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事例紹介 WORK

レベル4自動運転トラックがドイツで日常配送へ 実用化の条件

2026.09.24 コラム
ドイツの物流センターと店舗を結ぶ運転席のないレベル4自動運転電動トラックのイメージ

運転席のないレベル4自動運転トラックがドイツで日常配送へ 実用化は固定ルートから始まる

15ユーロパレット分の積載スペース 1日最大3回運行 4か月で3,000パレット超を計画するリドルとアインライドの事例

 

冒頭要約

2026年9月15日、ドイツの小売大手リドルとスウェーデンのアインライドは、運転席を持たない電動トラックをドイツの公道で運行し、実際の商品配送に組み込んだと発表しました。車両はSAEレベル4の自動運転機能を備え、ドイツ連邦自動車交通局の許可のもと、ヘッセン州エーダーミュンデの配送センターと近隣店舗を結びます。車内にドライバーや安全要員は乗りません。

ただし、この事例を「無人トラックがどこでも走れるようになった」と受け取るのは正確ではありません。運行する場所と条件を定めた4か月間のプロジェクトで、車両は15ユーロパレット分の積載スペースを備え、1日最大3回運行し、期間中に3,000パレット超を運ぶ計画です。

今回の重要点は、展示や試験走行ではなく、常温商品の配送スケジュールに自動運転車両を組み込んだことです。一方、レベル4でも、遠隔を含む技術的な管理、充電、点検、積み込み・荷卸し、故障や事故への対応は必要です。

丸共協同株式会社は、自動運転トラックの実用化は、固定ルート、一定の輸送量、標準化された荷役、明確な責任分担を整えやすい輸送から進むと考えます。自動運転は人を一度に置き換える仕組みではなく、人の役割を運転から運行設計、監視、整備、例外対応へ移していく技術として捉える必要があります。

目次

1 公表された事実

2 運行条件と計画数値

3 レベル4自動運転の意味

4 固定ルートから実用化が進む理由

5 日本の自動運転トラック実証との共通点

6 物流現場で変わる業務

7 荷主企業が準備したいこと

8 運送会社が準備したいこと

9 丸共協同株式会社の考察

10 よくある質問

11 まとめ


1 公表された事実

リドルとアインライドの公式発表によると、プロジェクトはドイツ中部のヘッセン州エーダーミュンデで始まりました。運転席そのものを持たない電動トラックが、現地の管理・配送センターから近隣のリドル店舗へ常温商品を運びます。

アインライドは、車内にドライバーも安全要員も置かない運転席のないSAEレベル4トラックが、ドイツ連邦自動車交通局からドイツで初めて交付された「この種の許可」のもと、公道上の日常業務で運行していると発表しています。これは同社の公式発表に基づく表現であり、ドイツ国内のすべてのレベル4自動運転許可で初めてという意味ではありません。

リドルはドイツ国内で3,250店を超える店舗と39の管理・配送センターを運営しています。今回の1区間で運用を確認した後、別の拠点で複数店舗を回るミルクラン型へ段階的に広げる計画です。


2 運行条件と計画数値

項目

  公表内容

発表日

  2026年9月15日

運行場所

  ドイツ・ヘッセン州エーダーミュンデ周辺

輸送区間

  リドルの管理・配送センターと近隣店舗の間

車両

  運転席のない電動トラック

自動運転

  SAEレベル4

車内要員

  ドライバーと安全要員を乗せない

積載規模

  ユーロパレット15枚分

運行回数

  1日最大3回運行

対象貨物

  常温商品

実施期間

  4か月間

輸送計画

  期間中に3,000パレット超

次の段階

  複数店舗を回るミルクラン型へ拡張予定

 


注記:輸送量や運行回数は計画値です。4か月間の実績や安全上の介入回数、稼働率、電力使用量、運行コストは、今回確認した公式発表では公表されていません。


3 レベル4自動運転の意味

ドイツの道路交通法では、自動運転機能を備えた車両は、定められた運行区域の中で、車両を運転する人がいなくても運転操作を自動で行えるものとされています。どの道路、時間、天候でも自由に走れるレベル5とは異なり、レベル4は許可された運行区域と条件の中で成立します。

同法は技術的な監督者についても定めています。監督者は、必要に応じて自動運転機能を停止したり、車両が提案した代替動作を確認して許可したりできる人です。車両が自力で対応できない状態では、安全な場所で停止するリスク最小化状態へ移る仕組みも求められます。

