式会社テクイット公式プレスリリース
LogiMeets公式サイト
国際物流業務を支援する貿易DXプラットフォーム
LOGISTICS TODAY
LogiMeets利用企業数拡大に関する2026年9月の記事
※プレスリリースのタイトルでは「利用企業数350社を突破」とされていますが、発表本文では「2026年8月中に350社を突破し、8月末時点で360社」と説明されています。本稿では、基準日を明確にするため「2026年8月末時点360社」と表記しています。
※本稿は2026年9月3日時点で公開されている情報を基に作成しています。LogiMeetsに関する利用企業数やサービス内容は、株式会社テクイットの公表資料、LogiMeets公式サイト等を基にしています。360社は累計利用企業数であり、継続利用企業数や成約企業数を示すものではありません。国内トラック輸送に関する後半部分には、公開情報をもとにした丸共協同株式会社としての考察を含みます。