したがって、車内に人がいないことと、人が運行に関与しないことは同じではありません。今回の個別プロジェクトにおける監視体制の詳細は公式発表で明らかにされていませんが、制度上は車両、通信、技術的な監督、運行区域、緊急時対応を組み合わせて安全を確保します。


4 固定ルートから実用化が進む理由

自動運転トラックは、最初から全国のさまざまな輸送に対応するより、条件を整理しやすい区間から導入する方が現実的です。今回の配送センターと店舗を結ぶルートには、次の特徴があります。

同じ区間を繰り返し走るため、道路環境や危険箇所を把握しやすい。

配送センターと店舗という管理可能な拠点を両端に置ける。

常温商品とパレット輸送により、荷姿や作業を標準化しやすい。

1日最大3回運行する計画があり、運行データと改善効果を測定しやすい。

1店舗への配送から始め、確認後に複数店舗のミルクランへ広げられる。

この順番は、物流現場で新しい仕組みを導入するときの基本にも通じます。最初に対象区間を限定し、安全性と作業手順を確認し、例外対応を整理したうえで範囲を広げます。


5 日本の自動運転トラック実証との共通点

日本でも自動運転トラックの社会実装に向けた検証が続いています。国土交通省が2026年3月23日の自動運転インフラ検討会で示した資料によると、新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアから浜松サービスエリアまでの区間で、発車、合流、本線走行、分流、駐車までの連続したハンズオフ自動運転が行われました。

資料では、自動運転システムに大きな問題は確認されなかった一方、加速車線上の駐車車両や周辺車両の動きなどにより、手動介入する場面もあったとされています。交通規制、情報提供の精度、緊急時の連絡体制、関係者の役割分担も課題として示されました。

ドイツの店舗配送と日本の高速道路実証は条件が異なるため、単純な優劣比較はできません。ただし、車両の性能だけでなく、道路、拠点、通信、運行管理、緊急対応を一体で設計する必要がある点は共通しています。


6 物流現場で変わる業務

現場項目

起こり得る変化

確認事項

トラック手配

固定便や高頻度区間から自動運転の対象が増える可能性

輸送量、運行時間、車種、代替便を整理する

配車業務

通常時の運転管理より、例外対応と複数車両の監視が重要になる

停止、遅延、通信障害時の連絡手順を決める

荷役作業

車両が無人でも積み込みと荷卸しの作業は残る

荷姿、バース、受付、検品を標準化する

車両管理

センサー、通信、ソフトウェア、電池を含む保守が増える

点検責任と更新費用を契約で明確にする

人材

運転以外の運行設計、監視、整備、現場対応が増える

既存社員の教育と役割転換を進める

取引条件

停止や事故時の責任と費用負担が複雑になる

荷主、運送会社、技術事業者の責任範囲を確認する

 


自動運転による効率化を理由に、すぐ運賃が下がると考えるのは早計です。車両取得、充電設備、通信、監視、保守、システム更新、予備車両など、新しい原価が生じます。導入効果は、人件費だけでなく、稼働率、エネルギー、故障停止、安全性、荷役時間を含めて評価する必要があります。


7 荷主企業が準備したいこと

荷主企業にとって、自動運転は車両を選ぶだけの問題ではありません。自社の発注と荷役を整え、運送会社や技術事業者が安定して運行できる条件をつくる必要があります。

毎日または毎週繰り返す固定区間と輸送量を把握する。

荷姿、重量、パレット、バース、受付、検品方法を標準化する。

過度に細かい時間指定や、長い荷待ちが発生する工程を見直す。

通常運行だけでなく、遅延、故障、通信障害時の代替輸送を準備する。

定時運行率、介入回数、停止時間、荷役時間、電力使用量などの評価指標を決める。

効率化で得られた利益を荷主企業だけに偏らせず、安全、設備、人材へ再投資できる取引条件にする。

固定便を自動化できても、急な増産、納品先変更、スポット便、緊急配送などは残ります。平常時の定型輸送と、変化に対応するチャーター便や運送会社の役割を分けて考えることが重要です。


8 運送会社が準備したいこと

運送会社には、運転技術に加えて、運行を設計し、データを読み、異常時に判断する力が求められます。自動運転車両を所有するかどうかにかかわらず、今から準備できることがあります。

便別、区間別、車種別に走行時間、荷待ち、荷役、空車回送、原価を記録する。

固定ルートの中から、荷量と運行条件が安定している区間を見つける。

運行管理者、整備担当者、配車担当者のデジタル教育を進める。

車両停止時の現場対応、レッカー、代替車両、荷主連絡の手順を整える。

変動が大きい輸送、複雑な荷役、緊急対応など、人の判断が価値になる業務を明確にする。

自動運転の普及が直ちに運送会社の仕事をなくすわけではありません。車両を動かす仕事の一部が自動化されても、貨物を安全に届ける責任、荷主企業との調整、積み卸し、点検、例外対応は残ります。重要なのは、運転だけでなく輸送全体を管理できる会社へ変化することです。


9 丸共協同株式会社の考察

ここからは、今回の発表を踏まえた丸共協同株式会社の考察です。

物流で変えてはいけないものは、安全に荷物を届けること、責任の所在を明確にすること、荷主企業と運送会社が継続できる取引をつくることです。一方、車両、配車、情報共有、運行管理の方法は、技術に合わせて変える必要があります。これは、不易流行(ふえきりゅうこう)の考え方に重なります。

今回の事例から学ぶべきなのは、運転席をなくした車両の形だけではありません。一定の荷量がある固定区間を選び、荷役を標準化し、実際の商品を運びながら検証し、その次に複数店舗へ広げる進め方です。物流の自動化は、車両だけを導入しても成立しません。

また、自動化に必要な費用や事故時の責任を実運送会社へ一方的に負わせる仕組みでは、持続可能な物流にはなりません。誰が車両を管理し、誰が監視し、異常時に誰が対応し、効率化の利益をどう分けるのかを見えるようにする必要があります。

技術によって生まれた余力を、人材育成、安全、車両、設備へ戻すことができれば、荷主企業、運送会社、社会、そして次の世代にとって意味のある物流効率化になります。


10 よくある質問

Q1 レベル4自動運転とは何ですか

定められた運行区域と条件の中で、車両が運転操作を自動で行う仕組みです。どの道路や天候でも走れるわけではなく、許可された区間や運行条件に限定されます。

Q2 今回のトラックには本当にドライバーが乗っていないのですか

両社の公式発表では、車内にドライバーも安全要員も乗せないとされています。ただし、車内が無人でも、制度上の技術的な監督、運行管理、点検、荷役、緊急時対応は必要です。

Q3 ドイツ全土で無人トラックが走れるようになったのですか

いいえ。今回の車両は、ドイツ連邦自動車交通局の許可を受け、エーダーミュンデの配送センターと近隣店舗を結ぶ定められたルートで運行します。4か月間のプロジェクトとして始まった段階です。

Q4 荷主企業にはどのような利点がありますか

固定ルートの輸送力を補完し、運行を安定させられる可能性があります。ただし、荷役の標準化、充電、監視、保守、代替輸送まで整えなければ、安定した効果は得られません。

Q5 自動運転でトラックドライバーの仕事はなくなりますか

すぐになくなるとは考えにくい状況です。導入は固定区間から進み、積み込み・荷卸し、運行管理、整備、緊急対応、変動の大きい輸送では引き続き人の役割が残ります。

Q6 どのような輸送が自動運転に向いていますか

配送センター間や工場と倉庫の間など、経路、時間、荷量、荷姿が安定した定期輸送が候補になります。納品先が変わるスポット便、急ぎのトラック手配、複雑な荷役を伴う輸送は、現在も人の配車と判断が重要です。

Q7 自動運転トラックの導入で運賃は下がりますか

自動的に下がるとは限りません。車両、充電、通信、監視、保守、ソフトウェア、予備車両などの費用が生じるため、総原価と稼働実績を確認して判断する必要があります。


11 まとめ

リドルとアインライドは、運転席のないレベル4電動トラックを、ドイツの公道を使う実際の商品配送へ組み込みました。15ユーロパレット分の積載スペース、1日最大3回運行、4か月で3,000パレット超という具体的な輸送計画を持つ点は、自動運転が実験から日常業務へ近づいていることを示します。

一方、運行は定められた区域と条件に限られます。自動運転を安全に広げるには、車両だけでなく、道路、拠点、荷役、通信、監視、緊急対応、責任分担を一体で整える必要があります。

荷主企業は固定ルートと作業条件を整理し、運送会社は原価と運行データを蓄積することが第一歩です。自動化で生まれた利益を安全と人材へ戻せる仕組みまで設計してこそ、物流を将来へつなぐ技術になります。

参考資料

リドル公式発表(2026年9月15日)

アインライド公式発表(2026年9月15日)

ドイツ道路交通法 第1d条から第1f条

ドイツ自動運転車の認可および運用に関する規則

国土交通省 第4回自動運転インフラ検討会資料 2026年3月23日

LOGISTICS TODAY 2026年9月16日

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